ブログ「介護士働き方コム」の運営者・深井竜次さんに教わる、社会人のためのお金の流儀

深井竜次さん

社会人にとって大切な、毎月の給与・報酬。趣味や娯楽に使えるお金が増える一方で、「今月も使いすぎてしまった」「このまま働いていて、将来のための蓄えはできるのかな?」など、悩みや不安を持つ人も少なくありません。

そこで今回は、介護ブロガーとして100万円以上の月収を手にしつつ、ミニマムな暮らしを追求している深井竜次さんにインタビュー。社会人としてどんなふうにお金と向き合っていけばよいのか、ご自身の経験を交えて話していただきました。

PROFILE

ブログ「介護士働き方コム」の運営者・深井竜次さん"

深井竜次
1993年、島根県生まれ。24歳の時、介護職の給与・待遇に疑問を持ち、正社員として勤めていた施設を辞めて上京する。派遣介護士として勤務する傍ら、ブログ「介護士働き方コム」の運営をスタート。わずか半年でブログ収入が本業を超える。現在は独立し、介護ブロガー、アフィリエイター、作家として活動。著書に『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』(KADOKAWA)がある。 Twitter:@tantan4423

納得できる給与・報酬を得られてこそ、仕事にやりがいが生まれる

――日々の生活や将来設計にお金は重要ですが、それよりもやりがいや楽しさを優先させるという考え方もあります。お仕事をするうえで「給与・報酬(お金)」についてどう捉えていますか?

僕は、仕事のうえでお金のことを第一に考えています。給与や報酬は、労働への対価。自分の能力がどれだけ評価されているかが現れるものです。やりがいは、納得できる給与・報酬をもらったうえで、求めていくべきだと思っています。

例えば、僕が身を置いていた介護の世界では、「給与・報酬が少なくても、やりがいが得られればいい」と考える人が少なくありません。すばらしいことなのですが、労働量に見合ったお金をもらえなければ、心身がすり減っていき、仕事を長く続けていくことはできません。

毎月暮らしていくのに十分なお金を得ることができれば、精神的にも安定し、安心して仕事に打ち込める環境が整います。また、自分のスキルを上げて、より給与・報酬の高い、責任ある仕事に取り組める可能性も広がります。その過程で、仕事にやりがいを感じられるようになるはずです。

kaigoblog
自身のブログでは介護士のお金の問題も取り上げている

やりたいことに安心してチャレンジするために、十分な貯金をつくる

――社会人になると自分で使えるお金ができる一方、将来のための備え(お金)に漠然と不安を持っている人は多そうです。深井さんはいつ頃から、お金にまつわる将来設計を考えはじめたのでしょうか。

先ほど、「まずは労働量に見合ったお金をもらうことが大切」という話をしました。しかし、新社会人のころはどうしても給与が少ないのが現実です。僕は、介護の仕事をはじめたころから「お金に余裕がない状態を早く脱して、生活をするための仕事ではなくやりたい仕事にチャレンジできるようにするために、しっかり貯金をつくっていこう」と考えていました。資産があれば好きなことにお金を使えるし、やりたいことに全力をかけやすくなるからです。

そこで、まずは自分が安心できる貯金額として「1年働かなくても生活できる金額」を目標として設定し、貯金を始めました。最初は難しいかもしれませんが、月1万円でも、できるだけお金を残していくといいですね。

目標としていた貯金額を達成してからは、少しずつ株式にも投資するようにしました。投資にはリスクが伴い、結果的に元本割れになってしまう場合もあります。しっかりとした貯金があってはじめて、リスクを容認しながらも投資ができると考えています。

僕は、安心できる金額まで貯金をし、投資にも回せる余裕が出るようになってから、本を執筆する時間を確保するために介護職を辞めました。やりたい仕事に力を注ぐために、生活をするための仕事を辞められたのは、お金を貯めた安心感があるからだと思っています。

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講演などブログ以外でも働き方やお金に関する情報を発信している深井さん

使ったお金の「見える化」+目的別口座の活用で資産を形成しやすくする

――将来の備えをするにも「お金の管理」が重要そうですね。深井さんが普段行っているお金の管理方法について教えてください。

基本的には、お金を使わないということです(笑)。ふだんからあまり現金を持ち歩かないですし、ミニマリストとまではいきませんが余分なものを所有しないことにしています。いま住んでいる島根県では、移動手段としてクルマが必須ですが、高機能だけど価格の高い新車ではなく、機能的に十分かつ安価な中古車を購入して乗っています。

お金を管理するうえで重要なことの一つが、自分が何にどれだけお金を使っているかを把握することです。何か買うときには、クレジットカードなど記録や履歴が残るもので決済しています。これを実践することで、大量のレシートを保管したり、家計簿をつけたりしなくても、お金の流れを「見える化」できます。

管理と呼べるほどではないかもしれませんが、僕は目的別にいくつかの銀行口座を持っています。給与・報酬が入ったら、まず貯金用の口座と投資用の口座に決まった金額を移します。そして、余った分を生活のために使うのです。貯金や投資のためのお金を先に確保することで、将来への資産形成がしやすくなります。

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働き方に関する深井さんのノウハウが詰まった著書「月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方」

プライベートを充実させる、「お金をかけずに楽しめること」も見つけよう

――将来への備えもそれなりにしたいものの、働きはじめて数年のうちはまだ余裕がないのも事実。お金の使い道に悩むことも多そうです。お金とのうまい付き合い方を教えてください。

自分の給与・報酬の中でできる「楽しいこと」を見つけるのは重要です。例えば、僕はアニメが好きなので、わずかな月額料金で利用できる動画配信サービスに加入しています。オフのときにアニメを鑑賞することが、僕にとって至福の時間です。

ほかにも、フットサルだったり、ランニングだったり、スポーツを楽しむのもいいと思います。練習すればするほど上達するし、達成感もある。そうした、お金をかけずに楽しめることがあれば、プライベートを充実させながら貯金もできます。

がんばってお金を稼いだのに、それを簡単になくしてしまうのはもったいないことです。なので使い道や貯金する目的をよく考えてみてほしいと思います。

(MEETS CAREER編集部)

取材・文/佐藤史親

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