「EXILE」パフォーマー・俳優/橘ケンチ | 人としての器と夢の大きさに魅せられて

第一線で活躍するヒーローたちの「仕事」「挑戦」への思いをつづる

「EXILE」パフォーマー・俳優/橘ケンチさん

高校の体育祭でダンスを踊ることになり、テレビ番組「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」の人気コーナー「ダンス甲子園」のビデオを借りて、ダンスにハマった。何とかまねしたくて、夜な夜な部屋のガラス窓に映る自分の姿を見ながらダンスの研究と練習をしていたという「EXILE」「EXILE THE SECOND」のパフォーマー、橘ケンチさん。
落ち着いたたたずまいでクールな印象だが、実は胸の奥に熱いものを秘めている。そんな橘さんに仕事への思いを伺った。

Profile

たちばな・けんち/1979年神奈川県生まれ。明治大学理工学部卒業。「EXILE」「EXILE THE SECOND」のパフォーマー。俳優としても舞台やドラマ、映画で活躍。2023年1月7日(土)から明治座にて公演予定のミュージカル「チェーザレ 破壊の創造者」に出演。

人気ダンス&ボーカルグループ「EXILE」「EXILE THE SECOND」のパフォーマーとして活動する傍ら、舞台や映画などで役者としても着実にキャリアを重ねている橘さん。年明けには、2023年1月7日(土)から明治座で公演予定のミュージカル「チェーザレ 破壊の創造者」に出演する。

ルネサンス期のイタリア半島で活躍した伝説の英雄チェーザレを描いた物語。橘さんが演じるのはチェーザレの腹心ミゲルである。「中川晃教さん始めミュージカルのトップランナーたちとの共演が楽しみで仕方ないです」

高校時代、体育祭をきっかけにダンスに興味を持ったという橘さん。大学へ入ってから本格的に乗り出す。地元の友人たちとチームを組んで踊り、ダンススクールで実力を磨いた。大学3年になって周りが就活を始めても、「自分はダンスで食っていくから」と豪語するほどダンスに夢中だった。「と言っても、ダンスの仕事としてはインストラクターかバックダンサーぐらいしか想像できていなかったのですが」

04年、人の縁でEXILEの舞台公演にサポートダンサーとして出演することになる。「地元でチームを組んでいたTETSUYAも一緒。稽古ではリーダーのHIROさんたちEXILEメンバー自らが指導してくれたんです。みんな人間の器がでかいし、思い描いている夢も大きい。すっかり男ぼれしてしまい、EXILEのようなアーティストとしてパフォーマンスができるようになりたいという思いが、その頃から強くなっていきました」

「EXILE」パフォーマー・俳優/橘ケンチさん

公演をきっかけにEXILEとつながりはできたものの、ダンサーの仕事はすぐには巡ってこなかった。「昼間はメンバーのMATSUさんが代表を務めるアパレルショップで店員として働き、夜はダンスの練習という生活がしばらく続きました」。そんな橘さんにビッグチャンスが訪れたのは07年のことだ。

「二代目J Soul Brothers(JSB)」のメンバーに抜擢(ばってき)されたのである。すごくうれしかったけれど、同時に自分たちにできるのかという不安もあった。最初はインディーズの形で武者修行。全国各地のショッピングモールや駅前でパフォーマンスを繰り返した。そして2年が経ち、念願のメジャーデビューが決まる。

「いよいよここからだ」。そう思っていた時、何とJSBの全員がEXILEに新メンバーとして加入することになった。「一気に華やかな表舞台に上がるということ。飛び級で上位クラスに入ってしまった感覚でした」。それがちょうど20代半ば。橘さんの焦りと不安は、30代半ばまで続くことになる。

イケると思ったことは仕事にしたほうが面白い

「EXILE」パフォーマー・俳優/橘ケンチさん

09年に人気絶頂のダンス&ボーカルグループ「EXILE」の新メンバーとなり、12年には「EXILE THE SECOND」としても活動を始めた橘さん。メンバーになる前とは環境が一変し、目まぐるしいスケジュールの中で自分を見失うことも多々あったという。

「EXILEのオリジナルメンバーが積み上げてきたものの分厚さに比べると、後から入った自分が本当に薄っぺらく思えた。特にエンタメの世界はシビアだから、努力していないと如実に実力のなさが浮き彫りになってしまう。そう理解しながらも何もできない自分がはがゆくて、もがいていました」

