
転職活動の第一歩は、自分自身を知ること。
なぜなら、どんなに「いい転職先」と言われる企業を見つけても、自身の希望に合う職務内容、環境でなければ、続けていくことは難しいからです。
とはいえ、日々の業務に追われながら、過去の経験や価値観を言語化するのは容易ではありません。そんな自己分析のプロセスを、生成AI・ChatGPTが力強くサポートしてくれるとしたら?
働きながらの転職活動をスムーズに進めるためのChatGPT活用術。今回の記事では、キャリアの棚卸しと価値観の整理による自己分析をテーマに、都築辰弥さんにお話をお伺いしました。実践的なプロンプトとワークシートは必見です。
※この記事はマイナビ転職「転職データ&トレンドニュース」にも掲載されています。
https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/trend/16/

突然ですが、あなたは友人・知人宅の冷蔵庫の中を見たことはありますか。
有機野菜がたくさん詰め込まれていたり、珍しい海外の調味料が整然と並んでいたり、ぐちゃぐちゃだったり、あるいは空っぽだったり……。冷蔵庫の中身を見れば、その人の食生活への考え方や性格、得意料理などをうかがい知ることができますよね。
これを自分の冷蔵庫で、そして食ではなくキャリアをテーマに行うのが「自己分析」です。
自分の冷蔵庫の中には今、どんな食材(=これまでの経験)が入っているのかを棚卸しし、こういう料理(=仕事内容)をおいしく作れそうだ(=強み)、次はこういう料理を作ってみたい(=キャリアプラン)、そのためにはあの調味料を買ってこなければ(=リスキリング)、といったことを考えていくのです。
しかし、経験という目に見えないものを棚卸しすることは、本物の冷蔵庫の中身を把握することよりも難しいですよね。また、職業理解というレシピの知識がなければ、今ある食材でどんな料理を作れるのかを思いつけないかもしれません。そんなときに頼りになるのが、ChatGPTをはじめとする生成AIです。
申し遅れましたが、私は45歳からのマンツーマン転職塾「ライフシフトラボ」の代表を務めています。
ライフシフトラボは、転職をお考えの40〜50代のビジネスパーソンを対象に、自己分析や職務経歴書の作成、求人選定、企業分析、面接対策などを一体的に伴走支援する、転職活動のパーソナルトレーニングです。同時に私は、学生時代にAIを専門に学んだエンジニアでもあります。
本記事では、そんなライフシフトラボのキャリア支援現場で培った知見とテクノロジーの専門性をもとに、ChatGPTを活用した自己分析ノウハウを具体的なプロンプトとともに公開します。
転職すべきかどうかを迷っている方、ミスマッチの転職で後悔したくない方、自分では想像できないあなたのキャリアの選択肢を知りたい方に届くことを祈っています。なお、ライフシフトラボの受講者は40〜50代が中心ですが、本記事は世代を問わずに通用する内容です。
【フォーマットあり】転職の自己分析は棚卸しが9割
いかにChatGPTとて、あなたのことを何も知らない状態で「自己分析を手伝って!」と指示しても、的を射た回答は返ってきません。
コンピュータサイエンスの世界には、Garbage in, garbage out(ゴミのようなインプットからは、ゴミのようなアウトプットしか得られない)という言葉があります。
入力データの質が結果の質を決定する、すなわち、あなたのこれまでの経験やその道を選択した理由といった、AIへのインプット情報を言語化することのほうが、分析の過程よりもはるかに重要なのです。
ここでは、ライフシフトラボでも用いている2つの自己分析用ワークシートを用意しました。ChatGPTを開く前に、まずはこのシートをしっかりと埋めることに十分な時間を費やしましょう。以下のフォーマットに従って、Excelで作業するのがおすすめです。
表1:キャリア棚卸しシート
