仕事や生活も大切にしながら趣味を楽しむ。会社員&ライター・あたそさんの「趣味との付き合い方」

会社員&ライター・あたそさんの趣味との付き合い方

さまざまな社会人の「趣味との付き合い方」をお聞きするシリーズ企画「変化する『趣味との付き合い方』」。今回は会社員として働きながら、働き方や生き方に関するコラム執筆も行うあたそさんにお話を伺いました。

テレビで特集が組まれたり、趣味単位でコミュニティが生まれたり、いまや「趣味」は生きていくうえで欠かせない存在と言えるでしょう。

一方で昨今の生活様式の変容を受けて、趣味との付き合い方に変化が生じているように感じます。加えて働き盛りの社会人は仕事とのバランスを考えるシーンが多いです。生活も働き方も変わりつつある状況でどのように趣味と向き合っているのでしょうか。これまでとの変化とあわせてお聞きします。

***

Q.)あたそさんの趣味活動について教えてください。

コロナ禍以前は海外旅行に行ったり、毎日のように友達と飲み歩いたり好きなミュージシャンのライブに行ったりしてました。家にいるときでも映画を観たり本を読んだりと、基本的に予定をきっちり入れることが好きで、常に動いていました。好きなことに夢中になっていると、その分だけ自分も好きになれる気がしていたのかもしれないですね。睡眠時間を削り、必死になっていろんなことに手を出していた気がします。

でも、コロナ禍以降はほとんど外に出られなくなり、海外旅行やライブ、友達と会うこともなかなかしづらくなってしまったので、一層ひとりで過ごすことが多くなりました。自宅では変わらず、読書をしたり映画を観たり、たまに英語や仕事の勉強をしたりしています。休日には、ちょっと面倒臭いエスニック料理を作ったりと楽しくやっています。

大好きだった海外旅行に行けなくなってしまった代わりに、日本語が通じないような中華料理屋やマニアックなエスニック料理などをSNSで検索して実際に足を運んだりしています。早く海外に行きたい!


Q.)今のあたそさんにとって趣味はどんな位置づけでしょうか。以前との変化とあわせて教えてください。

海外旅行は年に4~5回は休みを見つけてどこかに行っていましたし、日本にいる間も常に航空券の金額を調べては妄想し、ネットで行きたい観光スポットやレストランを検索してはGoogle Mapにピンを押す……という日々でした。生きがいでしたし、「私は仕事よりも趣味に生きる!」と思っていました。

でも今は海外に行けなくなり、いつ行けるかも分からなくなって、ぱったりやめざるを得なくなってしまって。だからこそ、私の生活にとっては海外旅行はなくてはならないものだったけど、ただの趣味で、いい意味で別にあってもなくてもいいものなんだなと思うようになりました。

好きなことが生活からなくなって、はじめはフラストレーションみたいなものが溜まったけれど、私自身が何か大きく変わることはなかったので。また全社的にリモートワークが導入されてから家で過ごす日が増えて、きちんと今の自分と今後を見直す時間が増えて、考え方も徐々に変わってきて。生きていくうえで趣味もすごく大切ですし、私も趣味に生かされてきたけれど、それだけじゃなくて、仕事も家事も含めてバランスよくこなしていかないといけないと今は思います。

もちろん、趣味が大事なことに変わりはないので、コロナ禍が落ち着いたらまた海外旅行に行きたいと思っています。台湾や韓国に住む友達に会いに行きたいし、長期休みが取れたらインドの砂漠地帯・ジャイサルメールや街一帯が青色のジョードプル、シク教のメッカのアムリトサルなんていいんじゃないかな……と日々妄想をしています。いつになるかは分からないけど、行きたい場所なんて無限に思いつくし、こういう妄想も毎日の活力になっている気がします。

ほかの趣味も含めて夢中になっていたから今の私があるのは確かですが、好きなことで趣味だからこそ、こんなふうに今の自分の仕事や生活を大切にしながら好きなペースで楽しむ方がいいよな、と思うようになってきています。


Q.)社会人は仕事とのバランスを考えることが多そうです。趣味と仕事を両立するうえで工夫していることを教えてください。

海外旅行に行けていた時の話になりますが、まず、もともと会社は休みを取りやすいので、「この日休みたいんですけど」と事前に伝えておけば、よほど忙しいときでなければ休めます。旅行のために有給休暇を取得するのに、あまり苦労をしたことはないんですよね。

風通しも比較的いいほうで、お互いにどんな家族構成で何が好きかを始め、私は有給を取ってどこに行っているのかも筒抜けだったりします。だからこそ「あいつ、休んでばっかいやがって……!」となるべく思われないためにも、期限があるタスクは余裕をもって終わらせるようにする、できるだけ連絡を取れるようにしておく、直接関わりのある方には直接休むことを伝えるなどを行っていました。

あとは、お土産も忘れずに買っていき、「あそこ行ったんですね」と話しかけられて、そこから休憩中に雑談をしたりとか。海外旅行が趣味だと、仕事を両立させるために「あの人は海外旅行にたくさん行くんだな」と印象づけるのも結構大切なんだなと、当時は特に何も思っていなかったけど今になってその大切さに気が付きました。

基本的には「やるときはやる! 休むときはとことん休む!」というスタンスでやっています。どうしても仕事に集中できないときは早めに切り上げてお酒を飲みながら映画を見てリフレッシュしたりとか。いろんな趣味がありますけど、仕事がうまくいかなかったときに、頭の中をなんとか切り替えるためのスイッチとしての役割を担っている気がします。


Q.)そのほか、趣味に関することで以前と比べて変わったことがあれば教えてください。

今までは趣味と仕事はきっちりわけて考えていましたが、コロナ禍以降は同僚や上司と仕事以外でコミュニケーションを取ることが少なくなって、特に新しく入社した方との壁みたいなものを感じるようになったんですよね。「直接会ったことがないから顔と名前が一致しない」とか「声が認識できないから誰が喋っているか分からない」とか、話を聞くようになって、それぞれが働きにくさを抱えている気がして。仕事での余裕やゆとりも感じられないなーと思っていました。

だからこそ、ミーティングの前に少し雑談を挟むとか出社時にはどうでもいい雑談をするとか、上司にかけあって雑談だけをする機会を設けたりして、お互いに何が趣味なのか、どんなことが好きなのかをはじめとして人間性を理解できる時間を作るようにしました。

仕事の話だけではどんな人なのか分からないところがあると思うんですけど、趣味を含めてどうでもいいような雑談をすることで心理的安全性を確保できるというか。一緒に働くメンバーのことを知ってお互いを認め合うことで、チーム内でもよい雰囲気で仕事ができるようになっています。



いろんな人の「趣味」や「好きなこと」との付き合い方

お話を伺った方

あたそ

あたそ
普段は会社員として働く傍ら、たまにインターネット上であれこれ文章を書いたりトークイベントを開いたりしている。好きな飲みものは酒。自分の思ったこと・感じたことをきちんと文章で表現してくことと、健康が当面の目標。著書に『女を忘れるといいぞ』(KADOKAWA)、『孤独も板につきまして 気ままで上々、「ソロ」な日々 』(大和出版)がある。
Twitter:@ataso00