「メルカリ」で働きつつ、静岡銀行、コンビニ店員の副業をこなす。池田早紀さんの仕事のやりがいとは

メルカリで働きつつ、さまざまな副業をされる池田早紀さん


「仕事のやりがいとは?」社会人であればきっと誰もが、特にまだ模索の時期である新卒数年目の頃はこのような悩みにぶつかることが多いかもしれません。

今回はアプリ「メルカリ」を運用する会社で、ブランディングの仕事をしながら、全くの異業種の副業をしている池田早紀さんにインタビュー。さまざまな仕事をしている池田さんは、どんなことでやりがいを感じるのか。仕事との向き合い方のヒントをお聞きしました。

PROFILE

池田早紀(さきっちょ)

池田早紀
1982年生まれ。フリマアプリの最大手である株式会社メルカリのブランディングチームに所属。また副業として、静岡銀行の経営企画部で新規事業の開発や、コンビニで店員としてアルバイトなども行っている。
Twitter:さきっちょ/ 池田早紀 (@sakicchoo)

メルカリに所属しながら、静岡銀行や、コンビニ店員など幅広い副業をこなす

メルカリではブランディングチームに所属されている池田早紀さん

――メルカリではどんなお仕事をされているのでしょうか。また、銀行やコンビニの店員など、複数の副業もされているとおうかがいしました。それぞれについて詳しく教えてください。

■メルカリ

メルカリにはHRとして入社して、現在はブランディングチームに所属しています。SNSやコンテンツを使って、メルカリの魅力や使い方をお客様に届ける、ということをしています。

■静岡銀行

静岡銀行には2020年3月に人事開発グループとして入りました。当時の静岡銀行では、行員が自分自身で仕事の目標や、やり方を決める「OKR」という新しい人事制度を取り入れようとしていました。私はこれまでにHR系のコンサルで働いており、メルカリでもHRの仕事をしていたので、アドバイザーとして入ったんです。

新しい人事制度は無事リリースができました。これで終わりかと思いきや、2021年4月からは経営企画部の新規事業企画に異動になりました。副業で異動ってあるんですね(笑)。

ただ、私には銀行員なら当然持っているような知識やスキルはありません。そのかわり、新規事業を企画するときに徹底した顧客目線で意見しています。「私だったらそれは使いません」「私の周りでそれを使う人は思いつきません」と、どんどん言ってしまう(笑)。外部の人間ならではというか、メルカリで培った生活者としての感覚を持ち込めているとは思います。

■コンビニの店員

自宅近所のコンビニで店員として、週に2回の短時間のアルバイトをしています。コンビニはメルカリで売れた商品の持ち込み場の一つです。たとえば、メルカリで初めて物が売れてコンビニに持ち込んではみたものの、どうしたらいいか分からず、レジ前で悩んでいる方がいますよね。そんな様子を見ることがメルカリの仕事の役に立つんです。

コンビニはメルペイなどのキャッシュレス決済が使われる場でもあります。どんな人達がキャッシュレス決済を使っているのか、年齢層ごとのリテラシーはどうなのか……。こちらも具体的に観察することができます。

あと、実際に働いてみると、コンビニの商品って「名付け」の一つひとつがすごく優れていることに気づきました。人のニーズをうまく満たしていて、新製品の品出しをするたびに感動しています。「わざわざこのキーワードを抜き出してつけるんだな」とか「このオノマトペは秀逸だ!」とか、あまりにもパッケージをよく見ながら品出ししているので、品出しが遅いと思われているかもしれません(笑)。

■その他

他にも金融系のコンサルティング会社の新規事業のお手伝いや、HRツールを提供するシステム会社で、製品や営業プロセスのアドバイスをしています。また、ママ向けのコミュニティサイトを運営する会社で、毎年マネジメント層向けのワークショップをしています。

特に意識して副業を募集しているわけではないですが、いただいた話が、自分が役に立てそうで自分の他の仕事にも役にも立ちそうな仕事だったり、自分がこのサービスは伸びてほしいというものだったりすると、時間が許す限り受けちゃいますね。今はこれで限界。当面、新しいものは無理です(笑)。

