段取りで仕事の成果を上げる方法とは? 効率よく仕事を進めるための3ステップを解説

段取りで仕事の成果を上げる方法とは? 効率よく仕事を進めるための3ステップを解説


日々の業務で「時間が足りない」「もっと効率的に仕事を進めたい」と感じることはありませんか? そうしたときに身に付けたいのが、段取りの力です。

段取りの力を鍛えることは、仕事の成果や効率アップのカギとなります。しかし意外と体系的に学ぶ機会が少なく、自己流で身に付けている…… という方も少なくないでしょう。

そこで本記事では、段取りを鍛える重要性と、それを向上させるための具体的な方法をご紹介します。

ビジネスにおける段取りの重要性

仕事の成果は段取りで決まる

「段取り八分」という言葉をご存知でしょうか?これは、仕事の成功の8割が段取りで決まるという意味です。なぜ、そこまで段取りが重要なのでしょう。

段取りがもたらす具体的なメリットには、以下のものがあります。

  1. 時間効率の向上:適切な段取りにより、無駄な作業や時間を減少。
  2. ミスの減少:事前に必要なステップを整理することで、抜け漏れを防止。
  3. 品質の向上:十分な準備時間を確保することで、より高品質な成果物を生み出せる。
  4. ストレスの軽減:先の見通しが立つことで、精神的な負担を軽減できる。

さらに、段取り力を鍛えると個人の生産性向上だけでなく、チームや組織全体のパフォーマンス向上にも大きく寄与します。例えば、下記のようなメリットがあります。

  1. チームメンバーの役割が明確になり、協働がスムーズになる。
  2. プロジェクトの進捗が可視化され、問題の早期発見と対応が可能になる。

ビジネスにおける段取りの重要性

効果的な段取りの進め方とは?

段取りは、単なる「計画立て」ではありません。目標達成のためにやるべき一連のプロセスを組み立て、全体を見据えて実行することを指します。では実際にどのような流れで進めればよいのかをご紹介します。

2.1 目的と背景を明確にする

段取りよく進められるようになるための第一歩は、取り組むタスクや業務の目的を明確にすることです。「なぜこの仕事をするのか?」「どのような成果を期待されているのか?」を最初に理解することが重要です。

目的と背景を明確に理解できれば、以下のようなメリットが得られます。

  1. 優先順位を適切に判断できるようになる。
  2. 必要なリソースの見積もりが正確になる。
  3. 関係者と円滑なコミュニケーションが図れる。
  4. 予期せぬ問題に柔軟な対応が可能になる。

目的と背景を明確に理解するためには、5W1Hのフレームワークを活用することが効果的です。

  • Why(なぜ):なぜこの仕事が必要なのか?
  • What(何を):具体的に何を達成するのか?
  • Who(誰が):誰が関わり、誰にメリットがあるのか?
  • When(いつ):いつまでに完了する必要があるのか?
  • Where(どこで):どこで実施するのか?どの範囲まで影響するのか?
  • How(どのように):どのような方法で実施するのか?

このフレームワークを使用すれば、タスクの全体像を把握し、重要な要素を見逃さず理解することができます。

例えば、上司から「顧客満足度調査を実施してほしい」と依頼されたとします。この場合、以下のような質問を自分自身に投げかけ、目的を明確にしましょう。

  • Why(なぜ):なぜ今、顧客満足度調査が必要なのか?
  • What(何を):この調査で何を知りたいのか?
  • How(どのように):調査結果をどのように活用する予定か?

また、タスクの背景情報の理解も重要です。例えば、

  • 過去に同様の調査を行ったことがあるか?その結果はどうだったか?
  • 現在、顧客からどのような声が寄せられているか?

といった背景を確認することで、関係者のニーズや焦点を当てるべき領域がより明確になり、的確な判断と効率的な行動につながります。

2.2 タスクの洗い出し

次に、目標達成に必要なタスクを細分化して洗い出します。この段階では、できるだけ詳細にタスクを列挙することが重要です。

例えば、先ほどの顧客満足度調査の場合

1. 調査設計
・アンケート設計
・使用可能予算額の確認
・稟議の要不要の確認

2. 調査実施の準備
・調査ツール(発注先)の選定
・調査対象顧客リストの作成

3. 調査の実施
・アンケートの配布
・回答データの収集

4. データ分析
・データの整理と分析
・過去の調査結果との比較分析
・結果の可視化

5. 報告書作成
・分析結果のまとめ
・改善策の検討

このようにタスクを細分化することで、以下のメリットが得られます。

  1. 作業の漏れや重複を防ぐことができる。
  2. 各タスクの所要時間や難易度を把握しやすくなる。
  3. チームメンバーへの作業分担が容易になる。
  4. 進捗管理がしやすくなる。

