【例文あり】「頼むの苦手」を克服! 依頼メールの書き方・件名・締めの言葉のコツ

初めての依頼メールを打つ社員


メールのやりとりは社会人である以上避けては通れないもの。手軽なチャット機能やメッセージアプリのテキストコミュニケーションが普及しても、ビジネスではメールがまだ重要な役割を果たしています。

しかし、ビジネスメールの書き方、特にメールで初めてお願いごとをする依頼メールに苦手意識を持つ人は少なくありません。また、仕事ができる人やコミュニケーション上手と言われる人は、ビジネスメールの文面にも表れます。この記事では、ビジネス依頼メールの書き方や件名、締め文の留意点、相手をイラっとさせないポイントなどを解説します。

初めてのビジネス依頼メールの書き方。件名、締めの言葉などコツ8つ

ビジネスメールを書く時に大切なことは「どうすれば失礼なく、受け手に伝わりやすいか?」を考えること。では、項目ごとにポイントを紹介します。

ビジネス依頼メールの書き方【1】件名で要旨が分かるように

件名は、一番先に目に留まる部分。ここで、要旨を伝えられるかどうかが重要です。「何の件について」「いつ」「何が(誰が)」「どうなったか(どうしてほしいか)」を意識して、なるべく具体的かつ簡潔に書きましょう。

たとえば、打合せの日程変更について連絡する際に、「次回の打合せについて」だけだと重要度合いが分かりませんが、「次回の打合せの日程変更のご相談」と書かれていれば、急ぎの件だと気付き、すぐに返信してもらえる可能性が高まります。

受け手に「大事なメール」と認識してもらえるように、社名、人名、日付、イベント名など、固有名詞や数字を件名に入れるのも一つの方法です。


×悪い例
「ご相談があります」
〇良い例
「A社との新規取引についてのご相談」

×悪い例
「資料のご確認のお願い」
〇良い例
「【ご確認のお願い】A社への提案資料・◎日までに返信希望」

×悪い例
「ルール変更のお知らせ」
〇良い例
「6月1日(水)より◎◎のルールが変更になります」

ビジネス依頼メールの書き方【2】宛名は変換ミスに注意!

「会社名+部署名+様(or役職)」が基本ですが、最もミスが発生しやすい場所でもあります。注意したいのは漢字の変換ミス。「斉藤」「斎藤」など複数のパターンがある場合や、「高橋」の高が「はしごだか」であるなど、旧字体のケースもあります。

ミスを防ぐためには、名前が表示されているところからコピー&ペーストするのが無難。ペーストした時は、元のフォントまでペーストされてメール内で書体や文字サイズが不揃いになっていないか、確認するのを忘れずに。

旧字体の名前は、以前は文字化けを防ぐために使用を避け、文面内でその旨の断りを入れるのがマナーとされていましたが、昨今では多くのツールは解消されている様子。迷った場合は、職場の文化もありますので同僚や先輩に聞いてみましょう。

ビジネス依頼メールの書き方【3】挨拶文は署名とともに社内・社外のテンプレ登録して時短

社外には「お世話になっております。(社名+名前)です。」、社内には「お疲れ様です。(部署名+名前)です。」が基本。メールの署名登録にセットで登録しておく、あるいは「おせ」で変換すると「お世話になっております。(社名+名前)です。」「おつ」で変換すると「お疲れ様です。(部署名+名前)です。」と出るように辞書登録しておくという時短ワザもあります。

社外、社内ともに初めてコンタクトを取る時には、「突然のご連絡、失礼いたします。〇〇様からご紹介いただき、XXの件でご相談したくご連絡しております」など、事情を説明すると相手は安心です。

ビジネス依頼メールの書き方【4】本文は簡潔に、6W3Hと返信期限を

依頼相手が1日に何十件ものメールを処理している可能性を踏まえると、依頼メールは「分かりやすく」「簡潔」であることが基本。6W3Hを意識して、過不足なく情報を盛り込みます。

・When(いつ)
・Where(どこで)
・Who(誰が)
・Whom(誰に)
・What(何を)
・Why(なぜ)
・How to(どうやって)
・How many(いくつ)
・How much(いくらで)

