社内の部活動をきっかけに居場所が広がった。サイボウズ・吉原寿樹さんの「趣味との付き合い方」

サイボウズ吉原寿樹さんの趣味との付き合い方

さまざまな社会人の「趣味との付き合い方」をお聞きするシリーズ企画「変化する『趣味との付き合い方』」。今回は、会社内で軽音楽部を立ち上げて仲間とバンド活動をする吉原寿樹さんにお話を伺いました。

今や趣味は生きていくうえで欠かせない存在になりつつありますが、昨今の環境の移り変わりを受け、趣味との付き合い方にも変化が生まれていそうです。大人数で練習をしたりライブをしたりするのが難しくなった今、どのように音楽活動を楽しんでいるのかをお聞きしました。

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Q.)吉原さんの趣味活動について教えてください。

幼稚園生の頃からエレクトーンを習っていて、高校では軽音楽部、大学でも軽音楽サークルに所属していました。社会人になってからもバンドをやりたくて、入社1年目に社内の軽音楽部を立ち上げ、それ以来主に部活動で楽器の練習やライブをしています。

軽音楽部を立ち上げたのは、創業記念月の全社イベントで同期と一度限りのバンドを結成して出し物をしたのがきっかけです。そのあと社内で「私もバンドをやりたい」という声が聞こえるようになり、その流れに乗って2017年に社内部活を作りました。部活動をはじめとしたコミュニティ作りを推進する社風のおかげで、若手でもスムーズに立ち上げができた記憶があります。

軽音楽部がなかった頃は自宅で楽器を弾いたりスタジオで個人練習をしたり……といった形で音楽を続けていたんですが、人と一緒にやることでしか生まれない楽しさがあるんですよね。誰かと一緒にやることで意図しなかったものが生まれたり、「そういうやり方があるのか!」という気づきがあったりするのがバンドの良さだと感じています。

コロナ禍前は3、4カ月に一度くらいのペースでライブイベントを企画して、出たい人でバンドを組み、ライブに向けて練習をしていました。発表の場があることで「練習しないと」というプレッシャーがかかり、理想的なペースで活動できていたと思います。2017年に軽音楽部を立ち上げてから10回以上はライブをやったんじゃないかな。

軽音楽部のライブの様子


Q.)今の吉原さんにとって趣味はどんな位置づけでしょうか。以前との変化とあわせて教えてください。

心理的な居場所のような存在でしょうか。「学校だけ」「会社だけ」のように居場所が一つしかないのはしんどい時もあると思っていて。学生であれば学校のほかにバイトやサークル、会社員なら仕事と趣味のように、片方がうまくいっていない時に逃げ込める場所があることは精神的な支えになるんじゃないかなと思うんです。そのためにバンドをやっているわけではないですが、仕事があまりうまくいかない時に「この場所があってよかったな」と思うことはあります。

今は大人数で集まるのが難しいので、活動のペースは落ちていますし、ライブもできない状況ではありますが、軽音楽部の活動自体は続けています。自分の好きなアーティストについて話すオンラインイベントを企画したり、社内SNSの掲示板でライブや楽器について雑談をしたり、コミュニケーションは続いています。私自身、音楽をやること自体も好きですが、共通の趣味をきっかけに生まれるコミュニケーションも趣味の醍醐味だと思うんです。同じように、こういう場があるだけでも日々の仕事が楽しくなると感じる人もいるんじゃないかなと、勝手ながら思っています。

部活を通じて、普段仕事で関わらない人と話すきっかけが生まれることもすごく多いです。部活で知り合った人とチーム横断プロジェクトで一緒になりスムーズにやりとりができたり、普段は話さない部署の人と部活を機に業務の話をすることで、新しい仕事のアイデアが生まれたり。おそらく軽音楽部だけでなく他の部活でも、そういったことは起きてるんじゃないかなと思います。特に中途入社の方はなかなか他部署の人とコミュニケーションをとるきっかけがないようで、軽音楽部のおかげでいろんな人と話すきっかけが生まれてよかったと話す方もいます。


Q.)社会人は仕事とのバランスを考えることが多そうです。趣味と仕事を両立するうえで工夫していることを教えてください。

社内SNSのやりとりは部活のメンバーでなくても見られる、いわばすべて公開されている状態なので、部活の予定などは仕事のメンバーにもグループウェアのスケジュール機能で見られるようになっています。変に隠すと「あいつちゃんと仕事してるのかな?」とチームメンバーが疑心暗鬼になる可能性もあるので、「この日、この時間は部活に充てます」「でもこの日はちゃんと仕事しています」というのが明確になるようにしています。

最近は自宅で仕事をすることも多いので、昼休みの空いた時間にちょっとだけ楽器を触ることもあります。そのやり方を始めてから心掛けているのは、できるだけ楽器に触るハードルを下げること。例えばギター、ベースなら前もってチューニングをしておく、キーボードなら電源をすぐにつけられるようにしておくなど、思い立ったらすぐ弾ける環境を作っておくんです。楽しむための趣味なのに、始めるまでが億劫になってしまったら本末転倒ですよね。あくまでも趣味なので、ハードルを上げすぎずに楽しくやれるのが大事だなと改めて気づきました。


Q.)その他、趣味に関することで以前と比べて変わったことがあれば教えてください。

コロナ禍が始まった頃はオンラインでバンドをやろうとしたこともあったんですが、今のテクノロジーではなかなか難しいんですよね。今は逆にすっきり諦めがついたというか、コロナ禍明けを楽しみに待とうという発想になりました。「どうにかやれないか」ともやもやするよりも、気負わずに今できることをやったり、また集まれる日を楽しみに待つほうが精神衛生上良いなと思っています。

毎年会社には新入社員が入ってきて、その中には「軽音楽部に入りたいです」と連絡をくれる方もいます。なので、コロナ禍が明けたらまた新しい人と一緒にやれるんだなと、希望が積み上がっていくように感じています。もちろん早く集まってやりたい気持ちもありますが、同時に楽しみの種が増えている感覚もあるんです。

(MEETS CAREER編集部)

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お話を伺った方

吉原寿樹

吉原寿樹
2017年、サイボウズ株式会社に新卒入社。コーポレートブランディング部 副部長/プロダクトブランディングチーム リーダー。働き方×ツールをテーマにしたコンテンツ制作やプロモーションの企画、チームのマネジメントを担当。その傍らで学生時代からの趣味である音楽を続けるため、社内の部活動として軽音楽部を立ち上げ、現在も運営を続けている。
Twitter:@yosshimusic