退職まで“3年我慢”はもう古い? 正しい辞め時の見極めかた

退職まで“3年我慢”はもう古い? 正しい辞め時の見極めかた

マイナビ転職が行った『新入社員の意識調査(2025)』で、「勤続意向3年以内」と回答した方は全体の約2割。「とりあえず3年」という言葉がある一方で、

「まだ3年経っていないけれど、やりたいことが別にできてしまって早く次のステージにいきたい気持ちがある」
「今の職場でずっとやっていける気はしないけれど、他にやりたいことがあるわけでもない。このままでいいのかな」

そんな風に感じている人は、実はたくさんいるのかもしれません。

働き方も価値観も多様になった今、現在の職場から“卒業”するタイミングは誰かに決められるものではなく、自分の中で芽生える違和感や期待から始まることもあります。

とはいえ、辞める・続けるの判断は簡単ではなく、今の職場への申し訳なさを始めとした気持ちから、「忍耐力がないだけでは?」など、自分を責めてしまうこともあると思います。

そんな揺れる気持ちに向き合うために、私たちはキャリアの「分岐点」をどう考えれば良いのでしょうか。今回の記事では、「3年ルール」の背景やメリット・デメリットを整理しつつ、より良い働き方を選択するためのヒントを探ります。解説は、キャリアコンサルタントの林碧先生です。

キャリア・コンサルタント

林 碧(はやし みどり)
株式会社キャリアイズ 代表取締役社長、国家資格キャリアコンサルタント・キャリアコンサルティング技能士2級、両立支援コーディネーター。 企業人事経験および個別相談対応経験を活かし就職・転職の相談からライフキャリアビジョン構築、育児・傷病など個別事情との両立まで、幅広い相談に対応。通算4000件以上の個別面談実績、年100件以上の研修登壇実績を保有。特に若年層のキャリア形成支援を得意とし、大学での登壇実績が豊富である他、企業向けの育成者研修や若手定着支援、人材コンサルティングも実施。日経Xwomanアンバサダー。小学生2児の母。

(イラスト:なおにゃん ヤメコミ! byマイナビ転職「気にせずいきたい」

「まずは3年」は、誰のためのルール?

「まずは3年、続けてみなさい」――。

社会に出ると、一度は耳にする言葉かもしれません。とはいえ、日々の中でもやもやしながら「本当に3年、続けなくてはならないの?」と感じて、この記事を開いている方もいるのではないでしょうか。

この“3年ルール”は、元々は企業側の育成事情から生まれた面もあります。新人を育て、一定の成果を出すまでに平均3年ほどかかる。育成投資もしているのだから、腰を据えて成果につなげてほしい――そんな前提があり、短期離職は「根性がない」「責任感が足りない」と見なされてきました。

一方で、働く個人にとっても“3年”はわかりやすい節目でした。「1年目は学ぶ」「2年目は任される」「3年目は自走する」というモデルが広まり、成長を測るものさしとして使われてきたのです。「3年待てば機会がもらえる」「1〜2年目は修行期間」――そう考える人も多くいました。

しかし、今の働き方は、もはやその前提の上にはありません。仕事も人も、動くのが当たり前の時代。キャリアは直線ではなく、曲線や分岐があるのが自然です。“3年”という数字に意味があるとすれば、それは「耐えるための期限」ではなく、「立ち止まり、見直すための節目」になりつつあります。

社会では3年を待たずに動く人が増えている

転職経験が以前より一般的になった世の中で、企業の意識にも変化がありました。VUCA時代(不確実で変動の大きな環境下)において、目的意識を持ち、学びながら変化に対応できる人材が評価される傾向が強まっています。リスキリング(学び直し)が推奨され、働く人も「自ら設計して自分で選ぶ」キャリアへと移り変わりつつあります。

この背景を踏まえると、「3年未満で辞める=根性がない」という見方は、もはや現在の実態と合致しません。早期転職は珍しい選択ではなく、キャリアの主導権を自分に取り戻す行動として広がっています。

ただ一方で、「選ぶ前の段階で迷って止まる」「早期離職を後悔する」ケースが一定数あるのも事実です。“逃げ”ではなく“次の挑戦”として機能させるには、自分の軸をもって検討し、納得して決めることが欠かせません。

自由な時代に見えてきた“新しいつまずき”

