【CASE07】営業 × 人工流れ星による宇宙エンターテインメント事業の推進

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「宇宙の仕事」と聞くと、一部の専門家たちだけを対象とした”特別な仕事”と思ってしまいがちですが、実態はその真逆。特別な経験や知識がなくとも携われる仕事がたくさんある業界なのです。

そんな宇宙産業のさまざまな仕事を紹介する『宇宙の仕事辞典』の第7回。宇宙エンターテインメント事業における営業の仕事について、ALEの菅野 元亮さんにお話を伺いました。

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ALE 菅野 元亮さん


【イントロダクション】ALEのビジネスとは?

流星群の話題がしばしばニュースで取り上げられたりもしますが、今も昔も流れ星は“天文ショー”の主役の一角。見上げた夜空に、流れ星が一つ、また一つと駆け抜けていく。そんな光景を好きな時・好きな場所に作り出し、大勢の人と感動を共有することができたら、盛り上がること間違いなしですよね。

そんな夢のようなプランを、“世界初の人工流れ星”によって現実のものにしようとしているのがALEです。同社は、人々の好奇心を育む「宇宙エンターテインメント事業」と、地球観測データの蓄積と活用を通じて気候変動の解明に貢献する「大気データ事業」、そして、昨今話題になっているスペースデブリ(宇宙ゴミ)の発生抑止に取り組む「宇宙デブリ対策事業」、この3つの事業に取り組んでいる宇宙ベンチャー企業です。

人工流れ星は、同社の宇宙エンターテインメント事業『SKY CANVAS』を支えるコアテクノロジーです。その仕組みは、高度400km程度を周回する人工衛星から直径1cm程度の小さな金属球を放出し、それが60~80km上空で燃え尽きる際に発光するというもので、天然の流れ星と原理自体は一緒。ただ、同社の研究開発により、金属球の材料を工夫し、天然の流れ星よりも長時間にわたって光るようにすることで、天文ショーをより一層楽しめるものにしているのだそうです。人工衛星には数百個の金属球が搭載されており、お客様の依頼に応じて、指定のエリアで数個から数十個を放出、ごく短い時間に複数の流れ星を降らせることができます。

この人工流れ星は、都会の夜空でも見える明るさで、視認可能範囲も直径200kmと広大。これは関東地方がすっぽりと入るほどの広さです。どこか特定の会場に集まることなく、広いエリアで観覧できるため、これまでにない新たなエンターテインメントとして、観光促進や各種のイベント、企業のPR活動などへの利用が期待されています。

同社設立以来、研究開発や検証を繰り返してきた人工流れ星ですが、今後打ち上げられる予定の同社3機目となる人工衛星『ALE-3』によって、いよいよ世界初の本格的な商業利用が始まります。宇宙をキャンバスとして利用する新たなエンターテインメントが今生まれようとしています。

どんな仕事なのか教えてください

私は今、人工流れ星『SKY CANVAS』の営業およびマーケティングを担当しています。まだ提供開始前のサービスなので、どのようにビジネスとして成り立たせるかという事業開発のフェーズから取り組んでいるかたちです。エンターテインメントコンテンツとしての人工流れ星について、その潜在的な市場規模や、事業のマイルストーンを考え、だったらこういう業界のお客様にこれぐらいの価格で提供していこう、というようなビジネスモデルの仮説設定と検証を行っています。

当然ですが、まだ決まったお客様がいらっしゃるわけではありません。ですから、大手企業、PR・イベント関連会社、地方自治体などの潜在的ニーズを持っていそうな企業・団体にヒアリングをしたり、ディスカッションさせていただいたりしながら、将来のお客様候補、販売パートナー候補などを探っている最中です。

なお、お客様候補は国内だけにとどまりません。人工衛星は常に地球上を周回していますし、流れ星は多くの国や地域でポジティブな存在として認識されていることがほとんどです。そのため、海外のリゾート地やエンターテインメントエリアなども市場としては極めて有望。ビジネスチャンスは世界中にあるものと考えています。

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この仕事のやりがい・面白さは

この仕事のやりがいは、まだ誰も踏み込んだことのない未知の領域を自分の手で切り拓いていけるところです。「人工流れ星をどうビジネスにしていくのか」というテーマに対して、世界中の誰もまだ正解を持っていません。自分が世界に先駆けて顧客を開拓し、市場を形成していくことができるのは面白いですね。このような機会は滅多にないでしょう。

