


なぜ休みが増えて収入が上がるのか。そもそも週休3日の働き方とはどのようなものか。そして、私たちが週休3日の働き方を手に入れるには何が必要なのか。
長らくこの働き方を実践し、週休3日の社会浸透を事業とする株式会社週休3日の代表・永井宏明さんに伺いました。
【監修者】
週休3日で収入が上がるワケ
まずは週休3日と収入の関係について、アンケート調査で浮き彫りとなった未経験者と経験者の間のイメージギャップに迫ってみましょう。永井さんは、週休3日で収入が上がる背景として、大きく2つのケースを指摘します。
「調査結果にもありますが、まず考えられるのは副業でしょうね。増えた休みを副業にあてた結果、総収入が上がったケースだと思います。今はいろいろな企業が副業を解禁していますから。
ちなみに当社の独自アンケートだと『週休3日の正社員を選択する場合、プラス1日の休みをどう使いたいか』を聞いたところ、一番多いのは『趣味』で約70%ですが、『副業』も30%いました。これは5年ほど前のデータなので、現在はもっと増えているはずです」

そして二つ目が、週休3日で働ける企業に転職して給与が上がったケース。永井さんによると、その背景には「地域による人材不足の差」があることも少なくないといいます。
「薬剤師という職種を例に考えてみましょう。現在、関東エリアの薬剤師は人材が比較的足りている状態ですが、地方では不足しています。すると、関東で働くよりも地方で週休3日になったほうが給与が上がるケースがあるんです。
例えば東京の調剤薬局で第二新卒の年収が400万円ほどだとします。一方、地方には夕方からラストまで働ける薬剤師や土曜に勤務できる薬剤師がいない薬局も多く、そういうところでは週休3日でも第二新卒なら年収420万円前後出ることもあります。職種や業種によっては、東京より地方の方が休みの数も給与も多いケースがある、というのは覚えておいてもいいかもしれません」
永井さんの話から見えてきたのは、「週休3日だから収入が上がる」のではなく、「生まれた時間をどう活用するか」で収入が変わるという点。
週休3日そのものを目的にするのではなく、その時間をどう使うかが収入アップのカギになると言えそうです。
週休3日で収入を上げるための方法
- 副業で新たな収入源をつくる
- 資格取得やリスキリングに取り組む
- 人材不足の地域や業界へ転職する
週休3日の定義は組織によって曖昧
週休3日といっても「週休3日の休暇制度が会社に存在して、それを活用している」というパターンばかりではありません。アンケートによると、週休3日で働く人の3割以上が「制度はないが、有給休暇などを組み合わせて自主的に週休3日を実現している」と回答しています。

