デキる部下の報連相とは? イラッとされないための5つのポイント

報連相をする女性

ビジネスシーンでは常識とされる「報連相」。特に若手社員のうちは、あらゆる業務をスムーズに進めるうえで、上司への報連相が不可欠です。
しかし、報連相とは単純なようで難しく、ポイントを押さえていないと、業務でトラブルが起きたり、上司や周囲の人との信頼関係が損なわれたりすることもあります。
今回は、報連相の定義や重要性、入れるべき内容や注意点などを解説します。

<INDEX>
・報連相とは?定義と見落としがちな目的
・報連相ができないとどうなる?
・報連相ができない原因・できない人の7つの特徴
・報連相がうまい人が実践している5つのポイント
・報連相で気をつけたい4つのポイント
・対面orメール・チャットを報連相でどう使い分ける?
・デキる人はやっている?報連相から「確連報」へ
・まとめ:報連相はビジネスの基本スキル

報連相とは?定義と見落としがちな目的

報連相とは、30年以上前に生まれたビジネス用語で「報告」「連絡」「相談」から一文字ずつとった略語です。

それぞれの定義

■報告:業務の担当者が進捗状況や結果を上司などに伝えること
■連絡:業務に関する情報やスケジュールを関係者(上司や同僚)に伝えること
■相談:課題や悩みを解決するために、上司や同僚から意見やアドバイスを聞くこと

目的

報連相には、主に、以下の3つの目的があります。

■業務の効率化
意外と見落としがちですが、報連相の第一の目的は、業務の効率化。部下が上司に業務の進捗報告をすれば、上司は部下に対して適切なタイミングでフォローできるうえ、業務の進み具合が順調だとわかれば、次の業務の準備を進めておくこともできます。
報連相を習慣づけると、業務がスムーズに進むようになるため、報告する本人だけでなく部署全体の効率化につながります。また、上司が部下に進捗状況を確認する手間や時間も省くことができます。

■ミスやトラブルの防止
報連相には、ミスやトラブルを防止するという目的もあります。たとえば営業職が顧客からサービス内容についてクレームを受けた場合、その営業職が上司に報告すれば、すぐに上司が顧客に説明と謝罪をして内容を改善するといった対応をとることが可能に。
逆に報告しなかった場合には、クレームへの対応がなされないことに顧客が怒って取引がキャンセルになるなど、もっと大きな損害をもたらすかもしれません。
また、チームのメンバー同士のすれ違いや揉め事などが発生した段階で上司に報告しておけば、早めに上司が状況を確認してフォローすることで、それ以上のトラブルになるのを未然に防ぐこともできます。
現場で誰かがミスをした場合には、その経緯や対策をチーム内で共有すれば、ほかの社員が同様のミスが起こらないように注意して、ミスを最小限に抑えることができるでしょう。

■問題の解決を早める
明確なミスやトラブルが発生していなくても、初めて任された業務が難航している、特定のチームメンバーとの関係性に悩んでいるといった問題がある場合、上司に相談することで、それに対応するための意見やアドバイスを得ることができます。解決策そのものを得られなくても、自分一人だけで試行錯誤するよりも早く問題解決の道筋が見えてくるはずです。

報連相ができないとどうなる?

ビジネスはチームワークが基本です。もともとは他人同士である社員がチームを組んで業務を遂行するためには、コミュニケーションが欠かせません。
報連相で情報共有がスムーズにできるようになると、社内コミュニケーションが活性化して個々の社員が働きやすくなり、業務効率化、生産性向上につながります。上司から見ると、報連相によって部下の状況を把握しやすいというメリットもあります。
一方、報連相ができていないと、チームや社内で認識のずれが生じやすく、ミスやトラブルが起こりやすくなります。

報連相ができない原因・できない人の7つの特徴

報連相はビジネスの基本とされていますが、実際には、必要なタイミングでできていない人や、実践はしているものの上司や先輩から「報連相がない」と思われてしまっている人も少なくありません。ここでは、報連相ができていない原因やできない人の特徴を探ってみましょう。