必要な情報が揃っていないと相手が依頼を受けるかどうか、判断できません。

急ぎの場合は返信期限も忘れずに。注意したいのは、丁寧にしようとするあまり言い回しが迂遠になったり、敬語を多用しすぎて大事な情報が伝わりづらくなったりするパターン。頼みづらいことでも、文面上はストレートに伝えましょう。

ビジネス依頼メールの書き方【5】本文の「見た目」を読みやすく

切れ目がなく、ぱっと見で重要なところが分からない長い文面は、読む気が失せてしまいます。

空白行(3~5行ごとに1行)を入れる、箇条書きにする、大事なところを【】でくくるなど、見た目の読みやすさは少しの工夫でずいぶん変わります。 長い文章の場合は1行20〜30字を目安に、文章の切れ目でも適宜改行するのが良いでしょう。

ビジネス依頼メールの書き方【6】締めの言葉、挨拶文は丁寧に

テキストコミュニケーションのメールは、用件やお願いだけだと「そっけない」印象を与えてしまいがち。しかし、締めの一文で印象を和らげたり、より丁寧な印象を与えることもできます。
ビジネス依頼メールで便利な締めの挨拶
・お手数をお掛けし恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。
・ご検討いただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
・ご多用の折恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
・毎度ご尽力ありがとうございます。今回も何卒よろしくお願い申し上げます。
・スケジュールがタイトで誠に恐縮ですが、ご返信お待ちしております。何卒よろしくお願い申し上げます。

ビジネス依頼メールの書き方【7】署名は必要な情報を欠かさず

署名は「どこの誰か」だけでなく、依頼に不明点があり電話で確認したい時などに「どこに連絡したらいいか」が分かりやすいことも重要。社内の相手の場合は内線番号、社外の場合は外線番号が明記されていることは重要です。

メールのやりとりが続いていくと、長い署名が毎回メールの間に入ると遡りたい時に邪魔になってしまう場合も。メールツールによっては、返信文面の直後ではなく、メールやりとり全体の末尾に署名を設定できますので適宜利用しましょう。

また、注意が必要なのは署名の飾り文に☆などのカジュアルな記号を使うケース。華やかな印象を与える一方で、目上の方に深刻な用件を送る時や謝罪メールなのにそのまま送ってしまうと、「誠意が感じられない」とネガティブな印象を与える場合も。

状況に応じて使い分けられる人はいくつかの署名を登録しておく、そうでない人は無難で分かりやすいものにしておくのが得策かもしれません。

ビジネス依頼メールの書き方【8】添付ファイルは容量に注意

添付ファイルを装ったメールウイルスが散見される昨今。メールを添付する際は本文内で添付した旨を一言添える、ファイル名を何のデータか分かるように名づけるなどの配慮がベター。

また、大容量のメールは相手側のサーバーへ負担をかけたり、開いた時にほかの作業中のソフトがフリーズしたりということもあり得ます。2MBを超える場合は一言添え、ファイルストレージサービスなども適宜活用しましょう。

個人情報をはじめ重要なデータをやりとりする際はパスワードをかけるなど、セキュリティ対策も忘れずに。

イラッとされる? ビジネス依頼メールの書き方の注意点

ビジネス依頼メールの注意点【1】「~してください」を連発

依頼メールでは特に気を付けたいところです。要望を受け入れてもらいたいとはいえ、一方的に都合を押し付けるばかりで相手への気遣いが感じられない文面では印象が良くありません。


【悪い例】
3月4日の会議ですが、急遽A社を訪問することになったので変更してください。空いているのは、5日と6日の午前中と7日の13時〜17時です。明日までに必ず返信してください。

【良い例】
急で申し訳ないのですが、3月4日(月)の会議の日程変更を
お願いできますでしょうか。
急遽A社を訪問することになったためです。

以下の時間が空いておりますので、このなかでご調整いただけますと幸いです。
・3月5日(火)午前中
・3月6日(水)午前中
・3月7日(木)13時~16時

明日までに返信いただけると助かります。
ご迷惑をお掛けし誠に恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

