「自分の市場価値は、いったいどれくらいなのか?」 「市場価値を高めるには、具体的に何をすれば良いのか?」 「市場価値を高めれば、本当に年収アップにつながるのか?」
こんな疑問を抱いたことはありませんか? 現代社会において、自身の市場価値を高め続けることは、単なる年収アップの手段としてだけでなく、キャリアの安定性と成長を確保するためにも欠かせません。
この記事では、「給与アップ応援宣言」としてすべての働き手の給与アップを応援するマイナビ転職から、市場価値の本質について深堀りし、それを高める具体的な方法、そして最終的に年収アップにつなげるための戦略を詳しくお伝えしていきます。
市場価値とは? 定義と高めるメリット
市場価値が高い人材の特徴
市場価値を高める3ステップ
市場価値を年収に反映させるための2つの方法
市場価値を上げるためには、自分の強みを高めることを意識しよう
まとめ
市場価値とは? 定義と高めるメリット
市場価値とは?
市場価値とは、世の中や企業からのニーズに対する人材の需要バランスなどで決まる自身の価値の指標のこと。しかし、この定義だけでは少し抽象的かもしれません。もう少し詳しく見ていきましょう。市場価値を左右する個人の要素は、例えば以下のようなものです。
- スキル: 技術的なスキル(プログラミング、データ分析など)や、ソフトスキル(コミュニケーション能力、リーダーシップなど)
- 経験:職務経験、プロジェクト経験、業界知識など
- 潜在能力: 学習能力、適応力、創造性など
- 資格:その業界で認められている資格
- ネットワーク: 社内の人脈や、協業可能な社外の人とのつながり
- 実績:過去の業績、成功事例、受賞歴など
これらの要素が総合的に評価され、その人の市場価値が形成されます。とはいえ、どの要素もニーズがないと「市場価値」とはならないため、注意が必要です。
市場価値を高めるメリット
自分の市場価値を高めると、このようなメリットがあります。キャリアが安定する
市場価値が高いというのは、世の中や企業から、あなたの経験やスキルに対してニーズがたくさんある、いわば引く手数多という状態のことです。そして、昨今は感染症の流行や災害、気候変動、IT化など、私たちの「働き方」もさまざまな変動に見舞われる時代でもあります。
そんななか、万が一勤め先の倒産や人員削減などで予期せぬ求職活動が必要な事態に直面しても、市場価値が高く「ニーズある人材」であれば、比較的次の就労先が見つかりやすくなります。このように自身のキャリアが変化に強い状態であることは、大きな安心材料になるでしょう。
働き方やキャリアの選択肢が増える
市場価値が高い状態を維持できると、働き方やキャリアの選択肢が大きく広がります。
例えば、転職活動において市場価値が高いスキルや経験を多数身に付けていると、より多くの企業からのニーズがあります。そうすると、勤務地、勤務時間、テレワークの有無といった勤務条件や福利厚生などの待遇についても、いくつもの求人のなかからより自身の希望に合った企業を選びやすくなります。
また、独立や副業など多様な働き方を選ぶこともでき、自分のキャリアを自分でコントロールしやすくなるでしょう。
更には新しい職種や業種にチャレンジしたい時も、通常は未経験分野への転職であれば収入や待遇が下がるケースが少なくないのですが、市場価値が高い状態であれば、それほど条件を下げずに転職が可能なケースも。このように、市場価値を高めることで、自分らしい働き方を実現する選択肢が増えるのです。
年収アップを狙える
市場価値を高めることで、年収の面でもメリットが得られます。市場価値が高い状態であれば客観的な評価が伴うため、転職時の年収交渉で自信をもって交渉しやすくなります。場合によっては、大幅な年収アップも望めるかもしれません。
また、市場価値が高いと、現在の職場においても交渉力を発揮することができます。昇給や昇進の交渉をする際に、自分が価値のある人材だと認めてもらいやすいでしょう。