いつどんな会社でどんな仕事をし、どんな課題に取り組んできたのかを棚卸しします。これをしっかり書いておくと、いざ転職活動を始める際に必要な職務経歴書の作成もうんとラクになります。| 開始年月 | 終了年月 | 会社名 | 部署名 | 担当業務の詳細 | 主な成果・取り組んだ課題 | 当時のモチベーション(0~100) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 例)01年4月 | 08年12月 | ㈱ライフシフトラボ | 人事総務部 | 中途採用担当。採用リーダーのもとで、全職種、年間10人程度の採用の計画策定、媒体選び、求人票作成、面接を一気通貫で実行。 | 選考中に読んでもらえる社員インタビューや福利厚生の情報を網羅した小冊子を作り、配布。面接官トレーニングを徹底し、面接体験を向上することで、内定承諾率を前年比30%向上。採用コストを20%カット。 | 70 |
| ●○●○●○●○ | ●○●○●○●○ | ●○●○●○●○ | ●○●○●○●○ | ●○●○●○●○ | ●○●○●○●○ | ●○●○●○●○ |
| ︙ | ︙ | ︙ | ︙ | ︙ | ︙ | ︙ |
| ︙ | ︙ | ︙ | ︙ | ︙ | ︙ | ︙ |
● 社会人歴が浅い方は、学生時代のサークル活動やアルバイト経験について記載しても構いません。
【筆が進まない場合のChatGPTプロンプト】
会社名や部署名は埋められたけれども「やってきたことを思い出せない」「大した成果を挙げていない」といった理由でシートがなかなか埋まらない場合は、思考を深めるための問いをChatGPTに投げかけてもらうのもおすすめです。
このワークシートをExcel形式でChatGPTに添付し、以下のプロンプトを入力してください。
私は転職活動に備えて自己分析に取り組んでいます。添付のワークシートに記載の {営業事務の経験} について、「担当業務の詳細」「主な成果・取り組んだ課題」をできる限り具体的に記入するために、思考を深めるための問いを5つ投げかけてください。
※ { } 内はご自身の経験に書き換えてください。
表2:価値観棚卸しシート
続いて、仕事をする上であなたが大切にしている価値観や考え方を言語化していきます。自分自身と向き合い対話するための10の問いを厳選しました。繰り返しになりますが、その時あなたが何を感じ、何を望んできたかはChatGPTではなく、他でもないあなた自身しか答えを持っていません。
正解があるわけではありませんので、ぜひリラックスして時間をかけて取り組んでみてください。
キャリア棚卸しシートで作成したExcelファイルに新しいシートを追加して作業するとよいでしょう。
| 質問内容 | 回答(自己記入) |
|---|---|
| これまで働きやすかった職場とその理由を 教えてください。 |
… |
| 逆に、働きづらかった職場とその理由は 何ですか。 |
… |
| あなたの理想の上司像を自由に 記述してください。 |
… |
| これまでの仕事で「やらされ感」を強く 感じたのはどんなときですか。 |
… |
| 「仕事ってこういうもの」と自分が思っている 前提や信条はありますか。 |
… |
| 「仕事を楽しんでいる」と感じた瞬間を 具体的に思い出して教えてください。 |
… |
| 職場の人間関係でストレスを感じた経験を 教えてください。 |
… |
| 今のあなたが「理想の職場にいる」と仮定 したとき、そこにはどんな空気が流れていて、 どんな働き方をしていますか。 |
… |
| あなたが「つい頑張りすぎてしまう」場面には どんな共通点がありますか? |
… |
| もし今のあなたが、10年前の自分に 「働くうえで大切なこと」を1つだけ助言する としたら、何を伝えますか? |
… |
知りたいこと別自己分析プロンプト
さて、しっかりと棚卸しシートを埋めることができれば、残りの自己分析は簡単です。
自分では分析しづらい以下の4つのテーマについて、ChatGPTの力を借りることにしましょう。
キャリア棚卸しシートと価値観棚卸しシートが記入されているExcelファイルをChatGPTに添付し、テーマ別のプロンプトを入力してください。
また、一問一答形式で終えることなく、「◯◯の部分について事例を教えて」「他の提案をください」などと対話を重ねると、自己分析がさらに深まります。
1. 転職市場で評価される実務スキルは?
