人間力とは?仕事が「デキる人」に共通する3つの特徴と鍛え方

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社内での昇進、転職や独立など、現代社会のビジネスパーソンがキャリアアップをしていくには何が必要でしょうか?専門知識やスキルを磨くことも大切ですが、それらの中にはAIや他の人材でも代替え可能なものが少なくありません。そこで改めて注目されているのが「人間力」。一見すると抽象的な言葉に聞こえますが、実は内閣府によって定義されている概念のひとつです。そこで今回は、人間力の高い人の特徴や、明日からできる人間力を鍛える方法を紹介します。ビジネスパーソンとしての市場価値を高めるヒントにしてみてください。

デキる人が身に付けている人間力とは?

一昔前は「会社の中でどう昇進するか」の意味合いが強かった「キャリアアップ」。しかし昨今はそうとは限りません。終身雇用が「当たり前」ではなくなり、転職はもちろん、フリーランスや副業など生き方の選択肢が多様になりました。私たち一人ひとりが「キャリア自律」を求められています。2003年には内閣府に設立された「人間力戦略研究会」において“人間力”がモデル化されており、次の三つの要素を総合的にバランスよく高めることが人間力を高めると言われています。

知的能力的要素

まず最初の要素は「知的能力的要素」。学校教育を通じて習得する「基礎学力」をベースに、従事する業界・職務領域の「専門的知識・ノウハウ」、そしてビジネススキルの土台となる「論理的思考」、変化の激しい時代に固定概念にとらわれずに新たな価値を生み出す「創造力」などを指します。

社会・対人関係力的要素

次は「社会・対人関係力的要素」。”他者を尊重し切磋琢磨しながらお互いを高め合う力”と言及されており、社会や対人と良好な関係性を築き、維持する力のことを指します。具体的には「コミュニケーションスキル」や「リーダーシップ」「公共心」「相互啓発力」などが含まれます。

自己制御的要素

三つ目が「自己制御的要素」。上記の「知的能力的要素」と「社会・対人関係力的要素」を十分発揮するための基盤となる要素です。「意欲」や「忍耐力」、「自分らしい生き方を追求する力」が含まれます。

では今後、キャリアアップをしていくためにはどのような能力を意識すれば良いのでしょうか。もう少し具体的に、デキるビジネスパーソンに求められる資質について触れていきます。

参考:人間力戦略研究会報告書

人間力が高い人=マネジメントする力がある

新入社員の頃は、どんな仕事も積極的に取り組む姿勢が評価されますが、キャリアを重ねていくとそれだけでは成果を上げることも評価を得ることも難しくなっていきます。自分の持っているリソース(知識・能力・時間・予算など)を認識・把握し、適切に配分をしていくことが求められるでしょう。いわゆる”マネジメント能力”はマネージャーになる前から意識しておくことが大切です。ここでは、マネジメント能力を身につけるために意識すべき能力・姿勢について解説します。

メタ認知能力(事業・組織・ヒト・自分)

自分が在籍する会社や事業を客観視し、自分が率いる組織やメンバー、そして自分自身が置かれている状況を俯瞰して捉えることができていますか?
目の前の仕事ばかりに気を取られてしまいがちですが、自分の仕事が事業や会社の中で、また業界や社会の中でどんな位置付けなのかを認識・把握してみると良いでしょう。また組織やチームの中における自分はどのようなポジションにあり、何が期待されているのか。このように自分自身を客観的に捉える”メタ認知”を意識してみることが大切です。これは人間力の「知的能力的要素」「社会・対人関係力的要素」「自己制御的要素」全てに関わってくる基本的資質です。