仕事のやりがいは「お客様の反応をダイレクトに見られる」こと。その軸はぶらさない


お客様の反応をダイレクトに感じられるのがやりがいであり軸と語る池田早紀さん

――さまざまなお仕事をされていますが、池田さんのお仕事のやりがいはどんなところにあるのでしょうか。

「お客様の反応をダイレクトに見られる」ことが仕事のやりがいであり、軸になっています。

私が新卒で入社したのは出版社。雑誌の編集をしていたのですが、読者の反応が「発行部数」でしか計れませんでした。当時はSNSがなかったので、読者が雑誌を読んでどう思っているかが分からなかったんです。

「自分の作っている雑誌が誰の役に立っているんだろうか?」と悩んでしまいました。もちろん、その雑誌にファンがいることもブランドから評価が高いことも数字で分かります。でも自分の耳に実際に読んでいる読者の声は届かなかったんですよね。その雑誌のターゲット層が私が普段接していないターゲット層だったこともありますが。

そこで、仕事を選ぶときの基準を「お客様の反応をダイレクトに見られる」ことにしたんです。

出版社を辞め、そのときに興味を持っていた「組織開発」コンサルをする会社に転職しました。その後に株式会社メルカリに入社しています。どちらもお客様の反応がダイレクトに見られる仕事でした。

例えば、組織開発のコンサルをする会社で、人材育成の研修を行っていたときのことです。「人にまったく興味がない」という人が、半年ほどプログラムに参加したあと「人が成長するって、おもしろいことですね」なんて言ってくれるようになりました。こんな一言を聞ける瞬間がとても好きですね。これだけで3年分の働くモチベーションが湧いていきます(笑)。

株式会社メルカリは自分自身がアプリの利用者でした。初めて子どもが生まれたときに、いろいろなものが必要になることに驚いたんです。そして、服などは成長度合いに応じてすぐに使わなくなってしまう。「これは大変だ」と思っていたときに、友達にメルカリを教えてもらって感動しました。

いろいろなものが買えてうれしいし、使わなくなったものが無駄にならなくてうれしい。メルカリというサービスに、自分自身がとても共感したんですね。

やがてメルカリに入社しましたが、サービスが誰かの役に立つことを信じられるという動機で仕事をしている限り、仕事のやりがいというのは原則的には失われないのではと思うんです。

仕事がうまくいくかは「マッチング」次第。自分の可能性は常に広げておく

―― 仕事のやりがいに悩む社会人に池田さんなりのアドバイスをください。

まずは、自分がどんなことでやりがいを感じられるかを、知らなくてはいけませんよね。ただ、社会に出てすぐだと分からないこともあるかと思います。焦らずに経験を積む時期も必要かもしれません。

そして、私は仕事がうまくいくかは完全に「マッチング」だと思います。私ができることと、会社が求めるものがマッチしたときにすごく大きな成果が上がる。いままでの経験からも、マッチしないと、成果は本当に出ませんでした。

自分がマッチングする先は、多ければ多い方がいいですよね。いま私はメルカリでやりがいを感じていますが、ひょっとしたらもっとやりがいを感じられる領域や職種があるかもしれません。可能性は閉じずに、ずっと追いかけています。

副業をすることも、それにつながるかもしれません。副業をすると、入ってくる情報や接する人が変わってくる。すると自分のものの考え方が変わってきます。

たとえば、私は静岡銀行で副業を始めてから、それまではあまり接点がなかった、地方の中小企業が元気であることの重要性を強く感じるようになりました。興味関心や問題意識が確実に広がっているんです。

自分がどんなものに興味関心があるのか、それは触れてみないと分からないこともあります。一つに絞る必要なんてなく、欲張りにいろいろなものに首を突っ込んでみるのもいいのではないでしょうか。

興味関心や問題意識を増やすことが、将来の選択肢につながりそうですね。私にとっては、それが副業なのかもしれません。

(MEETS CAREER編集部)

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