雑談歓迎57.6%。「新人潰し」の上司・先輩にならないために覚えておきたいこと

先輩・上司と話す新人のイメージ

もうすぐ新年度。4月と言えば新入社員を迎えたり部署異動で新メンバーが加わったり、一緒に働く顔ぶれに変化が出る時期でもあります。そこで悩みのタネになるのが、迎えたメンバーが職場になじめるか、職場の新たな人間関係がうまくいくかというところ。

人間関係は「転職を考えるきっかけ」として必ず上位にあがる項目でもあり、どんなに仕事内容や待遇が魅力的でも、人間関係に難ありの職場には人が定着しません。まして、居心地のいい環境が、能力とモチベーションを最大限引き出すために重要なのは言うまでもないことです。

多くの業種で人手不足や採用難が叫ばれるこのご時世、せっかく入った新メンバーを逃さず定着させ、のびのびと能力を発揮できる環境を作っていくことは、年次や役職を問わずビジネスパーソンなら誰しも求められるところです。そこで今回は、「新メンバーを迎える側の心得」「先輩社員ができること」をデータをもとに探ります。

<INDEX>
悩みは「職場に馴染めていない」こと?
57.6%が雑談を歓迎している
直接言うか、チャットで言うか
【まとめ】上司・先輩として大事なことは?

悩みは「職場に馴染めていない」こと?

初めに、新人が職場の対人関係にどのような不安を抱いているのかを見てみましょう。2022新入社員の意識調査(マイナビ転職調べ)によると、最多回答になったのは「苦手な人がいる」。次いで、「同世代が少ない」「会話・話が難しい」と続きます。
新入社員の悩みのグラフ
「苦手な人がいる」というのは個人次第なので仕方がない部分がありますが、注目すべきは4位・5位に「つきあい・交流が少ない」「仲がよい同僚がいない」が入っているところ。2位、3位の回答も、コミュニケーションが過剰というよりは不足気味の悩みに思えます。

このアンケートを取ったのは2022年6月中旬で入社後およそ3カ月ですから、そろそろ職場に慣れてくるころと思いきや、今一つ馴染めずにいる新入社員が一定数いることがうかがえます。先輩社員にとって「どうやったら新人がなじめるか」は頭を悩ませるところですが、新人側も同じことで悩んでいるようです。

57.6%が雑談を歓迎している

続いて、もう一つデータを見てみましょう。上司や先輩にやってもらってよかったこと/やってほしいことを聞いたところ、1位は「話しかけてもらえる・雑談してくれる」。2位にOJT、3位は「ランチ・食事に誘ってくれる」。
上司先輩にやってほしいことのグラフ

「話しかけてもらえる」に至っては半数超の回答。新人に限らず、仕事時間のすべてが業務指示などのドライなやりとりばかりでは、窮屈に感じる人も少なくないはず。業務の合間の「少しの雑談」は息抜きとしていいものですが、前述の結果のように気軽に話せる相手に飢えている状態ではなかなか難しいものです。

加えて、後輩や新人の立場から話しかけるというのは勇気がいるもの。会議終わりに、業務のやりとりのついでに、出社時やお昼に立つタイミングで、一日一言、言葉をかけてあげるだけでも違うのかもしれません。

また、新人が慣れるまでは毎週1回15分固定で時間を抑えておくなどすると、相談や雑談がしやすくなるのでおすすめ。時間を固定しておくと若手が先輩や上司に相談をもちかけるハードルが下がります。

3位や4位のランチや飲み会も、今は仕事とプライベートにきっちり線引きする人やタイパ思考(タイム・パフォーマンス重視)の人が増えるなかで3割の人が求めているという結果は、「会食を楽しみたい」だけでなく、「打ち解けるきっかけがほしい」という切実な思いの表れと見ることもできます。

ちなみにこの調査は2019年の今入社4年目の方々が新入社員だった頃から毎年実施していますが、毎年の傾向はさほど変わらず。年次を超えた、若手社員共通の悩みと言ってもいいのかもしれません。

直接言うか、チャットで言うか

このように「職場になじんでほしい」先輩社員と「なじみたい」新人サイド。解決する方法は接点を増やす以外にありませんが、そこでまた悩むのがコミュニケーションの方法。昨今はリモートワークやビジネスチャットツールの普及で、コミュニケーションの手段が増えました。

おかげで気楽に声を掛けられる……、と思いきや、「直接言うか、チャットで言うか」と方法に迷いがち。会社や所属部門の風土に合わせることになるとはいえ、新入社員は、コミュニケーションツールについてどのように感じているのかも聞いてみました。

コミュニケーションは対話とテキストどちらがいい?のグラフ

2021新入社員の意識調査(マイナビ転職調べ)の結果を見ると、会話への忌避感は薄いようで、褒められるのも、アドバイスをもらうのも、雑談をするのも、メールやチャットよりも「会話派」が圧倒的に多い結果になりました。

テキストツールも「見える形で残る」「相手の都合の良いタイミングで確認できる」などのメリットがありますが、表情や声を伴う「会話ならではのぬくもり」は、やはり他では置き換えられないものがあるのでしょう。

ですから、ちょっと御礼を言いたいけれど相手が忙しそうならばメールやチャットで送っておく、業務の指示やフィードバックをテキストツールで送信したあとに「さっき送ったメールで分からない点はなかった?」と声を掛けてフォローしてあげるなど、会話とテキストツール双方の特性を理解しうまく使い分けていくと良いのかもしれません。

【まとめ】上司・先輩として大事なことは?

以上、調査データから上司や先輩として必要なコミュニケーションのヒントを探ってきました。人間関係は働き続けるうえで重要な要素で、コミュニケーション量が働きがいに影響し、働きがいのない社員は約3割が1年未満に退社意向というデータもあります。

今回紹介したデータでは雑談や会話にポジティブな若手の存在が見えてきましたが、大切なのは、一人一人と向き合い「相手が何を望んでいるか」「自分に何ができるか」コミュニケーションを重ねてお互いが心地よい関係を探っていくことです。

新人や新メンバーを迎える、あるいは新たなメンバーと仕事を始めるビジネスパーソンのみなさんはいつもより少しだけ意識して、声掛けなどのコミュニケーションをとってみてはいかがでしょうか。

文・本城奈々子

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【マネジメントのヒントを探る】
上司に言われた「先輩だからこそやるべきこと」とは?
meetscareer.tenshoku.mynavi.jp
 
【出典】
■2022新入社員の意識調査(マイナビ転職調べ)
https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/careertrend/11/?src=mcdata02
帰属意識・テレワークなどの調査結果も載っています

■2021新入社員の意識調査(マイナビ転職調べ)
https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/careertrend/07/?src=mcdata02
新入社員の退職意向・オンライン会議への温度感などの調査結果も載っています