数字で捉える力

キャリアアップをしていく上で避けては通れないのが数字でマネジメントする力。数字でマネジメントといっても売上管理だけではなく、「自分の仕事のプロセス(各段階)を数字を通してチェックする」ということです。日々仕事をしていると、かけた時間や労力で満足感を得てしまうことがありますが、自分の仕事を数字で捉えると日々の業務の成果や効率性を客観的に把握することができます。上記メタ認知能力を使って自分の仕事をプロセスごとに分解し、数字で管理してみましょう。例えばセールスの仕事であれば商談数や成約に至った数、失注した数はもちろんのこと、成約に至ったクライアントの特徴を捉え、類似するクライアントが自分の担当領域の中でどれくらい存在するかを数字で把握するのです。今後の見通しや、成果が出ていないプロセスの改善策が立てやすくなるはずです。これは「自己制御的要素」を養う上でも重要な資質といえるでしょう。

共感力

「共感する力」も優れたビジネスパーソンの特徴。複雑化したビジネス環境の中で、顧客やマーケットのニーズの変化を把握することがますます難しくなっています。インターネットなどでリサーチすることも大切ですが、それではマーケットのおおよその傾向しか掴むことはできません。顧客や消費者と直接対話する機会は不可欠なのです。その時に必要なのが相手に”共感する力”。人は、自分の本来の欲求を自覚していないことがあります。そうした顕在化していない欲求のことをマーケティングでは”インサイト”と呼びますが、このインサイトを把握するためには顧客・消費者と同じ目線に立ち、同じ立場を体験し、共感する必要があるのです。

またマネージャーになると部下の立場や心情を理解し指導や指示をする必要も出てきます。
上から指示だけ卸すのではなく、メンバーの立場心境も理解・把握した上で指導することが重要です。誰でも、一方的に指示されることはストレスに感じ、結果的に組織全体のパフォーマンス低下につながりかねません。「社会・対人関係的要素」を高めるためにも”共感力”を意識してみましょう。

商品企画や新規事業開発で必要な人間力

デキるビジネスパーソンの特徴の一つに、「商品・サービス企画」「新規事業開発」経験があげられます。変化が激しく、ビジネスを持続・拡大させることが難しい現代。目先の業績は好調でも新企画の提案や開発、新規事業に取り組む企業も増えているのです。しかしそうしたプロジェクトには誰でも関われるわけではありません。今後の会社の命運に関わるようなプロジェクトメンバーにアサインされるには何が必要なのか?人間力をベースに具体的に挙げていきましょう。

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周囲を巻き込む人間的魅力

ビジネスを拡大させるためには社内外さまざまな関係者を巻き込む必要があります。この時に必要な能力こそ「社会・対人関係力的要素」。日常の業務の中で自分がどのような評価を得ているのか、また自分の要求を受け入れられやすくするために、どのようなコミュニケーションの取り方が適切か。前項であげた共感力も発揮しながら相手を巻き込んで味方にしていくことが求められるのです。

構造化と仕組み化

1人の天才が素晴らしいアイデアを思いついても、それを持続・拡大させていくためには複数の人々が関わり、仕組み化していく必要があります。なぜ売れるのか、他社との差別化のポイントはどこなのか、どのように売っていくのかなど、ビジネスを構造的に捉え、必要なプロセスに適切な人材を配置し、オペレーションのルールなどを定めていく。属人的な仕事にせず仕組み化することで「たまたまうまくいった」ではなく、「持続的に成功し続ける」モデルを作ることができるでしょう。また個人の仕事でも、構造化と仕組み化を意識するとさらに効率の良い仕事の進め方ができます。最近ではAIを活用して今まで人間がやっていた業務が効率的に進むケースも増えています。AIまでいかなくても、例えばExcelの関数を使用したり新たなツールを取り入れることで、既存の業務が効率化される可能性もあり、成果を上げやすくなるでしょう。

胆力

新規事業の多くは、失敗がつきもの。面白いアイデアや、リサーチを重ねて理屈の上では成り立つアイデアも、実際に展開してみるとうまくいかないことも多いのです。メディアでは日々、新しいビジネスの開発秘話が輝かしく報じられていますが、そこに至るまでは多くの失敗や挫折があります。

ではそうした難しい状況下で最終的に成果を出すために必要なことはなにか?それは「胆力」です。成果が出なくてもあきらめずに地道にトライアンドエラーを重ねて修正し続ける力。「意欲」や「忍耐力」、「自分らしい生き方を追求する力」などを指す自己制御的要素が必要なのです。精神論のようですが、一番鍛えるのが難しい能力かもしれません。