【1】報連相の必要性を理解できていない

部下が報連相の必要性やメリットを理解していない場合、上司が「報連相をしっかりしてほしい」と言っても、なかなか実際の行動にはつながりません。
逆に上司自身が報連相の重要性を理解していないケースもあります。せっかく部下が報告や相談をしても、上司が忙しいからと相手にしてくれない、ただ聞くだけで適切なフォローをしてくれないということが続くと、上司への報連相をやめてしまう部下もいるでしょう。

【2】報連相をした"つもり"になっている

報連相の必要性やメリットは理解しているものの、相手が「すべき」と感じるタイミングで報連相をしていなかったり、一番伝えなければいけないことが抜けていたりする場合は、報連相ができていないとみなされてしまうかもしれません。

【3】業務に精いっぱいで余裕がない

報連相の必要性は理解しているものの、業務量が多く忙しい、慣れない業務で余裕がないといった理由で、つい報連相を怠ってしまう人もいます。

【4】ミスや失敗を恐れている

プライドが高かったり、過度に失敗を恐れていたりする人は、失敗を人に知られたくないという気持ちが強いため、自分がミスをしたりチーム内でトラブルが起きたりしても上司への報告が遅くなりがちです。些細なミスであれば、報告せずに済ませてしまうこともあります。

【5】一人でなんとかしようとする

人に頼るのが苦手で、ミスやトラブルが発生してもギリギリまで自分でなんとかしようとする人も、上司への報告や相談が遅れがちです。本人に悪気はないものの、状況が悪化してから上司に報告するため、かえって問題が解決するまでに時間がかかってしまいます。

【6】上司に苦手意識がある

上司に苦手意識を持っている人も、報連相の頻度が少なくなる傾向があります。上司に近寄りにくさを感じていて無意識に接触を避けてしまうケースのほか、話し掛けることをストレスに感じている、過去に上司にミスを報告して怒られたことがトラウマになり、その後、ミスやトラブルを報告しづらくなるケースもあります。

【7】環境に原因がある場合も

部下個人の意識や性格の問題以外に、職場に報連相をしやすい環境が整っていない場合もあります。たとえば上司がいつも現場にいないうえに、チャットツールのようなスムーズに情報共有できるシステムが導入されていない職場では、部下が報連相をしそびれることもあるでしょう。また、上司や先輩が忙しそうであればあるほど、部下や後輩の立場は「話し掛けづらい」と感じるものです。

報連相ができない原因

報連相がうまい人が実践している5つのポイント

では、報連相を適切なタイミングで過不足なく行っていくには、どのようなやり方をすればよいのでしょうか。報連相がうまい人が実践しているポイントを紹介します。

【1】結論から先に伝える

報連相をするときは、できる限り簡潔に伝えましょう。細部まで詳しく報告しようと長々と話をすると、上司が要点を聞き逃してしまうかもしれません。まず結論を伝えてから原因や経緯を話すと、相手の頭に入りやすく、伝わりやすい報連相になります。

【2】5W1Hを意識して要点を箇条書きに整理してから伝える

事前に内容を整理したうえで、筋道を立てて説明することも大切です。言いたいことをいきなり話し始めると、話があちこちに飛んで、まとまりのない報連相になりがちです。頭のなかでうまく整理できない場合は、紙やメモ帳ツール、5W1Hのフォーマットなどを使い、要点を箇条書きにまとめるとよいでしょう。

【3】事実と自分の意見を分ける

実際にあったこと(事実)と単なる憶測や自分の意見を織り交ぜて話すと、上司にはどこまでが事実かわからず、適切な判断ができません。報連相では、まず具体的な状況や数値などの事実を伝え、その後に「あくまで私の意見ですが」と断ったうえで私見を述べましょう。

【4】ミスやトラブルは起こったらすぐに報告する

ミスやトラブルの報告はしづらいものですが、再発を防ぐためには、ミスやトラブルの報告こそ必要です。無理に自分だけで解決させようとして報告が遅れるとさらに状況が悪化し修復が難しくなります。その場に上司がいるなら声をかけにいく、離席中だったらとりあえずメールやチャットで一報を入れておくなど、できる限り早いタイミングで上司に報告しましょう。ミスしたことと同じくらい、その後すぐにどう対応したかが重要です。ミスやトラブル自体は避けられなくても、その後の行動によってはかえって信頼獲得につながることもあります。

