今や趣味は生きていくうえで欠かせない存在になりつつありますが、昨今の環境の移り変わりを受け、趣味との付き合い方にも変化が生まれていそうです。自身や環境の変化と共に、滞在先の選び方や現地での過ごし方がどう変わっていったのかをお聞きしました。
Q.)カナエナカさんの趣味活動について教えてください。
ホテルでは本当に何もしません(笑)。普段後回しにしているような考え事をしたり、本を持っていってゆっくり読んだり。部屋から海を眺めながら2時間くらいぼーっとしている……なんてこともあります。家にいると「洗濯しなきゃ」「雨が降る前に買い物に行かなきゃ」と生活するうえで気になることがつい目に入りますよね。ゆっくり集中するにはホテルがうってつけなんです。観光はほとんどせずに長い時間ホテルで過ごすことが多いので、早めにチェックインできるところであれば明るいうちに到着するようにしています。
以前全国出張の多い会社に勤めていて、年間通してさまざまな土地を訪れるなかで、宿のインテリアや居心地を重視してゆっくり過ごせるところを見つけたいなと思ったのがホテル巡りに目覚めたきっかけです。ホテル情報は主にSNSで集めていて、選び方で重視するポイントは「長時間そこにいるだけで満足して帰れそうか」。旅行やホテルに詳しい知人友人、建築家さんのアカウントなどをフォローして、新規開業のホテルを中心に気になったところを訪れています。
Q.)今のカナエナカさんにとって趣味はどんな位置づけでしょうか。以前との変化とあわせて教えてください。
毎日同じ狭い部屋にいて同じ景色を見ていると発想が凝り固まってしまうので、普段と違う環境に身を置くことや長い距離を移動することは、自分にとって必要で大切なことなんだなと、その時はっきり分かりました。自分のことに集中したりひたすら好きなことをするためには、誰かと一緒に行くよりも一人がベストだとも感じています。
とはいえ、今の状況ではなかなか旅行はしづらいものです。2020年はほぼどこにも行かなかったんですが、好きな宿を応援したい気持ちもあるので、今は私なりに節度を持って訪問することを心がけています。
Q.)社会人は仕事とのバランスを考えることが多そうです。趣味と仕事を両立するうえで工夫していることを教えてください。
20代の頃は「休みをとってホテルに泊まってきます」と職場で言いづらい気持ちもありました。ただ、自分自身がマネジメントをする立場になって思うのは、「どんな理由であれ堂々と休めたらいいよね」ということ。なので、旅行で休む時は周囲に不在時のサポートをしてもらうことへの感謝も伝えつつ、必要以上に気を遣わずに伝えるようにしています。
今の職場では、私がホテル巡りが好きなことは同僚や上司も知っています。ときどき社内の人に「今度〜〜県に行くんですけどおすすめのホテルありますか?」と聞かれることもあるんです。そういう雑談がきっかけで仕事のコミュニケーションがとりやすくなる場合もあるので、趣味をオープンにすると仕事にもいい影響が生まれるなと感じています。
あとは何より体調管理! 旅行先で体調が悪くなるのは不幸でしかないので、風邪かな、ちょっと調子が悪いなと思ったらすぐ病院へ行ったり早めに寝るようにしたりと何かしら手を打つようにしています。
Q.)そのほか、趣味に関することで以前と比べて変わったことがあれば教えてください。
小さなホテルだと一度訪れたらスタッフさんと顔見知りになることもあり、行く前に「今ちょっと行きづらい時期ですけど大丈夫ですか?」のようなコミュニケーションをとってから訪問することも。そうすると行ってからもスタッフの方と会話する機会ができて、滞在先で知り合いが増えるような新しい楽しみが生まれた感覚があります。それはコロナ禍を経て変わったことかなと思います。
最近では、ホテルの快適な空間作りのアイデアを自宅にも生かし始めています。リラックスできそうな間接照明の置き方とか、ベッドのレイアウトとか、肌触りのいいベッドリネンとか。ホテルを参考に部屋を整えてみると、かなり快適に過ごせる環境を作れるんです。最近あるホテルで使われているパジャマと同じものを買ったんですけど、業務用なので乾きが早いし、何度も洗濯してもくたくたにならない。いい買い物をしたなと思いました。いろんなホテルを見てきたおかげで日常のクオリティも上がってきたので、ホテル巡りをしてきてよかったなと感じています。
(MEETS CAREER編集部)
いろんな人の「趣味」や「好きなこと」との付き合い方
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