自由に動けるようになった時代だからこそ、迷いも増えました。相談現場でも「何をしたいのかわからない」「次の職場でも同じ悩みが出てきた」という声をよく聞きます。売り手市場の追い風の中で、“なぜ辞めたか”の答えが浅いまま動き出してしまう人も少なくありません。

結果として、「転職“できる”こと」自体が目的化し、短期間で転職を繰り返すジョブホッパー化が一部で見られます。これは怠けではなく、思考の整理が行動に追いついていない状態です。外の環境を変えても、自身の内側にあるテーマが未解決のままだと、同じ壁にぶつかってしまいます。

また、人は不足に目が向きがちで、満たされている要素に気づきにくい側面があります。しっかり考えずに転職し、新しい環境で初めて前職の良さ(満たされていた価値観)に気付くケースもあります。

さらに、退職理由が他責的・曖昧だと、採用側の印象も良くありません。ポジションによっては「経験の深さ」や「継続力」を重視するため、安易な離職は次の選択肢を狭めることにもつながります。

“辞められる自由”が広がった今こそ、問われるのは意思決定の質です。「何が嫌か」ではなく、「どんな環境で力を発揮できるのか」「そのために転職が最適か」を見極めることが、次のキャリアを支える大切な鍵になります。

3年に縛られず、“自分のものさし”で考える

転職も継続も、どちらかが“正解”ではありません。大切なのは、どの道を選んでも「自分で決めた」と納得できること。
そのために必要なのが、“自分のものさし(判断軸)”です。周囲の言葉や数字ではなく、自分の中の基準を見つけることが、迷いの多い時代を進む力になります。

では、どう深めていけばいいのでしょうか。辞め時を冷静に見極めるための6つの視点を紹介します。瞬間的な感情ではなく、複数の観点で現状を捉え直すことが、納得感のある決断につながります。

“辞め時”を見極める6つの視点(セルフチェック)

転職を考えるとき、いちばん大切なのは今の自分を整理すること。焦りや比較の中で動くと判断を誤りやすくなります。

下記のチェックシートで、①~⑥について、それぞれ今の自分に最も近いと感じる回答を赤・黄・緑の中からひとつ選んでください。

6つの視点チェックシート

【セルフチェックシートの見方】

赤が3つ以上:転職を具体的に検討するべきタイミング
黄色が多い:現職での改善や挑戦を模索する段階
緑が多い:現職で経験を深め、力を蓄えるフェーズ

判断は“速さ”より“納得”。まずは自分の立ち位置を確かめましょう。

“より良い環境”は、外だけにあるとは限らない

今の時代、「3年」は必須ルールではありません。短期の転職でも、より良い未来を創る選択として評価されることがあります。ただし、3年ルールの背景は今も残り、安易な転職が自分を苦しめることもあるのです。

明確な「転職の目安」が薄れている今だからこそ、転職が気になり始めたタイミングを「キャリアを見直す節目」として捉えましょう。今の環境で何を得たか/得られそうか、外に何を求めるのかを冷静に見極めることが大切です。

そしてもうひとつが「より良い環境は自分でもつくれる」という視点です。最近では、幸福度の高い人ほど、日々の仕事で自分のウェルビーイング(より良い状態)をつくる工夫=ウェルビーイング・クラフティングを実践しているという報告もあります。与えられた環境の中で小さな改善を重ね、心地よい状態を能動的に育てる行動です。

例えば――信頼できる同僚とのちょっとした雑談、業務手順のスモールチェンジ、毎日の小さな成果の記録。こうした些細な工夫が働く満足感を底上げし、その積み重ねが次のキャリアの土台になります。加えて、快適さや負荷の軽さ以上に、「他者貢献」や「成長実感」が満足度に強く影響することも示されています。

だからこそ、転職か継続かを考えるときも、“外に求める”だけでなく、“今の中でどう動けるか”を併せて見つめることが大切です。小さな挑戦や関係の築き直しが、結果的に次のキャリアへの助走になることは珍しくありません。

キャリアは、我慢の記録でも、転職の数でもない。自分の価値を信じ、より良い働き方を“創っていく”プロセスです。

3年を待たずとも、3年を超えても――あなたの選択に根拠と納得があるなら、それがあなたの節目となるでしょう。

この記事を読んだあなたの未来に、納得の選択とより良い未来があることを願っています。



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制作:マイナビ転職編集部


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