2.3 タスクの優先順位付けとスケジュール設定

タスクの洗い出しが完了したら、次は優先順位付けと実行順序の決定を行います。すべてのタスクが同じ重要度ではありません。限られた時間とリソースを最適に活用するためには、適切な優先順位付けが不可欠です。

タスクの優先順位付けには、「重要度×緊急度マトリクス」(アイゼンハワーのマトリクス)が有効です。

アイゼンハワーのマトリクス

  • 第1領域(重要かつ緊急):即座に取り組むべき
  • 第2領域(重要だが緊急ではない):計画的に取り組むべき
  • 第3領域(重要ではないが緊急):できれば他者に委託
  • 第4領域(重要でも緊急でもない):後回しにする、または不要なら削除

顧客満足度調査の例で考えると、以下のように分けることができます。

  • 第1領域(重要かつ緊急):調査項目の検討
  • 第2領域(重要だが緊急ではない):分析手法の検討、改善策の検討
  • 第3領域(重要ではないが緊急):調査ツールの選定
  • 第4領域(重要でも緊急でもない):共有方法の検討

次に、タスク間の依存関係を考慮して実行順序を決定します。例えば、

  1. 調査項目の検討はアンケート配布の前に完了していなければならない
  2. データの整理と分析はすべての回答が集まってから開始する
  3. 報告書作成は分析結果が出てからでないと始められない

このように優先順位と順序を決定することで、下記のメリットが得られます。

  1. 重要なタスクに十分な時間とリソースを割り当てられる。
  2. 締切に余裕を持って対応できる。
  3. タスク間の無駄な待ち時間を最小限に抑えられる。
  4. 予期せぬ問題が発生した際も、柔軟に対応できる。

効果的な段取りの進め方とは?

ビジネスシーン別:段取りの効果的な組み方

3.1 営業支援ツール(SFA)を顧客に提案する場合

営業支援ツールの提案では、顧客の業務課題を深く理解し、具体的な解決策を提示することが重要です。一例として、以下のような段取りが組めます。

目的と背景の確認

初回ヒアリングを基に営業部門の課題(例:顧客情報の分断、商談進捗の見える化不足)を特定。営業支援ツール導入の真の目的を明確にします。

必要なタスクの洗い出し

  • 事前準備と顧客ヒアリング
  • 類似業界での導入事例等の情報収集
  • 顧客の自社製品の課題の特定
  • 社内レビューと最終調整
  • 提案書とプレゼン資料の作成

タスクの優先順位付け

重要度と所要時間を考慮し、「顧客の営業プロセス図の作成」と「自社製品の機能と顧客課題のマッピング」を最優先タスクとして設定します。

  • 第1領域(重要かつ緊急):事前準備と顧客ヒアリング
  • 第2領域(重要だが緊急ではない):類似業界での導入事例等の情報収集
  • 第3領域(重要ではないが緊急):提案書とプレゼン資料の作成
  • 第4領域(重要でも緊急でもない):社内レビューと最終調整

この重要度と緊急度に基づき、計画的に提案活動を進めていきます。顧客との信頼関係構築を意識しながら、ビジネスにおける成果向上への貢献を具体的に示していきます。

3.2 営業業務の効率化プロジェクトの場合

営業業務の効率化プロジェクトでは、現状の詳細な分析に基づいて問題点を特定し、持続可能な改善を実現することを目指します。

目的と背景の確認

経営陣へのヒアリングを通じて、「1人当たりの営業利益を20%向上させる」という具体的な目標を設定するとします。そして現在の営業プロセスの課題と、効率化が必要となった背景を明確にします。

必要なタスクの洗い出し

  • 営業活動の時間分析調査の実施
  • 現状分析と課題の特定
  • トップセールス担当者の行動分析
  • 非効率な業務プロセスの特定と改善案の策定
  • 新たな営業支援ツールの選定と導入
  • 効果測定と次期計画の策定

