
異動・評価・人間関係など、環境の変化が訪れる機会の多い春は、社会人経験の浅い若手社員だけでなく、受け入れる側となるベテラン層にとっても心配事が生まれやすい時期です。
特に近年は、働き方の多様化やキャリア観の変化により、「このままでいいのか」「次の一歩をどうすべきか」と迷う方が少なくありません。
そこで今回は、キャリア相談の現場で実際に寄せられる“新年度ならではの不安”を整理し、専門家の視点から「悩める自分の気持ち」との正しい向き合い方を解説していただきました。
新しい環境を迎える方も、新人や異動者を迎え入れる側の方も、この春をより前向きに過ごすヒントとしてご活用いただければ幸いです。
キャリア・コンサルタント
- ■環境が変わる春、揺らぐ気持ちとの向き合い方
- 1.異動・配属後、「自分の強みが通用するか」不安になる
- 2.新しい上司・チームと“うまくやれるか”不安
- 3.転職すべきか、このまま続けるべきか迷う
- 4.新人や異動者の育成と、自分の業務の両立がつらい
- 5.チーム再編で、自分の役割が見えなくなった
- ■不安は“悪いサイン”ではありません
■環境が変わる春、揺らぐ気持ちとの向き合い方
新年度は、働く人にとって変化が重なる季節です。異動、配属替え、転職、新メンバーの加入、組織体制の変更――。
表面上は前向きな節目に見えても、心の中では
「ちゃんとやれるだろうか」
「今のままでいいのだろうか」
といった言葉にできない揺らぎを感じる人も少なくありません。

例えば、マイナビ転職が実施した「2025年に転職した600人に聞いた、今年の転職活動と仕事に関する調査」では、転職後の仕事を100点満点で評価した際の中央値は70点という結果が出ています。
「転職して学びの一年だった」と100点をつける前向きな声がある一方で、「新しい環境で、覚えないといけないことの多さと失敗できないプレッシャーに苦しんだ」 といった声もあり、環境の変化が必ずしも順風満帆とは限らない現実がうかがえます。
実際、キャリア相談の現場でも4月前後は“変化に伴う特有の悩み”が増えていきます。
今回は、実際に寄せられることの多い代表的な相談テーマを5つ紹介しながら、不安とうまく付き合うための考え方をお伝えします。
ご自身の状況と重なるものがあれば、ぜひ参考にしてみてください。
1.異動・配属後、「自分の強みが通用するか」不安になる
予期せぬ異動の場合などは動揺や戸惑いが大きいケースも見受けられ、事実の消化に時間がかかる方も多くいらっしゃいます。また、新しい部署や会社では評価基準も文化も異なるため、これまでの実績が意味を持たないように感じてしまう人もいるでしょう。
自分が通用するのか、認めてもらえるのかなど、評価にかかる不安が大きくなってご相談にいらっしゃる方も複数お見受けします。
アドバイス
新しい環境で最初に見られているのは、成果よりも「適応する姿勢」です。
焦って結果を出そうとするより、まずは観察・質問・理解に時間を割くことを優先してみてください。
土台が整うほど、強みは自然と発揮されていきます。
また、上司やチームと早めに期待値を擦り合わせることも重要です。
異動の意図や、配属先で求められている役割などが把握できると、自分自身の強みの活かし方のイメージが湧きやすくなるでしょう。
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2.新しい上司・チームと“うまくやれるか”不安
人間関係は、新年度の大きなストレス要因のひとつです。風土の違う組織や、これまでと違う上司の雰囲気の中で、どう立ち回るべきか、戸惑いを抱える方は少なくありません。
特に「価値観の違い」や「仕事の進め方の違い」が見え始めると、「うまくやれるだろうか」と不安になる方が多いようです。
アドバイス
相性は「合うかどうか」という視点で考えがちですが、多くの場合、関係は「互いに理解できているかどうか」で変わります。
まずは相手の判断基準や優先順位を観察してみましょう。なぜそのような動き方をしているのか、対話を通して相手の背景を理解することも大切です。
理解が進むほど、誤解が減り、関係の安心感が育ち始めます。
特に環境変化後はいつも以上に「相手を知る姿勢」を大切にしてみてください。