【5】報告できるタイミング、ツールを予め握っておく

トラブル発生などの緊急の報告は迷わずすぐに伝える必要がありますが、進捗報告のような緊急性が高くない報告については、タイミングを考える必要があります。

急ぎではない報告・連絡の場合は、内容に応じて、上司の手が空いているときやほかの社員と話していないときに口頭で伝えるか、チャットやメールを活用するとよいでしょう。また、業務ごとに事前に「いつ報告すべきか」「次に報告すべきタイミングは、進捗がどの段階になった時か」を確認しておくと「報告すべきかどうか」という迷いを少なくすることができます。

上司や報告相手が忙しい場合は、事前に行動パターンやスケジュールをチェックしておき、1週間・1日のうち声をかけやすいタイミングがいつ訪れるかを把握しておくのもおすすめ。報告できるタイミングから逆算し、このタイミングまでに先方と話をしておこう、というように進めるのも一つのやり方です。

相談をする場合は、相手を選ぶことも大切です。業務内容や進捗状況を正確に把握していないチーム外の先輩社員や役職者にいきなり相談すると、適切なアドバイスが得られず、混乱を招くおそれがあります。特に若手社員のうちは、まず指示を受けた直属の上司に相談するのが基本です。

報連相がうまい人がやっているポイント

報連相で気をつけたい4つのポイント

基本的な報連相ができていても、細かい部分での詰めが甘いために、うまく伝わらなかったり印象が悪くなったりすることもあります。次に、報連相で注意したいポイントを紹介します。

【1】量や数などを具体的に伝える

「来場者がかなり多かった」「反応がとてもよかった」といったあいまいな表現をすると、事実が正確に伝わらず、誤解を招くことがあります。
たとえばイベントに100人の来場者が来たのを部下が「かなり多かった」と上司に伝えても、その言葉から上司がイメージする人数は、500人以上かもしれません。報連相では、できる限り量や数などの具体的な数字を示して、客観的な事実を中心に伝えましょう。

【2】問題や課題を丸投げしない

業務を進めるうえで問題や課題があって上司に相談するときは、「どうしたらいいですか?」などと判断を全て委ねないようにしましょう。
上司に丸投げして問題を解決してもらっても、自分自身の成長にはつながりません。相談の目的は、あくまで部下自身が業務を遂行するにあたってのアドバイスを得ることです。「●●●のように対処しようと考えていますが、抜けている点はありますか?」など、自分で解決策の案を考えて上司に伝えたうえで、意見を聞くようにしましょう。

【3】何をして欲しいのかを明確にする

細かく報連相をすることは大切ですが、伝えたいことが曖昧だと「相談したいのか、共有だけなのかどちらだろう」と相手を困らせてしまう可能性があります。前章でも「結論から伝える」「説明するべき内容を整理してから伝える」重要性を説明しましたが、要は相手にどうして欲しいのかを明確に伝えることが大切です。もし伝え方に苦手意識を持っているなら、家族や友人など身近な人に相手になってもらい練習してみると良いかもしれません。

【4】報連相をしただけで安心しない。相手に伝わったかを確認する

チャットやメールで複数のメンバーに連絡する際には、送った時点で全員に連絡できたと思ってしまいがちです。チャットやメールを送信しても、相手が読んでいない場合や内容を理解していない場合もあるので、リアクションがない人には口頭で確認するなどのフォローが必要です。

報連相で気をつけたいポイント

対面orメール・チャットを報連相でどう使い分ける?

