思いがけない方向へ。だから人生は楽しい
スー:約6年前、私のラジオ番組にゲスト出演していただいた時以来ですね。和田:スーさんの大ファンなので再びお会いできて光栄です。スーさんは以前、会社員を経験されていたんですよね。
スー:音楽が好きだったのでレコード会社2社で宣伝業務に就き、31歳の時、眼鏡の会社に転職しました。合わせて約12年間、会社員を経験しています。
和田:転職を2回されているんですね。
スー:そうです。最初の会社もやりがいがあって楽しかったのですが、知り合いを通して、日本のアーティストが全米デビューするプロジェクトに参加しないかと誘われたんです。当時一番やりたかったことで、迷わず転職しました。ただ、慣れると違うことがしたくなる性分(笑)。10年近い宣伝業務の経験が異業種でも生かせるか試したくなり、眼鏡のベンチャー企業へ転職したわけです。
和田:私も音楽が好きで、学生時代は音楽専門の放送局でインターンをしていました。就活ではレコード会社への就職が決まっていて、卒業前から働かせていただいていた。たぶんスーさんと同じ会社です。
スー:すごい偶然ですよね。時期は違っていたと思うけど。
和田:はい。でも私は結局入社していないんです。当時付き合っていた彼と就職したら結婚しようと決めていたのですが、両家の顔合わせの日に妊娠が分かって、就職を断念したので。
スー:その結婚相手が、(料理愛好家の)平野レミさんのご子息だった。
和田:そうです。ところでスーさんはその後、どのような経験を経て文章を書く仕事をするようになったのですか?
スー:35歳の時、父の事業を手伝い始め、友人の音楽マネジメント会社も手伝うようになり、作詞もしていました。物書きになる気はなかったのですが、その頃インターネット交流サイト「ミクシィ」で三十路(みそじ)ネタを発信していたら女性誌編集者から声が掛かり、雑誌に連載コラムを持つことになったんです。でも1年で終わったのでもっと書きたいと今度はブログを始めたらほかの編集者の目に留まり、そのブログを元に『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎)という本を出すことになりました。以降、さまざまな媒体で書かせていただいています。
人が見つけてくれた適性は案外正しい
和田:スーさんのラジオ番組には根強い人気があります。ラジオパーソナリティーを始めたきっかけも知りたいです。スー:「音楽業界にいるけれど、そんなに名前の出ていない人」ということで旧友から白羽の矢が立ち、ラジオ番組にゲスト出演したのが最初。それが現在の帯番組につながっています。
和田:声を掛けてもらったことは、まずやってみるわけですね。
スー:全部ではないです。信頼できる船頭がこいでいる船だったら乗る(笑)。実績があり、信頼できる人からの申し出なら前向きに受けます。そういう人が見つけてくれた私の適性って信じられる。自分がやりたいかどうかで選ぶより、案外私に合った方向へこぎ出せる気がします。
和田:たしかに、何が自分に合うかは他人が見つけてくれるものかもしれません。私は長女を産んで1年たった頃、義母の(料理愛好家の平野)レミさんが自分の仕事の打ち合わせの場に呼んでくれたんです。その際、私たち嫁姑(よめしゅうとめ)のやりとりが面白いとテレビの共演オファーが来るように。以来、レミさんの仕事に同行する機会が増えていきました。とはいえ当初は仕事と思っていなくて「私でお役に立つなら協力します」ぐらいの感覚でした。
スー:一人の料理家、として仕事をするようになったきっかけは?
和田:3人目を出産した後です。テレビ番組でレシピを紹介してほしいとオファーをいただきました。でも、その数年前まで料理をしたこともなかったような人間です。家族や友人には褒めてもらえていましたが、仕事として引き受けていいのか迷いがありました。自信を持つために食育インストラクターの資格を取得して、少しずつ受けてみるようになりました。
スー:資格が自信をくれたわけですね。
和田:はい。料理家として自分が発信したいことを見つけられたのは最近になってようやくです。「和田明日香」として依頼していただく以上、料理家として何を大切にしているかを料理で表現しなければいけないと思っています。そんな私の集大成が2021年に出した『10年かかって地味ごはん。』。多くの方に支持していただいたことが大きな自信となり、おかげで23年3月、第2弾を出すことができました。
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リーダーが語る、アシタを開く言葉
スーさん
「愛こそすべて」
ラジオ番組「ジェーン・スー 生活は踊る」で毎年元旦に書き初めをするのが恒例なんです。2022年に「愛こそすべて」と書き、そのとおりに日々を過ごしたらとても良い1年になったので、23年もこの言葉を書きました。

和田さん
「今、目の前にあることを幸せだって思えるのが一番幸せなことだよ」
大学卒業間近、社会人として会社へ就職しようとしていた矢先に私の妊娠が分かり、就職を断念しました。その時に父が言ってくれた言葉で、今でも事あるごとに思い出します。ずっと宝物にしています。

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転載元:https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/kibou/020_1/