永井さんは、その背景に「週休3日という定義の曖昧さ」があると指摘します。
「世の中の週休2日、週休3日という言葉の使い方自体、あまり厳密ではありません。
例えば、週6日勤務で『8時間・8時間・4時間・8時間・8時間・4時間』のようなシフトを『週休2日』と募集している組織もあります。純粋に休日の数だけを考えると『週休1日』ですよね。でも組織の側からすると『4時間勤務の日の半日休みを2日分合わせれば1日分の休みになるから週休2日』という感覚なんです(※)。
※……労働基準法では、原則として「毎週少なくとも1日の休日」を設定することのみが企業に義務付けられている。また、法定労働時間の上限は「1日8時間・週40時間」と定められている。
そもそも労働基準法に『週休2日』という言葉は出てきませんからね。
だからこそ、ある企業がどれくらいの休暇数を設けているのかを確認したい際は『週休〜日』という記載ではなく、年間休日を見るべきでしょう。
ここも組織によって全然違います。多いところは140日近くある一方で、年間休日70日台のところもある(※)。募集要項に『週休3日』と書かれた会社に入りたいなら、入社前の面接で『どういう形で週休3日が取得されているのか』を聞いて、実際の運用方法を確認してもいいと思います。
※……1日8時間・週40時間労働する場合の年間休日(法定休日)は最低105日と定められているが、1日の所定労働時間が8時間未満の場合や、週の労働時間が40時間以内の場合、所轄の労働基準監督署に36協定を届け出て割増賃金を支払っている場合、管理監督者の場合は例外となる。
ちなみに、有給休暇などを活用して『実質的な週休3日』を実現するには年間156、157日休む必要がありますが、年間休日135日の会社で有給休暇が20日付与されれば、その条件はクリアできてしまうんですよ。だから調査結果のように、制度の有無にかかわらず週休3日を実現することは可能ですね。
私が知る中では、主に子育て世代の女性や、働くペースを落としたいという中高年女性の方が、有給休暇を活用しながら実質的な週休3日で働くといった事例がありました」
週休3日という働き方の解像度を上げるために
- 週休3日の捉え方は企業によって異なる
- 週休3日の運用方法は入社前に確認すべし
- 週休3日制度の有無にかかわらず、実質的な週休3日を実現することは可能
休みにくい職場で休みやすい環境を手に入れるには
一方、週休3日にするかしないかを問わず、少なくないビジネスパーソンが「仕事量や組織風土の都合で休めない・休みにくい」という悩みを抱えているはずです。
週休3日を実現する前に、そもそも休みやすい環境を手に入れるにはどうすればいいのでしょうか。
「自ら働き方をデザインして、『自分はこういう働き方がしたい』と周囲や組織に伝えることでしょうね。
もちろんそのためには、組織から必要とされるだけの業務上の信頼を積み重ねていくことも重要です。
成果を上げて求められる役割を果たし、周囲と良い関係を築いていれば、たとえ週休3日の働き方に変えたいと相談しても前向きに検討してもらえるはずですから。
ちなみに、うちの会社で4年ほど働いている女性社員は、入社前に僕が『うちで働かない?』と声をかけたところ、『自分でやりたいビジネスがあるから』と断られたのですが、『うちなら週休3日でビジネスの勉強もできるし、休みが多いから自分のやりたいこともできるよ』と伝えたら入社してくれました。
僕自身も、週休3日の総務課長として2年ほど働きながら、専門学校の非常勤講師や子育てを両立していた時期があります。
そうやって自分で自分の働き方を決められるようになれば、おのずと休みやすい環境もできていくはずです」
ただ、永井さんいわく、休みをたくさん取ることは必ずしもメリットばかりではないそう。実際に週休3日で働き始めると、想定外のことも起きたといいます。
「やはり周りの目線は少し厳しくなりました。『なんでそんなに休んでいるの?』と。だからこそ、それを跳ね返すほどの成果を出して、仕事で認めてもらえるよう努めました。
もう一つは、子供の学校関係や地域といった別のコミュニティでも『週休3日で働いている人』となると、『時間があるならこれやってくれない?』と頼まれがちになるんです。
せっかく作った1日が、いつの間にか用事で埋まっていく。それを防ぐには、自分が何のためにどういう働き方をしたいのか、整理して説明するしかありません。
週休3日で働くことは目的ではなく、あくまで手段です。そこを見誤ると、たとえ週休3日が実現したとしても、思い描いていた働き方・生き方は手に入りません。
身の回りでこんなエピソードがありました。『真剣に磯釣りがしたい』という薬剤師さんが、週休3日の正社員として海の近くの薬局に転職したのですが、半年後に勤め先から『磯釣りは危険だから控えてほしい。週休3日はそのままでいいから』と言われたそうです。これではいくら週休3日が実現しても目的が達成できませんよね。
こうしたことを防ぐ上でも、手段と目的の整理は欠かせないわけです」
望む休み方を実現するためのアクション
- 自ら働き方をデザインして「自分はこういう働き方がしたい」と周囲や組織に伝える
- 求められる役割を果たし周囲と良い関係を築いたうえで、さらに成果を上げる
- 週休◯日で働くことは目的ではなく、あくまで手段だと捉える
週休3日を「選ばない方がいい人」の特徴
週休3日はあくまで手段。だからこそ「週休3日の働き方にこだわらなくてもいい人」もまた存在するそう。
「仕事をこなす中で、何かしらのスキルや経験を『手に入れた』という実感がない人は、週休3日を選ばない方がいいかもしれません。まずは現在の仕事で得たい経験やスキルを整理したうえで、働き方を検討した方がよいケースもあります。仕事がうまくいかず停滞感がある時に『働き方を変えれば良くなる』と思ってしまうと、スキルやキャリアの成長から目を背けることになりかねません。働き方を変えたとしても、同じような課題にぶち当たることが多いんです。
ある程度目標としていたスキルやキャリアを手にした上で、プラス1日で大事にしたいことができた。あるいは、育児や介護、健康上の問題で週5日の勤務を続けるのが難しくなってきたものの、週休3日ならば勤務を続けられ、会社もそれを受け入れる余地がある。そんな状態になって初めて週休3日を積極的に考えるべきなのかもしれません」
週休3日でキャリアを成長させられる人の特徴
週休3日についてのイメージには「社内での処遇が悪化しそう」というネガティブなものも少なくありません。

こうした「週休3日がキャリアの停滞につながる」というイメージもある中で、週休3日を実現して成長できる人と、成長できない人の違いとは何なのでしょうか。
「新たに生まれた時間、心の余裕で新しいチャレンジができるかどうか、だと思います。
大学時代に力を入れていた活動があっても、社会人になる時に一度諦めざるをえなくなる。そんな風潮もまだ残っていますよね。それでいて、しばらく働いたら『新しいことにチャレンジしろ』と言われるのは、なんだか矛盾しているようにも感じます。
でも週休3日という働き方を選ぶことができれば、空いた時間でやりたかったことにもう一度挑戦できる。うまくいかない、向いていないことに気付いても、ただ本業に集中すればいいだけですからリスクも少ない。何なら、別のことにチャレンジして何かしらの経験や感覚を持ち帰った人材を評価する組織も多いのではないでしょうか。
もちろん全員が週休3日で働けばいいとは思っていません。ただ、長い人生のどこかで週休3日で働きたくなった時、働き方の選択肢を持っているか、持っていないかで、次の一手が変わってくるはずです」
永井さんのお話によると、週休3日という働き方そのものが収入を増やすのではなく、
- 副業
- リスキリング
- 需給の高い地域や業界への転職
などを組み合わせることで、収入アップにつながるケースが多いようです。
週休3日を、何かの目的を達成する「手段」と捉えた時、あなたはプラス1日で何をしたいですか?
その答えを言語化することは、休み方だけでなく、自分のキャリアに対する解像度を上げる第一歩となるはずです。
【出典】
※マイナビ転職『【2023週休3日制に関する意識調査】週休3日制は収入が上がる? 週休3日勤務者への調査で分かったイメージとリアルのギャップ』
休み方を意識することは、日々働き方、ひいてはキャリアを考えることに直結します。マイナビ転職では週休3日勤務が可能な求人を、数多くご紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
取材・編集:はてな編集部
制作:マイナビ転職
「休み方」から働き方をデザインする