また、ビジネスがいきなりグローバルに展開できてしまうところも魅力です。旧来のビジネスならば、まずは国内に展開して、一定の成果を上げてから海外へとなるのが普通だと思いますが、このビジネスはそうした段階を踏む必要がありません。人工流れ星は、言葉に頼るタイプのコンテンツではないので、いちいち難しい説明をしなくても価値が伝わります。先進国も途上国も、洋の東西も関係なく「本物の流れ星を降らせる」というだけで、先方も興味・関心を示してくれます。人の心に刺さるコンテンツという意味で大きな可能性を秘めており、確かな手応えも感じています。

この仕事の難しさ・大変な部分は

ただ、人工流れ星という概念が新し過ぎて、お客様にきちんと理解していただけないことも少なくありません。たとえば、あるお客様との打ち合わせ中、何か話がかみ合わず、おかしいなと感じていたら、ARアプリやプロジェクションマッピングの話だと勘違いされていたということがありました。

コンテンツとしても他に類を見ない新しいものですし、まだ提供事例がありませんので、そのコンテンツを使ってどういう効果を出すのか、お客様はイメージしにくいのです。だからこそ、こちらからのご提案がとても重要になります。広域エリアでの観光振興策やセールスプロモーション施策としての活用、大規模イベントとの連動など、何のために活用するかも含めて、具体的なイメージを持っていただけるよう提案していく必要があります。

何はともあれ、まずは実績作りが重要です。近く予定されている人工衛星『ALE-3』の打上げ後、いち早く事例をつくり、きちんと効果測定を行うことによって、数字を伴った説得力のある提案ができるようになっていくはずです。

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この仕事で求められる資質や、活かせる経験・スキル

マインド的には、新しいことが好きで、未知なる領域に進んで踏み込んでいくような、好奇心に突き動かされるタイプの人に向いているのではないでしょうか。この仕事は、変化を起こしていかないとビジネスとして成り立ちません。自ら波を作っていくことで大きな波を呼び込むことができると考えています。誰かが歩いた道をなぞるのではなく、自ら切り拓いていく気持ちが大事だと思います。

経験としては、広告代理店やイベント会社、観光業、メディア会社など、BtoBtoCのビジネスの知見があれば大いに役立つのではないでしょうか。また、自治体への営業では地方創成の文脈で語ることが大切で、そうした分野への理解を共通言語として持っているとスムーズだと感じました。その意味では、自治体相手のビジネスをした経験も役に立つでしょう。

宇宙に関する専門性は特になくても構いません。むしろ新たなビジネスを組み立てていくことを楽しめる感覚が必要だと思います。

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【これから宇宙ビジネスにジョインする方へ】

●私が宇宙を仕事にした理由
実は子どもの頃からの宇宙好き。それが高じて高専時代はロボット作りに熱中、ロボットコンテストのベスト8に残ったこともあります。とても充実していた分、それでやり切った感があって、大学では経営工学の道に進みました。そのため、いわゆるエンジニアではなくなってしまい、就職活動時にはJAXAのエンジニアへの応募を諦めざるを得ませんでした。

結局、テレビ局に就職し、報道記者、営業、デジタル系の部署などを経験しました。その後、米国のスペースX社が誕生し、メディアで取り上げられたりして盛り上がっているのを見て「もう一度、宇宙に挑戦してみたい」と思い立ち、転職に踏み切ったというわけです。

●読者へのメッセージ
宇宙業界への就職・転職を考える人で、宇宙に興味がないという人はほとんどいません。そのため、宇宙への憧れの強さだけを語っても、なかなか選考は突破できないでしょう。社会人であれば「これまでの経験や知見を活かして、宇宙業界でこういう貢献ができます」と言えるかどうかが大事だと思います。

私の場合は、メディアでの経験を活かして、「人工流れ星をマスコミュニケーションの新しいかたちにできるのではないか」と考え、当社に応募しました。今や宇宙は、特別な人だけがアクセスできる特別な場所ではありません。そこで自分を見つめなおし、何ができるのかを考えることも必要ではないでしょうか。

その上で、たくさんの人に「ぜひ宇宙業界に飛び込んできてください」とお伝えしたいですね。船の発明によって海が開拓され、飛行機の発明によって空が開拓されてきたように、今は宇宙が開拓される人類史のターニングポイントにあります。今しか味わえない醍醐味や手応えがあると思いますので、少しでも興味があれば、ぜひチャレンジしてみてください。

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