タスクの優先順位付け

課題を解決するために「営業活動の時間分析調査」と「現状分析と課題の特定」を最優先タスクとして設定し、その結果に基づいて他のタスクの優先順位を決定します。

  • 第1領域(重要かつ緊急):現状分析と課題の特定
  • 第2領域(重要だが緊急ではない):新たな営業支援ツールの選定と導入
  • 第3領域(重要ではないが緊急):非効率な業務プロセスの特定と改善案の策定
  • 第4領域(重要でも緊急でもない):効果測定と次期計画の策定

これらの例を参考に、自身の業務における段取りの組み方を見直してみてください。具体的なタスクを明確にし、優先順位をつけて計画的に実行することで、より効果的な業務遂行が可能になるでしょう。

ビジネスシーン別:段取りの効果的な組み方

段取りの力を鍛えるために意識したい2つのポイント

4.1 作業時間の見積もり能力を高める

作業時間の正確な見積もりは、段取りを鍛えるための基礎となる重要なスキルの1つです。時間の見積もりを正確にするには、以下の点に注意しながら継続的に改善を重ねるようにしましょう。

1. 作業にかかった時間や日数を記録する。

  • タスク管理ツールやアプリを活用して作業ログを記録する。
  • 細かなタスクも漏らさず記録する。

2. 適切なバッファ(時間の余裕)を設定する。

  • タスクの複雑さやリスク要因を考慮したスケジュールを立てる。

3. 継続的な改善を行う。

  • 見積もりと実際の所要時間を常に比較する。
  • 予定と違う結果となった原因を分析し、次回の見積もりに生かす。

これらを意識することで、日々の業務の中で時間見積もりの精度を高めていきます。最初は見積もりから大きく外れることもあるかもしれません。それでも継続的な実践と改善を繰り替えずことで、見積もりの精度が徐々に向上していくでしょう。

4.2 マニュアル化を進める

段取りを効率的に行うためには、繰り返し行う作業や手順をマニュアル化することが有効です。マニュアル化には以下のようなメリットがあります。

1. 作業の標準化

  • 品質の安定につながる。
  • 効率的な業務の進行が可能になる。

2. 知識の共有

  • チーム内での情報共有が促進される。
  • 新人教育を効率化できる。

3. 改善点の可視化

  • 非効率な部分を容易に特定できる。
  • 継続的な業務改善の基礎になる。

マニュアル化を進めることで、日々の業務の効率化だけでなく、長期的な視点での業務改善にもつながります。また、自分以外の人でも同じ作業を行えるようになるため、従業員が休暇を取りやすくなったり、急な欠勤が出たりした時のバックアップ体制構築にも役立ちます。

段取りの力を鍛えるために意識したい2つのポイント

段取りが良いと自身の市場価値向上につながる2つの理由

段取りの良さは、どの仕事においても必要とされるスキルの1つです。このスキルを磨くことで、個人の市場価値を向上させ、キャリアの可能性を広げることができます。
具体的には2つの理由で、市場価値向上につながると考えられます。

5.1生産性の高さ

段取りが良い人は、まず個人の生産性の高さとして評価されます。
限られた時間で最大の成果を上げる能力は、あらゆる職場で求められます。効率的なタスク管理や優先順位付けができる人材は、複数の業務を同時にこなし、時間あたりの付加価値を高めることができます。

5.2プロジェクトマネジメントスキルの高さ

段取りの良さは、プロジェクトマネジメントを進める時にも重要です。
組織が大きな成果を出すためには、複雑な状況を整理し、計画を立てて実行する力が求められます。段取りが良い人は、複雑なプロジェクトや重要な案件を成功に導くことができます。その結果、個人の市場価値を大きく高めることにつながります。

このように段取りの良さが必要とされるシーンは特定の業務に限定されません。個々のパフォーマンスや組織全体への貢献が認められれば、リーダーポジションや管理職へのキャリアアップも見込めます。また、キャリアチェンジや転職の際にも大きな強みとなるでしょう。

まとめ

段取りの重要性や具体的な方法について解説しました。段取り力を鍛えることは、日々の意識的な実践と継続的な改善が大事です。段取りが良いことで、単に業務効率を上げるだけでなく、自身の市場価値を高め、キャリアの可能性を大きく広げられるきっかけにもなります。しかし、どんなに段取りを組んでもそれどおりにいくとは限りません。だからこそ、関係者と密にコミュニケーションをとり、起こりうるトラブルを一緒に洗い出し、臨機応変に対処できるようにしておくことも大切です。ここまで解説した内容をぜひ毎日の仕事の中で取り入れてみてください。


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