市場価値が高い人材の特徴
市場価値が高い人材には、いくつかの共通した特徴があります。これらの特徴を理解し積極的に身に付けられれば、市場価値をより高めることができます。
主な特徴は、「高いポータブルスキル」と「豊富な実績・経験」の2つです。
高いポータブルスキル
ポータブルスキルとは、特定の職場や業界に限定されず、さまざまな環境で活用できる汎用的なスキルです。市場価値の高い人材は、これらのスキルを高いレベルで保有しています。主なポータブルスキルには以下のものがあります。
- 論理的思考力:複雑な問題を分析し、効果的な解決策を見出す能力。
- コミュニケーション能力:自分の考えを明確に伝え、他者の意見を理解し、目標達成に向けて協力し合える信頼関係を築く力。
- リーダーシップ:チームをまとめ、目標に向かって導く能力。
これらのスキルに加えて、時間管理能力、問題解決能力なども重要なポータブルスキルとして挙げられます。
ポータブルスキルが市場価値を高める理由は、その汎用性と長期的価値にあります。これらのスキルは、どのような職場や業界でも必要とされるため、ニーズが高まる傾向があります。また、技術やトレンドが変化してもこれらのスキルの重要性は変わらないため、長く戦力になる人材がほしいと考える企業にとっては、採用で特に重視したい点になります。
豊富な実績と経験
市場価値の高い人材のもう一つの特徴は、第三者の目からも分かりやすい実績を持っていることです。単に働いている年月が長いだけでなく、その経験の中で具体的な成果を上げていることが重視されます。
例えば、以下のような実績が市場価値を高めます。
- 売上の増加:「前年比20%の売上増加を3年連続で達成」など、数字で示せる業績。
- コスト削減:「業務プロセスの改善により、年間経費を30%削減」といった具体的な成果。
- プロジェクト成功:「100人規模の組織改革プロジェクトを予定通り完遂」など、大規模プロジェクトの成功例。
これらの実績を持つことで、あなたの市場価値は大きく向上します。ただし、重要なのは実績が単発ではなく、ある程度の一貫性や再現性を持つことです。なぜなら「違うメンバー、違う職場、違うタイミング、違う領域でも再現できる」ものでないと他社からニーズはなく、「市場価値」にはつながらないからです。例えば、「一度だけ大型案件を獲得した」よりも、「大型案件を獲得したノウハウを生かし、翌年も連続で売り上げを達成した。後輩にもノウハウを開示し、チーム全体の売上底上げにつなげた」というように、何度か再現されている、周りの人も再現できるノウハウを確立している実績がある方が戦力として望ましく、市場価値としては高く評価されやすいのです。
市場価値を高める3ステップ
計画的かつ継続的な取り組みによって、市場価値を向上させることができます。ここでは、市場価値を高めるための具体的な方法を3つのステップに分けて説明します。
現状のスキルセットや実績を整理する
まず最初に行うべきは、自分自身の現在の状況を客観的に把握することです。これには、STARフレームの活用が有効です。
「STAR」とは、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の頭文字を取ったものです。この枠組みを使って、自分の経験を整理することで、より具体的かつ印象的な実績のアピールが可能になります。
<例>
- Situation(状況): 新規顧客獲得が停滞し、前年比で10%の売上減少に直面していた 。
- Task(課題): 新規顧客からの売上を30%増加させ、前年比マイナスを解消する目標が設定された。
- Action(行動): 人脈を活用し、ターゲット業界のキーパーソンへ戦略的にアプローチした。
- Result(結果): 9カ月で新規顧客からの売上を45%増加させ、目標を大きく上回った。
このようにSTARフレームを用いて、自身の主要な実績を5〜10個程度整理してみましょう。これで自分の強みや成果を可視化し、市場価値を客観的に評価する基礎を明確にします。
