今回は、会社員とフォトグラファーの二足の草鞋を経験したのちに、フリーフォトグラファーに転身した、もろんのんさんをインタビュー。以前より職種や勤務形態にとらわれずに自分にあった働き方をしてきたもろんのんさんに、ワークライフバランスや働き方を見直したことで起きた変化についてお話を伺いました。
PROFILE
仕事に追われて心身の余裕がなくなり、フリーランスに
——もろんのんさんが会社員を辞め、フリーランスのフォトグラファーの道を選んだ理由を教えてください。
フォトグラファーとしてより幅広い仕事への挑戦や技術のレベルアップを目指したかったこと、そして体力面で限界を感じたことが理由です。
フリーランスになる前は、Mr.CHEESECAKEにマーケターとして勤務していました。個人で請けていたフォトグラファーの仕事は、平日の空き時間や土日にこなしていた形ですね。
そんな会社員時代の平日のスケジュールは、朝一番にフォトグラファーの連絡業務をこなしてから本業の仕事にあたり、昼休みはカフェで写真編集などの作業。午後もしっかり会社員として勤務して、帰宅後はまたフォトグラファーとしての仕事を再開……という感じでした。そして、土日は一泊二日で出張撮影。「私、いつ休んでいるんだろう」という状態だったんです。
そんな生活を続けるうちに体力的にも精神的にも余裕がなくなり、パフォーマンスの低下も感じて、働き方を見直すべくフリーランスになることを決めました。
ーーフリーランスになられる1年ほど前から始められたYouTubeも、働き方を変える後押しになったのでしょうか。
そうですね。2020年4月に最初の緊急事態宣言が発令されてから数カ月間、一時的に撮影のご依頼が減って。そこでYouTubeを始めたんです。
YouTubeにトライしたことでさまざまな変化がありましたが、その一つがフリーランスの方々とのつながりが生まれたこと。その交流のなかで、今まではどこか他人事だった独立の道が現実的な選択肢になりました。
また、仕事での人間関係の幅が広がったことで、「正社員とフォトグラファーというパラレルキャリアの道以外に、フリーランスとして働く方法もある」と自分自身の思考も変化していき、フリーランスになることが現実的になっていったんです。
――フリーランスになってどんな変化がありましたか?
「誰と働くか」をより選びやすくなったのはうれしい変化です。自分が応援したい人や組織、プロダクトの力になれることは、私にとってとても大きなやりがいなので。もちろん、会社員のときも自分の好きな人やプロダクトのために働いてきましたが、フリーランスになってその幅がさらに広がりましたね。
「何もしない、をする」ができる時間をもっと増やしたい
――フリーランスになった現在の生活スタイルを教えてください。
平均すると平日4日間は撮影に出かけ、1日は自宅で編集などの作業を行い、土日のうち1日は仕事、もう1日は休みという感じでしょうか。
――以前よりは余裕ができたようですが、今のワークライフバランスに満足していますか?
いえ、残念ながら満足はできていません(笑)。できればもう少し休み、「何もしない、をする」時間を確保したいですね。今はまだ目先の仕事のインプットとアウトプットに追われて、中長期的な目標を考えたり、プライベートを充実させるための情報収集をしたりする余裕がないので……。例えば土日は絶対に仕事を入れないなど、少々無理やりにでもルールをつくる必要があるだろうと感じています。
あとは、オン・オフの切り替えも課題です。会社員の場合、基本的には業務時間が決まっているじゃないですか。でも、フリーランスはよくも悪くも自由で、どうしてもメリハリがつかなくなりがちですから。
――フリーランスならではの課題もあるんですね。テレワークやリモートワークになって自宅でお仕事をされる方も、似た悩みを抱えていらっしゃると思います。もろんのんさんが、課題を解決するために取り組まれていることはありますか?
自宅での作業中は「場所」で行動を制限するようにしていますね。デスクの前に座るときは仕事、リビングでは休む。これを意識してから、頭を切り替えやすくなったと感じています。
それから、オフにしっかりと心身を休めるという観点では、最近始めた趣味のサウナとキャンプが効果的なんですよ。共通するのは、「何もしない、をする」ができること。焚き火の炎が揺らぐ様子をぼーっと眺める。デジタルから離れてひたすら汗を流す。
家にいるとついスマホを触って情報に触れてしまいますが、キャンプやサウナではそれがなく、心をデトックスできます。何もしないをすると、自然と思考を整理できて「今の自分」と深く向き合えるのでおすすめです。
ほんの小さな一歩を踏み出すことが未来を変える
——ライフワークバランスもその一つですが、「働き方を変えたいけど、どうしたらいいか分からない」と悩んでいる方も多いと思います。そんな方にもろんのんさんからメッセージをお願いします。
「自分の興味関心や強みをよく理解したうえで、一歩を踏み出してみてほしい」ということですね。
踏み出す一歩は、小さくていいと思います。例えば、気になる働き方をしている方のSNSをフォローするのも、立派な一歩。その些細なアクションが未来につながっていくはずです。
そして、一歩を踏み出すためには、やはり体力的にも精神的にも余裕が必要。それは仕事面でも生活面でも同じです。私もまた新たな挑戦ができるように、「何もしない、をする」ができる時間をしっかりつくっていきたいです。
(MEETS CAREER編集部)