俳優・歌手/大原櫻子 | チャンスを広げるため、夢は人に話そう【Heroes File】

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第一線で活躍するヒーローたちの「仕事」「挑戦」への思いをつづる

俳優・歌手/大原櫻子

17歳の時に受けた映画のオーディションに合格し、映画&CDデビューを同時に果たした大原櫻子さん。以後、俳優と音楽の両方のフィールドを自在に行き交いながら、見る者を引きつけてやまない存在となった。
そんな大原さんから、芝居への向き合い方や楽しみ方に目覚めた瞬間のこと、また気持ちの切り替えをどのようにしているかなど色々な話を伺った。

Profile

おおはら・さくらこ/1996年東京都生まれ。日本大学藝術学部映画学科卒業。2013年に映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』でスクリーン&CDデビュー。22年1月7日(金)から東京・青山のスパイラルホールで公演予定の舞台「ミネオラ・ツインズ」で主演を務める。

「ここまでの高い壁はなかなか感じたことがありません。だからこそ挑戦しがいがあると思っています」。そう熱く語る大原さん。高い壁というのは2022年1月7日(金)から始まる舞台「ミネオラ・ツインズ」のこと。1950〜80年代の激動の時代、女性たちが何を考えどう生きたかを、性格が正反対の双子を通して描く痛快なダークコメディーだ。

大原さんは主人公の双子姉妹、マーナとマイラを一人二役で演じる。「さまざまな社会的問題を背景にシニカルな笑いが満載の、トップギアで走り抜けるような舞台です。お客さまには、何も考えずに目の前で起きていることをただただ楽しんでいただけたらうれしいです」

子どもの頃から俳優に憧れていた大原さん。チャンスをつかんだのは17歳の時だ。映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』で約5千人の応募者からヒロイン役に抜擢(ばってき)され、同時にCDデビューも果たした。「それまでは、自分の夢をほとんど誰にも話さずにひたすらオーディションを受けていました。でも全然ダメ(笑)。そんな私に姉が『夢は人に話したほうがいい、どこにチャンスがあるか分からないから』と。それで夢を口にするようになったら、間もなく友だちが『カノ嘘』のオーディションを教えてくれたんです。姉の言うとおりでした」

俳優・歌手/大原櫻子

華々しいデビューを飾って以降、歌手活動も併行しつつ、数々のドラマや映画、舞台に出演。そんななか、俳優として大きな転機となったのが22歳の時に出演した舞台「ファン・ホーム」だ。

怒りを爆発させるシーンの稽古中、何度やっても演出家の小川絵梨子さんからOKが出ず、揚げ句の果てに「あなた、人生で傷ついたことないでしょ」と言われてしまった。傷ついた大原さんは「私のことを何も知らないくせに」とやり場のない気持ちを怒る演技にぶつけた。すると小川さんは「最低でもそれ!」と少し認めてくれた。「その言葉がグサッと胸に刺さり、そこから私の演技、お芝居への向き合い方がガラリと変わりました。お芝居の楽しみ方をつかむことができ、その奥深さにちゃんと立ち向かえるようになった気がします」

この時の共演者、吉原光夫さんには「手放して、何も考えない。ただ生きるだけ」と教えてもらった。「稽古で積み上げてきたことに縛られず、本番はその役で生きて反応しろという意味。非常に難しいんですが、演じる際はいつも肝に銘じています」。本番直前は全員で輪になって「エンジョイ!」と叫んだ。「何があっても楽しもうね! という合言葉です。大切なことを本当にたくさん学ばせていただいた舞台でした」

自分を尊敬したいから頑張り続ける

俳優・歌手/大原櫻子

愛らしいルックスとピュアな歌声が印象的な大原さん。俳優としてドラマや映画、舞台はもちろん、歌手として音楽活動にも精力的に取り組んでいる。数年前まではそこに学業も加わっていた。「学生生活も仕事と同じぐらい私にとっては大切だったので、かなり大変ではありましたがどちらもやめようとは思いませんでした。こう見えてもタフ。バイタリティーでは人に負けません」と屈託のない笑顔で話す。