強化すべきポータブルスキル・テクニカルスキルを特定する
やみくもに将来のキャリアで必要なスキルを設定しても、自身が望む形での市場価値は上がりません。というのも、今の自分にないスキルを身に付けたとしても、それが「企業のニーズが少ないもの」であれば、自身の市場価値の向上や年収アップにはつながらないからです。
まずは、転職サイトなどでニーズがあるスキル、高い報酬が提示されている職種や業種、業務内容はどのようなものかを調べましょう。そのうえで自身の職務経歴を振り返り、今、自分が持っているスキルと、将来のキャリアで必要となるスキルのギャップを特定するなど、努力すれば身に付けられそうなものを把握し継続的に学習し続けることが大事です。
例えば、将来経営にかかわりたいと考えている場合。理想のポジションについている人がどのようなスキルや経験があるのか、転職サイトや社員インタビューなどで調べ、自分と比較してみましょう。
比べた結果、現状プロジェクトマネジメントスキルとチームリーダーシップスキルを持っているけれど、戦略立案や財務分析に関するスキルは足りないと感じたら、足りない部分を補うために、戦略立案や財務分析に関するスキルを身に付けるためにはどのようなアクションが必要か、どのような業務にかかわっていけるようにすればいいのかを考えていく、という流れです。
このように、現在の強みと将来必要なスキルを明確にすることで、効果的な学習計画を立てられるのです。
継続的な学習と自己投資を行う
市場価値を高めるためには、新しいスキルの習得と既存スキルの強化が不可欠です。以下のような方法で、継続的な学習を進めましょう。
今後需要の見込まれるスキルを学習する
- ビジネス書籍などの定期的な読書:月に1~2冊のペースで、関連分野の書籍を読み、知識を広げる。
- ワークショップやセミナーへの参加:実践的なスキルを学ぶ機会として活用する。
社内プロジェクトや副業を通じたスキル実践
- 部署をまたいだプロジェクトへの参加:自部門以外の業務にかかわることで、幅広いスキルと知識を獲得する。
- 副業の開始:本業とは異なる業界や職種での経験を積み、視野を広げる。
ほかにも、業界動向のウォッチ、資格取得やリスキリングプログラムの活用、ボランティアへの参加など、知識やスキル、経験を積むにはさまざまな方法があります。これらの活動を通じて、理論と実践の両面からスキルを磨いていくことが重要です。
市場価値を年収に反映させるための2つの方法
市場価値を高めることは重要ですが、それを実際の年収アップにつなげることも同様に大切です。ここでは、高めた市場価値を年収に反映させるための2つの方法について、詳しく解説します。
社内での昇進・昇給
現在の会社でキャリアを続ける場合、社内での評価を上げ、昇進や昇給につなげることが重要です。効果的なのは、自身の成果を可視化し数値化する、重要プロジェクトに積極的に参加する、の2点です。
成果の可視化と数値化とは、例えば毎月や四半期ごとに自身の実績を具体的な数字やデータでまとめておき、上司との評価面談の時に「新規顧客獲得数を前年比20%増加させ、売上に1億円の貢献をした」といったように、具体的に数値で成果を示すことです。
また、会社の重要課題や新規プロジェクトに積極的に関わり成果を出すことで、自身の価値をアピールし、昇進のチャンスが増やせます。プロジェクトでは指示待ちになるのではなく自身に求められている役割に沿って率先して行動し、貢献することが大切です。
転職活動を行う
現在の会社で十分な評価や報酬が得られない場合、市場価値を年収に反映させる有効な手段が転職です。
定期的に自分の市場価値を把握する
具体的な方法
- マイナビ転職などの転職サイトに登録し、自身の職種や経験を含む求人でいくらくらいの年収が提示されているかチェックする。
- 希望の年収が600万円なら年収600万円以上で求人を絞り込んで検索し、出てきた求人で必要とされるスキル・経験をチェックし、自身のスキル・経験と比較する。
