相手と対等に向き合うことで成長できる。バンドマンから営業職に転職した堤貴宏さんが上司のひと言で救われた話

相手と対等に向き合うことで成長できる。バンドマンから営業職に転職した堤貴宏さんが上司のひと言で救われた話

元バンドマンで32歳からビジネスパーソンとしてキャリアをスタートさせた堤貴宏さんが、今のキャリア観に影響を与えた上司に言われたひと言を紹介します。

今やホットリンク社でインサイドセールスとして活躍する堤さんですが、その昔はスキルのなさに恐縮してしまい、うまく周りの人とコミュニケーションが取れず苦労したと言います。

そんな時にかけられた上司のひと言が堤さんの考え方を変え、救います。社会人の先輩たちはどのようにまわりの言葉を吸収してキャリアに生かしていっているのでしょうか。明日からのヒントがありそうです。

***

Q.)堤さんがご自身のキャリア観において大事にされている軸に影響を与えた上司や先輩、あるいは同僚に言われたひと言について教えてください。

“会社内の「役職」は「役割」が違うだけで上も下もなく人として対等”

ホットリンク社に入社当時、所属部署の部長に言われた言葉です。人として対等なのだから、恐縮せずにコミュニケーションしてほしいと言われました。お互いリスペクトを持ちながら対等に接するからこそ議論が進み、フォローし合えることでお互い成長もできるはずだという話でした。


Q.)このひと言をもらう前の堤さんはどんな状態だったんでしょうか?

マーケティングはほぼ未経験でホットリンク社に入社し、周りと比べて自分のスキルが明らかに低く自信がありませんでした。

しかし、プライドが邪魔をし「スキルが足りない」事実を認めることができませんでした。「こんなことも分からないのか?」とバレたくなく、分かったフリをしてごまかしてしまうこともありました。

今思えば、私が分かっていないことなど見透かされていました。しかし、それを本人が認めない限り、教える側はやりづらかったと思います。

また、当時私は35歳でしたが、ビジネスパーソンのキャリアをスタートさせたのが32歳だったため、周りに比べて遅れているという劣等感を強く覚えていました。過去に在籍していた会社では、スキル不足からまったく活躍できず、情けない状態で退職をした経験もあります。

そのため、特に役職者に対しては「スキルが高い上司」と過剰に身構えてしまうところがありました。そして、表面的にごまかすコミュニケーションをしてしまい、本質的な自分の課題に向き合えていませんでした。

結果、成長スピードが遅く成果も出ず、自信も付かず、身構えてコミュニケーションもうまく取れず……という最悪なループに入っていました。今思えば、変に「自分は下」だと抑え込み、自ら周りとの壁を作ってしまっていました。

※あわせて読みたい:元バンドマン・堤貴宏さんが営業を“天職”にするまでのキャリアの紆余曲折


Q.)そのひと言が堤さんのキャリア観にどんな影響を与えたのでしょうか。

ビジネスパーソンとしてキャリアの考え方の視野が広がりました。周りの人と対等に向き合うために、自分の中でしっかり軸を持とうとしました。具体的には

「自分はどうなりたいのか?」「自分に合った役割は何なのか?」

ということを突き詰めて考えるようになりました。自分に軸を持つことで、周りの人のキャリアと比べて不安を感じたり、過度に身構えたりすることもなくなりました。

大切なのは「自分はどうなりたいのか?」を常に考え、その理想へ正しく向かっているのかだと思います。その道は必ずしも、周りの人と同じでなくても良いのです。


Q.)それによりその後の行動や思考がどう変化し、堤さんのキャリアにつながっていったのでしょうか。

自分の軸に沿って成果を出すことを意識するようになり、それを実現させるために分からないことを分からないと、素直に周りに言えるようになりました。

すると教えてくれる人が増えて仕事を進めやすくなり、私自身の成長スピードも上がりました。対等な目線で教えてくれる人に感謝の気持ちが芽生え、誠実に応えたいため、言われたことを素直に行動に移せるようになったからです。

劣等感を持っていた「32歳までビジネスパーソンのキャリアがない」こともポジティブに捉えられるようになりました。

人として対等なのだから臆することなどなく、むしろ「そこから頑張っている自分自身を堂々と表現すればいい」と思いました。

そのスタンスで、抱えている悩みや乗り越え方をSNSで発信し続けていたら、共感してくれる人が増え、ビジネスイベントへの登壇やメディアからの取材、記事の執筆といった仕事につながっていきました。

外部への露出増加に比例して、仕事への責任感も強くなりました。いくらSNSやイベントでいいことを言っていても、実務での成果が伴っていなければ身近な人からの信頼を得られず、いいキャリアにつながるとは思えないからです。

また信頼を得るためには、必ずしも「すべてにおいて優秀な人」と思われる必要はありません。未熟な部分を含めオープンなコミュニケーションを心掛け、自分のウィークポイントはほかのメンバーに助けてもらうことで生まれる信頼関係も多くありました。

ウィークポイントを見せるのは少し勇気がいるかもしれませんが、案外、弱さの中にその人の魅力や共感できる部分が詰まっていると感じます。

対等であるからこそ、こうした正直な自分でいられるようになれたのだと思います。

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お話を伺った方

堤貴宏。株式会社ホットリンクでマーケティング本部インサイドセールス部に所属。高校卒業後、ギタリスト・MIYAVIに弟子入り。その後、 赤坂BLITZや恵比寿リキッドルームでのワンマンライブを成功させたヴィジュアル系バンド「シリアル⇔NUMBER」に在籍するなど、自身もミュージシャンとして活動。当時の曲はカラオケDAMやJOYSOUNDに約50曲収録されている。ミュージシャン引退後はビジネス界へ転身し、「ヴィジュアル系インサイドセールス」として活動。Voicyのパーソナリティーを務め、各種ビジネスイベントに登壇するなどその活動範囲は多岐にわたる。

堤貴宏
株式会社ホットリンクでマーケティング本部インサイドセールス部に所属。高校卒業後、ギタリスト・MIYAVIに弟子入り。その後、 赤坂BLITZや恵比寿リキッドルームでのワンマンライブを成功させたヴィジュアル系バンド「シリアル⇔NUMBER」に在籍するなど、自身もミュージシャンとして活動。当時の曲はカラオケDAMやJOYSOUNDに約50曲収録されている。ミュージシャン引退後はビジネス界へ転身し、「ヴィジュアル系インサイドセールス」として活動。Voicyのパーソナリティーを務め、各種ビジネスイベントに登壇するなどその活動範囲は多岐にわたる。
Twitter:@hotto_mihiro