依頼だからこそ、相手がスムーズに返信できるように見やすく、必要な情報を揃え、クッション言葉を利用し、相手の状況を慮った言葉を忘れずに伝えましょう。印象を和らげるには以下のような表現も役に立ちます。


■疑問形
「~してください」を「~いただけますか」「~お願いできますか」などに書き換える。

■クッション言葉
「申し訳ありませんが」「恐縮ですが」「差し支えなければ」などを依頼の前に入れる。

■アイメッセージ
「私はあなたが●●してくれると嬉しいです/助かります/ありがたいです」など、I(私)を主語にして依頼を伝える。

ビジネス依頼メールの注意点【2】専門用語、略語、横文字の乱用

コミュニケーションの原則は、相手に分かりやすく伝えること。よって、社内用語を社外のパートナーに使う、同じ社内であっても、マーケティング用語やシステム用語など、専門職以外には一般的ではない用語を依頼メールのなかで乱用するのは控えたほうが無難です。

【例・同部署の同僚向けのメール】
新規プロジェクトのローンチに関して社内のコンセンサスがとれておらず、リスケの可能性があります。

【同じ内容を横文字をあまり使わない相手に送る場合】
新規事業開始に関して社内で意見がまとまっておらず、予定を変更する可能性があります。

同様に注意が必要なのが略語。「CAの方を紹介してほしい」とメールで依頼されてキャリアアドバイザーを探していたら、後からキャビンアテンダントのことだと判明した…… など、同じ略語でも業界や職種によって第一に連想するものが異なる場合もあります。

ビジネス依頼メールの注意点【3】 絵文字や記号の使用

ビジネスメールでは、基本的に絵文字や「!」「?」などの記号は使わないほうが無難。「?」は文面のなかのどの部分を回答すればいいのかが分かりやすくなる、絵文字は気持ちや親しみやすさが伝わる、などのメリットがありますが、「ビジネスの場にはそぐわない」「馴れ馴れしい」「失礼」など、ネガティブな印象を持つ方もいます。

使用したい場合は「相手が使用しているか(特に目上の相手とのメールの場合)」「砕けた話ややりとりをできる関係性になっているか」「ほかの人とのメールで絵文字や記号が使われているか」など、「自分が使いたいから」だけではなくTPOをわきまえて使いましょう。

ビジネス依頼メールの注意点【4】 結論を最初に書いていない

「何を頼みたくて(聞きたくて)送ってきているメールか」が最初に分かっていると、ポイントを押さえながら読むことができますが、そうでないと読み直しが必要になる場合も。ビジネス依頼メールでは「結論ファースト」を心がけます。

【悪い例】
X社より、包装機Aと包装機Bを提案されました。
包装機Aは現在より約50%の時間短縮が見込めますが、
予算を40万円ほどオーバーします。
ただし日本製でアフターサポートも充実しており、国内企業への導入事例も豊富です。

包装機BはAよりも時間がかかりますが、
現状よりは30%は時間を短縮できそうです。
価格は予算内で収まりますが、海外製のため品質に不安があり、
日本市場での実績は少ないようです。

私は包装機Aが良いと思うのですが、課長はどう思われますか。


【良い例】
包装機の導入について、X社の2つの提案のうちどちらがいいか、
ご意見を伺いたくご連絡しました。

私は長期的なコスト削減を考えると
包装機Aが良いと思うのですが、
課長のご意見をお聞かせいただけますでしょうか。

<包装機A>
現在より約50%の時間短縮が見込めますが、
予算を40万円ほどオーバーします。
ただし日本製でアフターサポートも充実しており、
国内企業への導入事例も豊富です。

<包装機B>
包装機BはAよりも時間がかかりますが、
現状よりは30%は時間を短縮できそうです。

価格は予算内で収まりますが、
海外製のため品質に不安があり、
日本市場での実績は少ないようです。


悪い例のほうは最後まで読まないと、アドバイスがほしいのか、AかBのどちらかを契約したという報告なのか、単なる情報共有なのか、などが分かりません。最初に、メールの目的を伝えましょう。