- 転職フェアなどで無料キャリア相談を利用し、自身の市場価値となっているスキル・経験を特定する。
- モデル年収ランキングなどで自身の職種・業種の平均年収、年収が高い業種、職種、いわば市場価値の高いスキル・経験を特定する。
転職で市場価値を給与に反映させる4つのステップ
①市場価値と現年収の乖離を把握する
転職を考える際、まずすべきは自身の市場価値と現在の年収の差を把握することです。例えば、現在の年収が500万円で、市場価値が700万円程度と判断される場合、200万円の上昇の余地があると考えられます。この分析により、転職活動時に適切な年収交渉の基準が設定できます。
②自分の強みを生かせる求人選びを行う
自身の市場価値をさらに高められる環境を重視しましょう。具体的には、自身のスキルと経験、強みが最大限に生かせる職種や役割、あるいは今後成長が見込まれる業界や企業、そして自身のキャリアビジョンと合致しているかを慎重に検討します。
これらの要素を総合的に判断し、長期的なキャリア成長を見据えた選択をしましょう。
③効果的に市場価値のアピール
転職活動では、効果的に市場価値をアピールすることが鍵となります。履歴書や職務経歴書では、STARフレームを活用し、具体的な成果や数字を用いて実績を説明します。面接では、その経験が新しい職場でどのように生かせるかを明確に伝え、自身のユニークな強みや将来性をアピールするよう心掛けましょう。
④適切な年収交渉を行う
年収交渉においては、まず市場価値の分析結果をもとに、適切な年収レンジを設定します。交渉の際は自身の価値を裏付ける具体的な実績や、その企業での貢献可能性を伝えられるよう準備しておきましょう。
高めた市場価値を年収に反映できるよう、これらのステップを丁寧に進めることをおすすめします。
市場価値を上げるためには、自分の強みを高めることを意識しよう
市場価値を高めるには、「強み」を持つことが重要です。ここでは、なぜ自分ならではの強みが重要なのか、そしてどのように見出し、伸ばしていくかを説明します。
自分ならではの強みがもたらす高い市場価値
高い市場価値を持つ人材は、以下の方程式で表すことができます。
「どの企業も課題で、そのスキルをほしがっている」×「実はそのスキルを持っている人材が少ない」=高い市場価値がつくポジション
つまり、需要と供給のギャップを見出し、そこにフィットするスキルや経験を持つことで、市場価値が高い人材となり得るのです。
例えば、営業職で市場価値を高める自分ならではの強みを持つには、以下のアプローチが考えられます。
- 業界動向の徹底的なリサーチ: 特定の業界や市場の市場調査レポートを定期的に確認し、そこで示されている課題や需要の高まりを把握する。
- 求人情報の分析: 大手求人サイトなどで、高年収の営業職の求人情報を分析し、どのようなスキルや経験が求められているかを調査する。
- 顧客からのヒアリング: 日々の営業活動の中で、顧客が抱える課題や将来的なニーズについて深掘りしてヒアリングを行う。
これらの情報を総合的に分析することで、「需要は高いが、供給が少ない」スキルや経験の組み合わせが見えてくるかもしれません。こうした調査の結果、仮に「デジタルトランスフォーメーション(DX)に関する深い知識を持ち、顧客企業のDX推進を支援できる営業職」へのニーズが高まっていることが分かれば、そのスキルを獲得することで自分の「強み」となり、市場価値向上につなげられます。
まとめ
市場価値の向上は、あなたのキャリアの安定性と成長を支える重要な投資となります。しかし、その価値は世の中の変化とともに変わるものです。今あるスキルを維持し続けているだけでは世の中に取り残され市場価値が下がることもありますし、逆に人手不足で上がる可能性もあります。そのため、今後は世の中の動向や企業側からの需要を把握したうえでの継続的なスキルアップ、実績の可視化が必要になるでしょう。
文・マイナビ転職編集部