人間力を高めるために、明日から実践できる方法

これまで、デキる人材の特徴である「人間力」について説明しました。ではその人間力を高めるためにはどうすれば良いのでしょうか?日常生活の中で意識すべきことをいくつかご紹介します。

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自分の仕事を棚卸する

これまでの仕事やキャリアの棚卸をしましょう。自分がしている仕事は会社の事業の中でどのような位置付けなのか、成果が出た時の成功要因、逆の時の失敗要因などを定期的に振り返ることで、自分の現在地を把握し、知的能力的要素を養うことができます。半年に一度など、健康診断を受けるようなイメージで自分のキャリアの棚卸を習慣づけましょう。この際、自分1人で振り返るのも大切ですが、第三者に壁打ち相手になってもらうのも自分でも気づけなかった視点を得られるのでおすすめです。

チャンスがあれば手を挙げる

社内外含め、機会があれば小さなものでもまずはトライしてみる姿勢を持ってみてください。どうしても目先のリスクや負担が気になって、何かをはじめることに二の足を踏んでしまう方も多いと思います。しかし、まだやったことがない仕事は新しい能力開発や人間関係の構築に繋がり、「知的能力的要素」「社会・対人関係力的要素」「自己制御的要素」いずれの人間力も高めることになるでしょう。Apple創業者のスティーブ・ジョブズも「Connecting the Dots(点と点をつなぐ)」という言葉を残しています。一つ一つの点が繋がって次のキャリアを作っていきます。まずはやってみる。その姿勢を忘れないことが大切です。

社外との交流を持つ

日々の仕事に奔走していると、知らず知らずのうちに人間関係が社内に限定されがち。しかし、それだけではあまり成長しないかもしれません。社内の人間関係も大切ですが、社外の人との交流や共通プロジェクトを持つことで自分の視野や思考プロセスを常にアップデートする意識を持ちましょう。他業界に進んだ学生時代の友人と会って話すのも良いですし、なんらかのコミュニティに参加してみるのもおすすめです。社外の人と話をしていると、自分がいかに会社の中の考え方や価値観にとらわれて日々生活していたか気づきがあるかもしれません。人間力を養うだけではなく、日々のストレスや悩みを解消することにも役立つでしょう。

自分のキャリアを自分で作っていく、という意識を忘れない

「どうせ人事は思い通りにならないから」ではなく、自分で自分のキャリアを作っていく、という意識を持つことが大切。「キャリア自律」や「プロティアンキャリア」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、一度就職すれば、あとは定年退職まで道がつながっている、という時代ではありません。転職はもちろん、副業や独立など、キャリアの築き方は以前に比べると自由になりました。会社や上司から言われたことだけをやっていたら、気付いたら社内でしか通用しない人材になっていた、というケースもありがちです。自分のキャリアを作っていく意欲は、「自己制御的要素」にもつながってくるはずです。

長い目で見る姿勢

キャリアの大半は偶然である、というクランボルツ理論(計画的偶発性理論)をご存知でしょうか。この理論では「キャリアは偶然によって作られていくが、偶然を計画的につくっていくことはできる」という考え方をしています。すぐに成果を求めずに、目の前の仕事に全力投球していればあなたのキャリアは前進していき、その過程で人間力は自ずと身についてくるでしょう。目の前のトラブルや失敗は小さな点でしかありません。その点がまた次につながっていきます。そうして”偶然”が生まれるのです。

人間力を高めて、仕事がデキるビジネスパーソンになろう!

いかがでしたでしょうか。人間力は先天的に備わっている要素もありますが、自分の努力次第で伸ばせる可能性もあります。そして、人間力を鍛えていくことは、ビジネスパーソンとしての可能性を広げることにつながるでしょう。「人間力」というキーワードを軸に、ぜひご自身のキャリア開発を考えてみてください。

文:羽田 啓一郎(株式会社Strobolights)

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