【社内向け・社外向け】ビジネス依頼メールの例文・件名

最後に、良く使うビジネス依頼メールの例文を紹介します。

例文【1】初めてのコンタクトの依頼メール


件名:【〇〇社(名前)】〇〇の資料送付のご依頼

〇〇株式会社
〇〇様

お世話になっております
株式会社〇〇の〇〇と申します。

この度、貴社のホームページを拝見して
ご連絡を差し上げました。

現在、弊社では貴社の(商品名)の導入を検討しております。
つきましては、(商品名)の資料を拝見したく、
以下の宛先にお送りいただくことは可能でしょうか。

(送付先住所と氏名を記入)

こちらの都合で恐縮ですが、
〇月〇日〇曜日の社内会議にて検討をしたいので、
〇日までに送付いただけますと幸いです。

ご多用の折お手数をお掛けしまして恐縮ですが、
何卒よろしくお願い申し上げます。

(署名)

例文【2】返信を催促する依頼メール


件名:【ご状況のお伺い】(商品名)のお見積もりご検討のお願い

〇〇株式会社
〇〇様

いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇です。

〇日にメールでお見積りをお送りしました件、
その後、ご検討状況などいかがでしょうか。

ご不明点がございましたら、
メールでもお電話でも、お気軽にご連絡いただければと存じます。

ご多用の折誠に恐れ入りますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。
(署名)

例文【3】会議スケジュールの依頼メール


件名:○月○日(○)営業会議ご出席のお願い

〇〇部
〇〇部長

お疲れ様です。
〇〇の〇〇です。

営業会議にご出席をお願いしたく、ご連絡いたしました。
恐れ入りますが、出席可否のご返信をお願いいたします。

・日時:〇月〇日(〇)〇~〇時
・場所:〇〇会議室
・議題:来期の目標設定について

今期の反省点を踏まえ、
部長からもぜひご意見をいただければと思います。

お忙しいところ恐縮ですが、
ご出席をご検討いただければ幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
(署名)

例文【4】社内の上司への承認催促メール


件名:出張申請書ご確認のお願い

本文:
〇〇課長

お疲れさまです。〇〇です。

〇〇の出張について、〇月〇日(〇)に申請書を提出しておりますが、
修正点などございますでしょうか。

お忙しいところ恐縮ですが、
申請期限が迫っている関係で、
〇月〇日(〇)までにご承認いただけると大変助かります。

何卒よろしくお願い申し上げます。
(署名)

社内の依頼はチャットとメール、どちらで送る?

最近はメールだけでなくチャットなど、気軽なテキストツールを併用する会社も増えました。それだけに、いざ頼みごとをする場合、メールで送るか、チャットで送るか、直接声をかけるか、電話をするか、方法に迷う人も多いでしょう。

原則は、会社や部署などの慣習に従い、相手に合わせたツールを選ぶこと。そのうえで、以下のように使い分けると良いでしょう。


チャット
・すぐに返信がほしい
・簡単な確認や報告

メール
・記録に残す必要があるとき
・長文や複雑な用件

チャットは削除や編集ができたり、過去のやり取りが見られなかったりと、記録を残すのには不向き。重要な書類の添付や連絡のときは、メールを使うと良いでしょう。

【まとめ】書き方だけじゃない! 「頼むのが苦手」な人が依頼メールで覚えておくべきこと

ここまで依頼メールのコツと注意点をお伝えしてきましたが、とはいえやっぱり「頼むのが苦手」が拭えない人もいるはず。そんな時は「いつ送るのがベストか」ということを考えてみてください。

どんな依頼も早めに頼んだほうが相手は受けやすく、断られてしまった時のリカバリも早ければ早いほうがききやすいのです。ですから、今、誰かに頼まなければいけない案件を抱えているという人は、今すぐ、なるべく早く送りましょう。

そして、文面に迷ったら、この記事で紹介したように読み手の視点に立って「分かりやすく」伝えることを意識してみてくださいね。


文:ミーツキャリア編集部

参考書籍
『イラッとされないビジネスメール 正解不正解』平野友朗/サンクチュアリ出版
『仕事が速い人はどんなメールを書いているのか』平野友朗/文響社