人が喜ぶ瞬間を見ると、自分もうれしくなる。クイズ法人カプリティオ代表・古川洋平さんの「仕事のやりがい」

古川洋平さん



「仕事のやりがいとは?」社会人であればきっと誰もが、特にまだ模索の時期である新卒数年目の頃はこのような悩みにぶつかることが多いかもしれません。

今回は2014年にクイズ作家としてデビューし、現在はクイズ作家プロダクション「クイズ法人 カプリティオ」の代表を務める古川洋平さんへのインタビューを実施。

学生時代からクイズプレーヤーとして活躍していた古川さんは、もともと「クイズを仕事にする」とは考えていなかったそう。一般企業への就職、公務員の転職を経て、仕事への“やりがい”を重視し「クイズ」を仕事にする道を選んだという古川さんに、仕事の向き合い方などについて伺いました。

PROFILE

古川洋平

古川洋平
1983年宮城県生まれ。クイズ作家。仙台一高クイズ研究部時代に「パネルクイズアタック25」「タイムショック21」の高校生大会で優勝。その後、立命館大学クイズ研究会に所属。学生日本一決定戦「abc」3連覇、社会人日本一決定戦「ABC」2度優勝などの成績を収める。2014年より「クイズ法人カプリティオ」代表。
Twitter:@Piu_P/ Web:クイズ法人カプリティオ

「クイズ」を軸に、さまざまな活動を精力的に行う

ーー古川さんが代表を務める「クイズ法人カプリティオ」の業務内容について、改めてお教えいただけないでしょうか。

まずは「クイズ制作」ですね。肩書に「クイズ作家」があるのですが、その名の通りクイズを作ることが主な仕事です。ゲームアプリやテレビ番組、企業が実施するキャンペーンなど、広い用途に応じたクイズを作成、納品しています。

「クイズ王」としてクイズ番組に出るなどの「メディア出演」も、業務の一つ。2年前からはYouTubeの「カプリティオチャンネル」でクイズネタを中心にした配信活動もしています。こちらは私だけでなく、カプリティオのメンバーと一緒にやっています。



「カプリティオチャンネル」で配信された「ウミガメのスープ」(水平思考クイズ)というクイズを取り上げた動画


新型コロナの影響で現在はなかなか実施できていないのですが、「イベント運営」もしています。ほぼ月に1度の頻度、イベントスペースで初心者向けのクイズイベントを6年間主催していました。このイベントは、ライフワークの一部のようにもなっていましたね。

いずれも、軸に「クイズ」があるという感じです。ただメディア出演に関しては、私の存在を通して「クイズ法人カプリティオ」を知ってほしいという目的から、例えば人狼ゲームに関連した仕事など、クイズ以外のジャンルに関わることもあります。

あと、まったくもって「仕事にしよう」と思ってなく、クイズと関係ないのですが(笑)、私個人への依頼でダイエット関連の仕事が今年に入ってすごく増えました。約10カ月で40kg以上減量しまして……それに関するメディア出演も増えています。

※古川さんのTwitterより

働いていて「楽しい」と感じられるかは重要

ーー日々働いていると、ふと「このままでいいのだろうか」と不安になったり、仕事に対する向き合い方で悩んだりする方も少なくないように思いますが、古川さんはそういった経験はありますか?

ありますね。小さい頃からクイズが大好きでしたが、あくまで一生の「趣味」と考えていたので、大学卒業後は普通に就職しました。

でも、その会社がかなり激務で……。趣味の時間がとれないどころか、このままじゃ体を壊す! と約2年ほどで転職を決意し、公務員採用試験を経てケースワーカーとして働き始めました。ケースワーカーの仕事も大変な面はありましたが、やりがいはあったし、通勤中や休憩時間、休日にクイズの時間もとれるようになりました。

転機としては、ケースワーカーから別の部署に異動になったというのがあります。異動先がザ・お役所仕事という業務内容で。ルーティーンワークが得意・好きという方もいると思いますが、私はやりがいをまったく感じず、楽しくなかったんです。それと、区役所の仕事は数年単位で異動がつきもの。異動する度にできることはたしかに増えていきますが、私は一つのことを極めるのが好きな人間だと感じていて。このままの働き方でいいのか、と悶々としていましたね。29歳の時でした。

古川さん


そんな私の姿を見て、当時結婚したばかりの妻が「辞めなさい」と言ってくれたんです。「あなたが日々楽しそうじゃない、そんな状態で働いていても意味がない」と……。なんてすごい人なんだろうと思いました。

妻の言葉を受けて、改めて「働いていて楽しいと思える、そんな仕事って何だろう?」と考えた時、私の場合はやっぱりクイズに関わる仕事だと思い、クイズ作家になることを決めました。

クイズ作家として仕事を得ていく方法、というのは明確にはないと思います。幸いにも、知り合いの放送作家さんからお声がけをいただき、クイズ作家としてのスタートを切ることができました。今活動しているクイズ作家は、クイズ研究会出身であったり、クイズプレイヤーとしての活動経験がある人がほとんどなんじゃないかな。

今になって感じることですが、働く理由に誰しも大なり小なり「お金のため」があると思いますが、起きている時間の半分くらいは仕事をしているじゃないですか。その時間を「お金のため」という理由だけで乗り切る、というのは相当難しいなと。


ゼロから考えることが楽しいし、やりがいにつながっている

ーーさまざまな仕事を経験されてきた古川さんですが、仕事をするうえでどんなところにやりがいを感じられますか。

「自分の頭に浮かんだものが、人の心を動かす瞬間」かなと思います。クイズ作成って、ゼロから新しいものを生み出す「0→1」の仕事と捉えているのですが、まずそれ自体が楽しい。そして、創作したもので誰かが喜ぶ姿や楽しむ姿を見ると、やっぱりうれしいですね。

約6年間続けていたクイズイベントは、クイズの裾野を広げるという目的もあったんですが、反応がダイレクトに感じられるのがよくて。自分が企画・主催したイベントで、参加者がクイズに1問正解しただけでめちゃくちゃ喜んだり、逆に当てられなくて悔しがったりしてくれて、その熱気が私にも伝わる。クイズ作家として活動するうえでのモチベーションにもなっていました。

もう一つ、クイズ法人カプリティオの代表として「経営」すること自体が面白く、やりがいがあります(笑)。民間企業、公務員、個人事業主(クイズ作家としてデビュー)、起業(クイズ法人カプリティオ設立)というキャリアを歩んでいることもあり、色々な世界での仕事の進め方を知っている、というのが私の一つの強みじゃないかなと思っています。


古川さん

まずは自分が仕事に対してどんなとき「やりがい」を感じるのかを考えてみる

ーー仕事のやりがいやモチベーション維持に悩む社会人に、古川さんなりのお考えを伺いたいです。

私がケースワーカーの仕事にやりがいを感じたのは、

・自分の裁量をもって行動できる
・状況に応じて柔軟に「思考」する必要がある
・誰かのためにコミットして、そこに対してダイレクトに反応がある

というところだったように思います。振り返ってみると、今の仕事をするうえでのやりがいに通じる部分がありますね。

もしなんとなく「仕事、つまらないな」という状態が続いているのなら、まずは自分が仕事に対して何にやりがいを感じるのか、というのを改めて考えてみるといいんじゃないかなと思います。

そうすると、仕事は合ってはいるけれど、別の要因があるかもしれない。じゃぁ解消するにはどうすれば? やりがいを生み出すことはできないか? といった次の行動にもうつせるかもしれない。あるいは別の仕事はどうか、と考えるきっかけにもなるかもしれませんね。

撮影:曽我美芽

(MEETS CAREER編集部)

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