報連相は、対面で伝える場合とメールやチャットなどで伝える場合があります。どのように使い分ければよいのでしょうか。
基本的な使い分け方としては、まずは職場のルールや暗黙の了解、上司の方針を確認し、それに合わせること。だいたいは、急ぎの報告や一言、二言で伝わるような簡単な連絡は口頭で、複数・多人数への連絡はメール・チャットで行うのがよいでしょう。メールとチャットの使い分けで留意すべき点は、チャットは後から編集できてしまうので、証跡としては使えないということ。対応履歴を残したほうがいい場合はメールを使うほうが安全です。
また、数字などを含む報告や説明が長くなりそうな報告は文書にし、口頭やチャットで要点を簡潔にまとめたうえで、「詳しくは文書で報告します」と伝えます。

メール・チャットでの例文

最近はメールやチャットで報連相を行う機会が増えています。以下に、2パターンの例文とポイントを紹介します。

上司へミスを報告する場合
【クレーム対応】商品サンプル誤発送のご報告

〇〇課長
取り急ぎ、チャットでの報告失礼します。
午前中に〇〇株式会社の〇〇様から商品サンプルが届いていないとクレームがありました。
確認したところ、私が送り先を間違って登録しており、別の支社に届いていました。
私の不注意でお客様にご迷惑をおかけすることになり、誠に申し訳ありません。
〇〇様には謝罪したうえで、別途、商品サンプルを用意して発送の手配を進めています。
送り先の登録データを訂正し、今後は同様のミスがないように確認に努めます。
後ほど口頭でご報告したいのですが、この後お時間をいただくこと可能でしょうか?

上司が一目でどんな用件か把握できるように、メールの場合はシンプルでわかりやすい件名を、チャットの場合は上記の【クレーム対応】商品サンプル誤発送のご報告のように、冒頭にタイトルを記載しましょう。
ミスをチャットやメールで報告する際には、まずどんなミスをしたかを言い訳せずに正直に伝えることが大切です。その後できれば直接きちんと謝罪し、解決策や対応策を報告します。

上司へ相談の打診をする場合
【ご相談】〇〇企画について

お疲れさまです。〇〇です。
○月から始まる〇〇企画のチーム編成について悩んでいることがあります。
よろしければ相談に乗っていただきたいのですが、今週か来週中に、1時間ほどお時間をいただけないでしょうか。
お忙しいなか恐縮ですが、ご都合をお知らせいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。

上司に相談に乗ってほしいときは、上記のように、まずはメールかチャットで相談に乗ってほしいという希望とその内容を簡単に伝えて、都合のつく日時を聞くとよいでしょう。
上司は多数の業務を抱えているので、「お忙しいなか恐縮ですが」などと、相手の状況を気遣う一言を必ず添えましょう。

デキる人はやっている?報連相から「確連報」へ

最近は報連相とは別に、「確連報(かくれんぼう)」というビジネス用語を耳にすることがあります。確連報は、「確認」「連絡」「報告」から一文字ずつとった言葉です。上司の指示を受けて動くのではなく、部下が主体的に業務の進め方を提案して上司に共有し、上司がそれを確認、承認するというコミュニケーション方法を指します。
確連報は、いわば報連相の進化系であり、何年か経験を積んで、自分である程度の判断ができるようになった若手社員に適しています。すでに報連相ができる方は確連報ができているかを振り返ってみるとよいでしょう。
また、上司への報告に関する用語として他にも「ソラ・アメ・カサ」というビジネス用語もあります。
さらにレベルアップを目指したい方は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。

meetscareer.tenshoku.mynavi.jp

まとめ:報連相はビジネスの基本スキル

報連相は、新人はもちろん、社会人なら誰もが押さえておきたいビジネスの基本スキルです。報連相をうまくできるようになると、周囲とのコミュニケーションが円滑になり、上司に信頼されるようになるため、仕事を進めやすくなります。また、もしなにかトラブルが起きても報連相ができていれば、早期解決に繋がります。自分を守るためだけでなく、周囲のためにも重要なスキルと言えるでしょう。
報連相によって業務効率化や信頼関係構築が進めば、チームや組織全体の生産性の向上にもつながります。まずは報連相の重要性を理解して、現場で実践しながら、上手な報連相のコツを身につけましょう。

文・ミーツキャリア編集部