やさしいお金の専門家・横川楓さんに教わる、将来のお金に対して不安な二十代にオススメの資産形成の話【気になるあの人のオススメ】


自分らしい生き方の参考になる、人生がちょっとプラスになるモノコトについて伺うコーナー「気になるあの人のオススメ」。今回お話を聞いたのは、やさしいお金の専門家である横川楓さん。MBA(経営学修士)やAFP(ファイナンシャルプランナー)の資格を持ちながら、若者世代向けに「お金の知識」を伝える活動をしています。またマンガの知識も豊富で、2,000冊以上のマンガを収集しているそう。そんな横川さんに、将来の貯蓄などお金に悩んでいる二十代に向けてのアドバイスやお金の知識が身に付くマンガを教えてもらいました。

プロフィール

横川楓(よこかわ・かえで)
1990年生まれ。やさしいお金の専門家。明治大学法学部卒業後、その後同大学院へ進学。24歳でMBA(経営学修士)を取得。「お金のことを誰よりも等身大の目線で分かりやすく」をモットーに、特に若い世代のマネーリテラシーの普及活動をしている。いわゆるマネー系のメディアだけでなく、幼稚園児向けの雑誌や、ファッションメディアなど活動範囲は幅広い。2019年に書籍『ミレニアル世代のお金のリアル』を出版。

お金の専門家として活動される横川さん。そもそもお金の相談にのろうと思ったきっかけはどんなことでしょうか?

「お金の専門家」なんていうと、ざっくりとした肩書きに聞こえるかもしれません。実際にはいろいろな人のお金の相談に乗ったり、若い人達にお金のことを伝えたり、メディアで連載をしたり、セミナーをしたり、金融知識の普及活動をしたりしています。

お金の相談を受ける職業として一般的なのは「ファイナンシャルプランナー」です。ファイナンシャルプランナーはライフプラン(人生の中で、お金が必要になるタイミングと金額を把握して計画すること)の設計をします。

でも、若い人からすると「ファイナンシャルプランナーにライフプランの相談する」って、ちょっとハードルが高く感じませんか?

みんながライフプランを考えることからスタートするわけではないと思うんです。まずは、もっと初歩的な知識が知りたいという人もたくさんいます。

そこで、どんなお金の話でも伝えることができる専門家でありたいと思い、「お金の専門家」と名乗っています。

私自身は、母方の祖父が会計事務所を経営していたり、両親が離婚して母子家庭になったりと、小さい頃からお金に関するいろいろな仕組みには触れやすい環境にありました。

そして、母がいろいろお金のやりくりをしていたところを、間近に見てきました。それもあり、お金の知識は人よりついていたと思います。

将来のお金に対して不安を抱いている二十代はまずどんなことをしていけばよいでしょうか?

日本はずっと不景気が続いています。企業の利益が減って、私たちに入るお金も減ってしまい、働くことにやる気が感じられなくなっている人も多いはずです。頑張って働いたとしても、消費税や社会保険料が上がっているので、手元に残るお金はさらに少なくなっています。

そんななかで、老後のお金のことも自分で考えなくてはいけない状況です。まずお金と向き合うために今の二十代にしてほしいことは2つです。

■1,000円でもいいので実現できる貯蓄金額を設定し、貯金のモチベーションを維持する

まず、一定金額を決めて毎月必ず貯金をします。重要なのは少なくてもいいので続けられる金額にすることです。1,000円程度でもいいと思います。お金を貯めたいと思って、「毎月2万円貯金する」と決意しても、突然の出費があると結局貯金を取り崩すような状況になりかねません。これでは貯金のモチベーションが維持できませんよね。

貯める方法はなんでもいいと思います。会社で「財形制度」があるのならそれを使ったり、銀行の別口座にお金を移す「定額自動送金」を使うのもいいですね。

貯金残高が少ない状況に限ってですが、「タンス預金」もアリだと思います。現在は金融が発達していて、外にいるとどこからでも銀行から現金を引き落とせてしまいます。そこで、家の中の目に付かないところに現金を置いておいておく。とにかく貯めているお金にできるだけ触れられないような状況にしておくことが重要です。