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3.転職すべきか、このまま続けるべきか迷う
年度の切り替わりは、自分のキャリアを見直したくなる時期でもあります。変化が生じる方も多い一方で、特段変化なく春を迎える方も多くいらっしゃるでしょう。
その中で、自分の成長が鈍っているように感じ、このままでいいのかと焦る方、環境が変わる周囲を見て、自分は取り残されているように感じる方もいらっしゃいます。
アドバイス
選択や判断に迷う時の多くは、「比較材料が足りていない」状態であることがほとんどです。
・現職で得られる経験
・転職した場合に得られる経験を書き出してみてください。
そのうえで、両者の間を埋めるような小さなアクション(周囲に新しいコミュニティを作ってみる、現職にとどまりつつも新たな知識を獲得する、など)を検討すると、選択肢の幅が見えやすくなります。
判断の質は情報量によって大きく変わるため、少し動いたうえで判断をすることで、より納得感ある選択につながりやすいです。
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4.新人や異動者の育成と、自分の業務の両立がつらい
教える役割が増える一方で、自分の成果責任はそのまま……。そんな負担の重さに戸惑う人は少なくありません。
負荷の多さへの戸惑いや、助けを求められない苦しさを面談にてお話くださる方も多くいらっしゃいます。
アドバイス
育成は「教え方」だけでなく、「任せ方」も重要です。どのようにタスクを任せるかで、育成者の負担も変わります。
最初から完成度を求めると仕事を任せにくくなってしまうので、
1. 任せる
2. 振り返る
3. 次の課題を渡すというサイクルを意識すると、育成の負荷を押さえつつ、部下の成長を促せます。
また、育成を個人で抱え込まず、「チームで育てる」空気を作り、他のメンバーを育成に巻き込むことも、育成担当者の負荷を下げるポイントです。
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5.チーム再編で、自分の役割が見えなくなった
組織変更が起きると、役割の境界が一時的に曖昧になります。「役割が大きくなったことで、負荷が増えて対応しきれない」との相談がある一方で、「雑務ばかりが集まってしまいモチベーションが低下している」「自分が何を期待されているのか分からない」という相談もよく寄せられます。
アドバイス
役割がはっきりしない時期ほど、周囲は“あなたの動き”を見て役割を認識していくケースがあります。
そのため、以下の対応で自分の立ち位置を見直すのが良いでしょう。
・タスクが多すぎる場合→「自分でなくてもいい業務」を切り分ける
何は自分でなくてもいい業務なのか、渡せうる対象は誰か、を確認し、業務の再分配を働きかけることで、組織構造の見直しをはかれます。・やりがいや役割を見失ってしまった場合→「チームに足りていないこと」を探す
役割は指示だけで決まるものではありません。自分が埋めた空白から新しく生まれたり、形づくられていくことも多いと認識すると、積極性を取り戻すきっかけになります。
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■不安は“悪いサイン”ではありません
新年度に気持ちが揺らぐのは、環境の変化に適応しようとしている自然な反応です。むしろ違和感や迷いは、「状況を理解しようとしている証」。誠実に今に向き合っているからこそ生まれるものです。
もし、今あなたが不安を感じているのなら、まずは「自分は何に戸惑っているのか」を言葉にしてみてください。
感情は、言語化された瞬間から整理が始まります。必要に応じて、キャリアコンサルタントを始めとした第三者の力を借りながら言語化するのもひとつの方法です。
変化の季節に揺れることは、弱さではありません。きっとその揺らぎは、次の一歩につながっていきます。
新しい環境に向き合おうとしているからこその不安を味方につけ、新年度が、あなたの人生にとってより良い一歩となりますように。
制作:マイナビ転職編集部