30代半ばに入った頃から、このままではまずい、人間として成長したいと思った橘さんは、できることすべてに挑戦してみることにした。まずは表現者としてのスキルを高めるため、09年から取り組んでいた俳優業にそれまで以上に本腰を入れた。これまでも数々の舞台に出演してきたが、更に自身の可能性を広げたくて23年1月には初めてミュージカルに挑戦。作品は「チェーザレ 破壊の創造者」だ。

加えて、書籍を紹介するサイト「たちばな書店」を立ち上げたほか、日本酒に関するプロジェクトもスタート。「EXILEに加入した当初、葛藤を乗り越えたくてやたらとビジネス書などを読み漁っていたんです。その時、本の素晴らしさを実感した経験があり、読んだ本の感想をみんなで交換できる場があるといいなと思ってたちばな書店を開きました」

日本酒については、「お酒を深掘りすることで各地の歴史や文化を知ることができると分かったのが大きかった。ちょうどEXILEの母体会社が海外展開を始め、僕がアジア担当になって外国へ行く機会が増え、その時、日本酒で得た知識がとても役立ったんです。これは自分の武器になるなと、とうとう酒造りまで始めました」。そこから更に関心は広がり、今は地方創生にも関わりたいと考えている。

「色々やりたくなるのは自信のなさの表れ。たぶん一つでも多くの武器を手に入れておきたいんだと思う」と橘さん。自分の非力を知りつつ、興味を持ったことは突き詰めていく。「趣味にとどめるのではなく仕事にしたほうが、面白さは更に増す気がします。新しいことを始めようとすると相手にされないこともありますが、相手にされるまでやってみる。そうすると思いがけない収穫が得られたり、人との出会いがあったりして、それがまた楽しいんです」

自分で自分の人生を作っていけ。EXILEの結成リーダー、HIROさんの言葉が橘さんの心に響き続けている。

ヘアメイク:MOE(EKAmake)

ヒーローへの3つの質問

「EXILE」パフォーマー・俳優/橘ケンチさん

Q 現在の仕事についていなければ、どんな仕事についていたでしょうか?

ふつうに会社員としてどこかの企業でコツコツと真面目に働いているか、もしくはぷらぷらと自由気ままに世界中を放浪しているか。そのどちらの自分も想像できます。

Q 人生に影響を与えた本は何ですか?

子どもの頃からずっと、バスケットボール選手のマイケル・ジョーダンが僕にとってのスーパースター。大人になってから読んだのがジョーダンの写真集『rareAIR』です。これを見て、ジョーダンは常日頃から自分を勝負の世界へ追い込んでいたからこそ本番であれだけのプレーができたのだとあらためて思いました。今でもパワーをもらう存在です。

Q あなたの「勝負●●」は何ですか?

特に験担ぎはしないのですが、最大の準備をして後は自然体でいることを大事にしています。

Information

ミュージカル「チェーザレ 破壊の創造者」に出演!

講談社の週刊漫画誌『モーニング』に連載され、コミックの累計発行部数が140万部を突破した大ヒット歴史漫画『チェーザレ 破壊の創造者』。美麗な作画とドラマチックな描写で幅広い層から支持を集める人気作家・惣領冬実さんによるこの壮大な歴史絵巻が、今回ミュージカルとして生まれ変わる。会場となる明治座では創業以来初、幻のオーケストラピットを稼働! 生演奏による本格ミュージカルとして上演される。橘ケンチさんが演じるのは、主人公のチェーザレに生涯忠誠を誓う腹心のミゲル・ダ・コレッラ。「ミゲルはリーダー的なタイプではないのですが、自分のすべてをかけて貫き通すところがあって、そこは自分にちょっと似ている気もします」と橘さん。チェーザレを演じる中川晃教さんはミュージカル界のトップスター。2人がどんなパフォーマンスを見せるか楽しみだ。

日程:2023年1月7日(土)~2月5日(日)
出演:中川晃教、橘ケンチ(EXILE)、[スクアドラ ヴェルデ]山崎大輝・風間由次郎・近藤頌利・木戸邑弥(Wキャスト)、[スクアドラ ロッサ]赤澤遼太郎・鍵本輝・本田礼生・健人(Wキャスト)、藤岡正明、今拓哉、丘山晴己、横山だいすけ、岡幸二郎、別所哲也
原作:惣領冬実『チェーザレ 破壊の創造者』(講談社『モーニング』所載)
原作監修:原基晶、脚本:荻田浩一、演出:小山ゆうな、音楽:島健
企画・製作:明治座、主催:ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』製作委員会(明治座・フジテレビジョン・ポニーキャニオン・ミックスゾーン)
公式サイト:https://www.cesare-stage.com

転載元:https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/heroes_file/260/