新人エンジニアが成長するには? 山崎大助さんを前進させた金言「ドキュメントを読め」

今のキャリア観に影響を与えた上司や先輩に言われたひと言を紹介するシリーズ企画「金言〜わたしを変えたひと言〜」。今回はアパレル業界を経てエンジニアになり、現在ではエンジニア養成学校G'sACADEMYの学校長を務めるという異色の経歴を持つ山崎大助さんにお話を伺いました。
今のキャリア観に影響を与えた上司や先輩に言われたひと言を紹介するシリーズ企画「金言〜わたしを変えたひと言〜」。今回はアパレル業界を経てエンジニアになり、現在ではエンジニア養成学校G'sACADEMYの学校長を務めるという異色の経歴を持つ山崎大助さんにお話を伺いました。

山崎さんを変えたひと言は、まだ新人エンジニアだったときに先輩エンジニアからかけられた言葉。山崎さんはその言葉により、次のステップに踏み出していくことになります。

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Q.)山崎さんがご自身のキャリア観において大事にされている軸に影響を与えた上司や先輩、あるいは同僚に言われたひと言について教えてください。

“ドキュメントを読め”

エンジニアの先輩からのひと言です。ここでの「ドキュメント」とは、特定のWebサービスの公式のマニュアルのようなものを指しています。

新人エンジニアの頃にドキュメントを読めという言葉をかけられた山崎大助さん

ドキュメントには、Webサービスの機能や仕様や使い方などが網羅的に書かれています。書いているのはWebサービスの開発者で、そのWebサービスを利用するエンジニアが読むことが想定されています。これさえ読めば、そのWebサービスのことはすべて分かるようになっているんです。

そのために、当該Webサービスを利用した開発を行っているエンジニアは読んでおいた方がいいですね。

……ただ、これはエンジニアであっても、読むのがかなり大変なんです。当時の私はドキュメントを敬遠して、読んでいませんでした。

Q.)このひと言をもらう前の山崎さんはどんな状態だったんでしょうか?

この言葉をもらったのはエンジニアとして働き始めて2年目のころでした。私は30歳の手前で、アパレル業界からエンジニアという異業種の転職をしています。周りの先輩エンジニアは私よりずっと年下で、しかも大学院などで系統的に情報学の勉強をしていた人も多かったです。

※あわせて読みたい:30歳を前にアパレル店長からエンジニアへ転職。未知の領域でアウトプットを続けたら「自分にしかできない仕事」が見えてきた

そんななかで、自分に知識や技術が足りていないことは実感していました。当時私が仕事で開発の参考にしていたのは、「初学者向けのブログ記事」です。公式のドキュメントは難しいために、分かりやすくかみ砕いた記事がネット上にはたくさんあります。

そこに例示されているコードを参考にしつつ、どうにか自分なりに現在の状況に適応させて「ちゃんと動いているな」「これで会議で進捗の報告ができる」という感じでした。

初学者であれば、こうした開発をするのも仕方がないかもしれません。ただし「初学者向きのブログ記事」に書かれている内容は、状況が限定的なので、必ずしも仕事の状況にマッチするとは限らないんです。

その結果、私が担当している部分に無駄なコードが増えてしまったり、後々メンテナンスが必要になるコードが入ってしまうことになります。ドキュメントさえ読んでおけば、こんなことはなくなり、最適なコードを書けるはずです。

「ドキュメントを読め」という言葉をかけてくれた先輩は、そんな僕の状況を見抜いていたんでしょうね。

Q.)そのひと言が山崎さんのキャリア観にどんな影響を与えたのでしょうか。

それからしばらく経ってからですが、1週間ほどかけてドキュメントを読み込みました。本当にびっくりしましたよ。「必要なことは最初からすべてここに書いてあるじゃないか!」と。

ドキュメントを読むようになり、おどろいた山崎さん

それまで「技術の高いエンジニア」は、一般の人間にはまったく想像の付かないような高度な知性を持っている人たちだと思っていました。ましてや、遅咲きのエンジニアである私には絶対に及ばないような人達だと。ある意味、技術の高いエンジニアを神格化していたのかもしれません。

でも、そうではなかったんですね。彼らはドキュメントを読んでいたんです。これさえ読んで理解すれば、誰でも当該Webサービスのことがすべて分かるようになる。ドキュメントは本当に読むのが大変で、時間も体力も使いますが、技術の高いエンジニアたちはそれを厭わずにコツコツと積み重ねていたというだけでした。

Q.)それによりその後の行動や思考がどう変化し、山崎さんのキャリアにつながっていったのでしょうか。

当時私が取り組んでいたのは、Microsoftが提供しているBing Mapsを利用したwebサービスです。Bing Mapsのドキュメントを読むことにより、Bing Mapsの機能や仕様を一通り理解できるようになりました。

その後、私はBing Mapsの機能をもっと分かりやすく表現する「Bing Maps GO! 」というサイトを立ち上げてみたんです。

Microsoftから出ているドキュメントはすべて文字で書かれているのですが、私はビジュアルで分かるようにしてみました。また、複雑で長いコードを誰にでも使えるようにまとめた「ライブラリ」も提供するようにしました。このサイトを公開して間もなくMicrosoftからメールが来たんです。この時は一瞬凍り付きましたね。「Microsoftの許可もなく勝手なことをしている」と、怒られるのではないかと……。

しかし開封してみると、私の活動に関心を持って、高く評価してくれるものでした。そして「Bing Maps GO! 」をMicrosoft公式ブログで取り上げてくれたんです。これは日本人では初めてのことです。さらにMicrosoft MVPという賞もいただきました。大変に名誉なことで、とても感激しましたね。私は遅咲きのエンジニアですが、こんなふうに評価していただけるのかと。

私は現在IT教育に力を入れており、起業家・エンジニア養成学校の校長をしております。異業種から転換して初学者だった自分と、ドキュメントを読んで成長できた自分の両方があるからこそ、こうした仕事ができているのだと思います。あの時「ドキュメントを読め」と言ってくれた先輩がいなかったら、今の私はなかったかもしれません。



山崎大助さんが考える「仕事のやりがい」


同シリーズ~社会人の先輩たちが受けてきた金言~

お話を伺った方

山崎大助。アパレル業界を経てエンジニアに。2008年に個人開発した「AIR Note!」は、業界でも大きな話題となった。現在は起業家・エンジニア養成学校G'sACADEMYの学校長を務めながら、デジタルハリウッドの講師業や執筆業など開発以外でも多方面で活躍している。

山崎大助
アパレル業界を経てエンジニアに。2008年に個人開発した「AIR Note!」は、業界でも大きな話題となった。現在は起業家・エンジニア養成学校G'sACADEMYの学校長を務めながら、デジタルハリウッドの講師業や執筆業など開発以外でも多方面で活躍している。
Twitter:@daisu_yamazaki
YouTube:山崎大助 / ジーズアカデミー・デジタルハリウッド【 雑学プログラミング 】