■家計簿アプリを活用して、毎月貯蓄を生み出せるようにする

毎月月末にお金を残しておいて、その分は貯蓄に回すという方法もあります。単純なように思えますが、お金を残すには、使った分を目に見えて分かるように管理しなくてはいけません。

管理にオススメなのは紙の家計簿ではなく、スマホなどの家計簿アプリです。多くの家計簿アプリには、銀行やクレジットカードと連携して、自動的に入出金が記録される機能があるので、思った以上にラクに家計を管理することができます。

ただ、現金で使った分は自動的には記録されません。日々の入出金を自動的に記録するために、キャッシュレス決済を積極的に使うこともオススメです。

まず上記の2つを資産形成の「はじめの一歩」として意識することをオススメします。

「投資」は余裕ができてから

「資産形成」というとよく投資、なかでも「NISA」や「つみたてNISA」などの話題が出ますよね。これらは国が作った制度です。投資をすると本来はかかる税金が非課税になるという、大きなメリットがあります。

しかし、投資は元手が保障されているわけではないので、最初に投資をした金額より損をするリスクがもちろんあります。銀行口座の残高が数万円しかないという人は、まずはある程度の貯金ができてから始めましょう。なにか困ったときのために、少なくとも3~5カ月分の手取りが口座にあるのがベストです。

マンガが大好きで2,000冊以上のマンガを持っている横川さん。お金に興味が出てきて知識を身に付けたい二十代にオススメのマンガを教えてください

『ゼイチョー! ~納税課第三収納係~』慎結(講談社)

主人公は市役所の納税課に勤めている職員です。税金を滞納している人から、取り立てることも大事な仕事の一つになります。税金を滞納しているのは事情のある人ばかり。そんな人達と主人公の関わりが熱いんです。また、読んでいると自然に税金への理解が深まります。

『市場クロガネは稼ぎたい』梧桐柾木(小学館)

「お金を稼ぐことが学校の成績になる」という特殊な設定の学園の話です。おもしろいのは部活が株式会社の仕組みを持っていること。上場の仕組みもあります。部活を合併するのはM&Aです。
これを読むと、経済や株式の仕組みがなんとなく分かってきます。主人公の男の子が非常識でワガママなのですが、学園内で登り詰めていく様子もおもしろいです。

『貧民、聖櫃、大富豪』高橋慶太郎(小学館)

ある日突然、異世界に足を踏み入れてしまった主人公は戦いに巻き込まれていきます。ただし、この世界で戦いに必要なのは現実世界での「お金」。敵を攻撃するにも、攻撃を防御するにもお金がかかるというファンタジーです。
主人公と一緒に戦うのは、歴史上有名な資産家であるメディチ家の一員。他にも実在したフランスの王であるフィリップ4世など、たくさんのお金にまつわる史実上の人物が登場します。お金の歴史に興味が湧いてくるマンガです。

お金について知りたい二十代がはじめの一歩として参考になるオススメおすすめの情報はなんですか?

お金に関することできちんとした情報を得たいなら、ひとまずは官公庁など、公的機関のホームページを見ることをオススメします。ただ、公的機関のサイトは難しい言葉で書いてあることが多いんですよね。

そこで、私がオススメしたいのは金融広報中央委員会の「知るぽると」というサイト。お金に関するさまざまな情報が分かりやすい言葉で書かれていています。しかも「家計」、「税金」、「フィンテック」……など、広い分野に渡って網羅的に解説されているんです。

知るぽると:金融広報中央委員会

ここを読んでさらに興味が出たら、それぞれの公的機関で読みやすいものを探すのがいいでしょう。例えば、税金のことを調べたかったら国税庁のホームページなどで情報を得ることできます。

国税庁ホームページ

仕事の告知・宣伝があればどうぞ!

『ミレニアル世代のお金のリアル』という本が出ています。最近この本を読んでくれた大学生から「若い世代の価値観にそったお金の本はこれくらいしかないかもしれない」というお手紙をいただきました。

また、Twitterでも知って得するお金の情報を常に発信しているので、フォローしていただけたらうれしいです。

Twitter(X):横川楓

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