【調査データ】働きがいクライシス、克服の鍵は?

仕事のモチベーションが上がらない、慣れてくるにつれて「働きがい」がなくなってきた……。そんな悩みを抱える人もいるのでは? 「働きがい」というと給料や待遇の良し悪しが第一に浮かびがちですが、調査データを見ると、実はもっと大事なことがあるようです。

そこで、働きがいはどんな職場で得られるのか、働きがいがなくなった時はどうすればいいのか、データをもとにキャリアのヒントを探ります。

<INDEX>
働きがいを感じる職場とは?
働きがいクライシスには、コミュニケーションも効く?
働きがいがないと仕事が長続きしづらい?
【まとめ】働きがいクライシスは、目標設定とコミュニケーションで乗り越えろ!

働きがいを感じる職場とは?

2022新入社員の意識調査(マイナビ転職調べ)によると、働きがいを感じる職場の要素としてあがったのは、1位「成長を感じる」2位「誰かの役に立てたと感じる」3位「ほめられる」でした。

Q.どのような職場であれば働きがいを感じる?(複数回答)

給料に関する項目「働きに見合う報酬が得られている(31.1%)」は8位に留まり、それほど高くない結果に。収入は欠かせないものですが、お金だけでは満たされない、そんな現実がうかがえます。

1位の「成長」については、キャリアの若い方では「2年目3年目と仕事に慣れるにつれて、やりがいを感じなくなってしまった」という声もよく聞くところ。あらゆる業務が「初めて」である入社直後は成長を感じるシーンが多くても、年数が経つにつれ「できるようになった」と手応えを感じる機会は減りがちです。

意識的に振り返りや目標設定をして、自分で成長の実感を得られるようにすることも、モチベーションを維持するために有効かもしれません。

働きがいクライシスには、コミュニケーションも効く?

2位と3位の「役に立てたと感じる」「ほめられる」はどちらも、人とのかかわりがなければ得られにくい項目です。実際に、働きがいを感じる人とそうでない人の職場環境にどのような違いがあるのかを調べ、差が開いた順に並べかえたところ、以下のような結果になりました。

Q,今の職場の状況は?(複数回答)

働きがいを感じている人と感じていない人で3倍以上の差が出た項目は、「成長を感じる」「目標がある」「達成感がある」「雑談など仕事以外のコミュニケーションがある」「ほめられる」。

ともすれば不要に感じてしまいそうな「雑談」でも差が出ているのは意外なところです。思い出されるのは、コロナ禍でテレワークが急速に広まった頃、話題になった孤独感。誰とも話をすることなく一日中無言で仕事をし、終わる日々が続いて気が滅入ってしまった、という悲嘆が散見されたものです。

上記の表を見ても、働きがいがある人は働きがいがない人に比べ、コミュニケーションの充実した環境で仕事をしていることが分かります。こうしてみると、働きがい、ひいては仕事のモチベーションとコミュニケーションは切っても切れない関係にあるのでしょう。

コミュニケーションを増やすというと身構えてしまう人もいるかもしれませんが、昨今はコミュニケーションツールが豊富になりました。対面で話すことが難しくても、相手の都合のいいタイミングで読んでもらえるメール、チャットなどのテキストツールが職場に導入されたという人も多いはずです。

働きがいやモチベーションにつながる「ほめ」や、誰かの役に立ったという実感をもたらす「ありがとう」「助かりました」などの言葉を、まずは自分から意識して伝えてみる。それがまわりまわって、自分も「ありがとう」と言われる機会が増える。そんな好循環が作れると、同じ仕事内容、同じメンバーの業務でも、働きがいをより感じやすくなるのではないでしょうか。

働きがいがないと仕事が長続きしづらい?

ちなみに、この調査では勤続意向(あと何年同じ会社で働き続けるか)もアンケートしています。そこにもなんと、働きがいの有無で差が。

Q.あと何年働き続ける予定?

あと何年働く予定か?の問いに対して、働きがいがある人は3年以内退職予定も20.2%に留まりましたが、働きがいがない人は3年以内の退職予定が63.9%。3倍以上の差です。1年未満に退職予定の回答も28.0%と約3割にのぼりました。

もちろん合わない職場・仕事を無理に続ける必要はありませんが、「待遇はいいけれど、なんだかやりがいがない」「仕事内容は好きだけど今ひとつ……」ともやもやしている人は転職する前に、目標設定やコミュニケーションの取り方など、「自分でできる範囲」で働きがいを得る方法を考えてみてはいかがでしょうか。

【まとめ】働きがいクライシスは、目標設定とコミュニケーションで乗り越えろ!

以上、「働きがい」について、調査データをもとに見てきました。今回の調査は新入社員が回答したものですが、多くの社会人のみなさんにも通ずる部分はあるはずです。

「働きがい」はなくてはならないものではなく、仕事の対価は給料と割り切ってしまうのも1つの考え方。ですが、人生において少なくない時間を仕事に費やす以上、精神的な充足感も得られるに越したことはありません。

自分がどんな職場や仕事であれば満たされるのか。今後のキャリアを考えていくヒントになれば幸いです。

文・本城奈々子

【出典】
2022新入社員の意識調査(マイナビ転職調べ)
https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/careertrend/11/?src=mcdata01
他にも帰属意識・テレワークなどの調査結果も載っています