あなたは転職市場に精通するキャリアアドバイザーです。私は転職活動に備えて自己分析に取り組んでいます。私の職務経験や価値観を記載した添付のワークシートに基づき、今私が転職した場合に評価される実務スキルを教えてください。
2. 強みと言えるヒューマンスキルは?
あなたは転職市場に精通するキャリアアドバイザーです。私は転職活動に備えて自己分析に取り組んでいます。私の職務経験や価値観を記載した添付のワークシートに基づき、私の強みと言えるヒューマンスキルと、その根拠を教えてください。
3. 大切にしている価値観は? 合う/合わない職場環境は?
あなたは転職市場に精通するキャリアアドバイザーです。私は転職活動に備えて自己分析に取り組んでいます。私の価値観を記載した添付のワークシートに基づき、私はどのような価値観を大切にするビジネスパーソンだと捉えましたか。私に合う/合わない職場環境や社風、働き方をそれぞれ教えてください。
4. 考えられる今後のキャリアプランは? 実現する上で補うべきスキル・経験は?
あなたは転職市場に精通するキャリアアドバイザーです。私は転職活動に備えて自己分析に取り組んでいます。私の職務経験や価値観を記載した添付のワークシートに基づき、5年後のキャリアプランを以下2つの観点から提案してください。
1. スキル・経験を新たに補って目指す挑戦的なストレッチプラン(どのようなスキル・経験が必要かを明記すること)
2. 現在のスキルや経験の延長線で実現する堅実プラン
※ お好みで3年後・10年後などに変更してください。
やりっぱなしで終わらせず、AIの力を借りて職務経歴書など次のステップへ!
「ヤッコー論文を書くな!」学生時代に所属した研究室で、教授から常々そう指導されたのが印象に残っています。
ヤッコーとは「やってみたらこうなった」の略で、研究結果の解釈や結論の示唆といった重要な議論が欠けたさまを意味します。教授は、そうした中途半端な研究や論文はダメだと言いたかったのです。
自己分析も同じです。ChatGPTから核心を突いた分析を得られると、なんとなくそれで満足し「ヤッコー分析」にしてしまいがちですが、本当に大切なのはそこからですよね。So what?(で、どうする?)を決めることはあなたにしかできません。
自己分析に使ったChatGPTの画面を閉じる前に、最後にこのプロンプトを入力してはいかがでしょうか。さっそく行動を始めましょう!
以上を踏まえ、私が次に取るべきアクションを考えたいです。ベストな選択をするための問いを5つ私に投げ、その回答に従って次のアクションを提案してください。
今回自己分析に出てきた「評価される実務スキル」「強みと言えるヒューマンスキル」は、職務経歴書を書くうえで、特に重要。なぜなら、「どのようなスキルで貢献してくれるのか」「既存メンバーと馴染めそうか」は採用担当者が最も知りたい部分だからです。
職務経歴書を書く際、漫然と書くのではなく、「職務経験」「強み」などの各欄にぜひ、今回の自己分析で出たスキルを具体的なエピソードを添えて盛り込んでみる。また、最後に「自身のスキルや強みが伝わるか」という目線で確認してみる。このようにして職務経歴書をブラッシュアップしてみてはいかがでしょうか。
なお、自己PRの生成に便利な「マイナビAI Pencil」は生成AIを別途用意しなくても、マイナビ転職内の自己PR欄を開けばそれだけで利用を開始できます。転職活動のはじめの一歩に、ぜひお役立てください
tenshoku.mynavi.jp
制作:マイナビ転職
*1:ChatGPTの「設定」>「データ コントロール」>「すべての人のためにモデルを改善する」をオフ で設定が可能です