活発な性格でフットワークも軽く、思い立ったら即行動するという。例えばデビュー以来、忙しくてまとまった休みが取れなかったが、5日連続で休めると分かった瞬間、「ここしかない!」と急きょニューヨークへ飛び立った。「幼い頃から憧れていたブロードウェーのミュージカルを見たかったので弾丸旅行で(笑)。移動に日数がかかるので正味2日間の滞在で計4作品だけの鑑賞となりました。それでも俳優さんたちの演技や歌、ダンス、そして舞台のスケール感に圧倒され、たくさんの刺激をもらえた。本当に行って良かったです」

また、気持ちの切り替えもうまいと自負する。昨年、出演予定だったミュージカル「ミス・サイゴン」がコロナ禍で中止になってしまった。どうしても諦めきれず、何とか上演できないかとプロデューサーに電話したそうだ。「そこで色々お話しして、どうしようもないと理解できた瞬間、号泣しました。でも泣いたらスッキリして、よし、じゃあ今やれることをやって、今回の公演で得られなかった充実感をほかで得てやると思い、本をたくさん読んだり、料理をしたりしました。何よりの収穫は単独の作詞作曲の曲に初めて挑戦できたこと。時間を無駄にしないというのも私の特技かもしれません」

22年1月に主演する舞台「ミネオラ・ツインズ」も、最初に脚本を読んだ時はどんな作品になるのか想像できなくて不安になり、かなり追い込まれるような気持ちになった。「でも、この舞台をやり抜いたら私カッコいいよねって褒めてあげることができるなと。そう思ったらがぜんやる気が出ました(笑)」

大原さん、実は自分にあまり自信がないという。だから、自分を尊敬できるようになりたくて努力を続けている。注目されているなと意識すると緊張し、身構えてしまうこともあるが、「そんな時こそ、いやいや誰も私に期待などしていないよって自分に言い聞かせます。そうするとパワーが出てきて頑張ることができるんです」。そのつど自らを第三者の視点で見つめ、そこで気づいたことからより良い方向へ進んでいくためのすべをすでに身に付けている。今後どこまで成長していくか楽しみだ。

スタイリスト:米原佳奈 
ヘアメイク:木内真奈美(OTIE)

ヒーローへの3つの質問

俳優・歌手/大原櫻子

Q 現在の仕事についていなければ、どんな仕事についていたでしょうか?

幼稚園の先生です。子どもって本当に可愛くて大好きです。

Q 人生に影響を与えた本は何ですか?

大人になってあらためて『星の王子さま』(アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ著)を読んで、すごくいい話だなと思いました。子どもの頃は当たり前だったのに大人になると見失っているものがあることにハタと気づかされ、胸にグサッと刺さりました。

Q あなたの「勝負●●」は何ですか?

よく、緊張しないために「人」という字を手のひらに3回書いて飲むと言いますが、私の場合は父から大切にしなさいと言われた「真心」の「心」という字を手のひらに3回書いて飲み込みます。それだけで「よっしゃー」と気合が入ります。

Information

舞台「ミネオラ・ツインズ」に出演!

シス・カンパニー公演「ミネオラ・ツインズ~六場、四つの夢、(最低)六つのウィッグからなるコメディ~」が2022年1月7日(金)~1月31日(月)に東京・青山のスパイラルホールにて上演予定だ。出演は大原櫻子さん、八嶋智人さん、小泉今日子さんほか。第2次世界大戦後、1950〜80年代の激動の時代、アメリカ社会で女性たちが何を考え、何を体験してきたかを痛烈な風刺を込めて描いた挑発的なダークコメディー。物語の中心人物は、見かけはそっくりだけど性格が正反対の双子マーナとマイラ。過激で際どい運命をたどる姉妹の壮絶なバトルが痛快で、思わず笑ってしまうはず。この2人の人生を1人の俳優がウィッグと衣装を早替えしながら演じ分けることが重要な舞台。マーナとマイラを演じるのは大原さん。「あまりの疾走感に見終えた直後は放心状態かもしれません。でも少し経つと色んなことが見えてくるし、自分の生き方についても考えさせられます。何はともあれ、まずは目の前で起きていることをただただ楽しんでほしいなと思う作品です」と語る。