「やりたいことは全部やる」という選択(前編) | 菊間千乃×工藤阿須加

菊間千乃×工藤阿須加(前編)

誰かが何かを始めるきっかけになりたくて

菊間:初めまして、ですよね! 私、お父さま(野球解説者の工藤公康さん)とはお会いしていますが。

工藤:初めましてです! 早速ですが、菊間さんは弁護士をされる前、フジテレビのアナウンサーだったんですよね。

菊間:はい。小学生の頃からの夢で、念願かなって新卒入社し、12年ほど勤めました。工藤さんはいつから俳優を?

工藤:大学生からです。誰かのきっかけになれるような人になりたいと、高1までプロのテニス選手を目指していたのですが、けがをしてしまい断念しました。でも、少しでも誰かを元気にしたり、何かを始めるきっかけを作れたりできればいいなとずっと考えていて、役者を志しました。

菊間:私も動機がまったく一緒! 入社試験で言ったんです。「誰かの人生を変えるなんて大それたことはできないと思いますが、動き出すきっかけになるような番組を作りたいです」と。

菊間千乃さん

工藤:そう思ったのはなぜですか?

菊間:白血病の同い年の女性が、骨髄バンクへの登録を呼びかけている番組を見たんです。衝撃を受けて翌日ドナー登録しましたが、自分のその行動にも驚き、伝え方次第で人を動かすきっかけを作れるマスメディアの世界で働きたいと強く思いました。

工藤:僕が誰かのためにと思うのは、壁にぶつかる度にさまざまな人が手を差し伸べてくれたからです。

菊間:そうでしたか。では自身の人格形成のベースは何だったと思いますか?

工藤:家族です。両親は厳しいですが、やはり今もそばで支えてくれます。

菊間:私は幼い頃に見た「巨人の星」「エースをねらえ!」などのスポコンアニメ。主人公に憧れて運動会の前に自主練して本番のリレーで優勝したこともあります。そうした成功体験の積み重ねで先を見据える力も身に付いた気がします。

工藤:それで言うと僕は「ドラゴンボール」ですね。主人公から、本当にやりたいことはやるべきだということを教えてもらいました。

菊間:ちなみに私はつらい時、これは攻略すべき壮大なロールプレイングゲームなんだと自分を俯瞰(ふかん)して見て面白がる。自然と前を向けるようになれます。

工藤阿須加さん

10年後を見据えて自分の「武器」を準備

工藤:菊間さんの前職であるアナウンサーという仕事も楽しかったんですか?

菊間:はい、想像の10倍以上楽しかったです。ただ、入社した時から10年後には司法試験に挑戦すると決めていました。というのも、当時の女性アナウンサーは20代でフリーになるか結婚して引退するかというような方ばかり。30歳を過ぎて活躍するには自分だけの「武器」が必要だと考えたんです。司法試験を選んだのは、私が法学部出身で周りに受験する人が多かったから。とはいえ当時は弁護士になろうとまでは考えていませんでした。

工藤:すごい。僕はそこまで先のことを考えるのは苦手です。でも、何かを始める時はなるべく3年後ぐらいは想像するようにしています。どちらかと言うと「今」の気持ちで決めるタイプですね。

菊間:ちょっと先の将来のために自分なりの武器をそろえておくと意外なところで使えたりするんですよ。もちろん私にも流されて生きている部分があり、すべてが思い描いたようになっているわけではありません。ただ、目標と願望は違うと思うんです。願うだけではかなわないけれど、目標は自ら勝ち取るものだから、私は10年後のゴールを明確にイメージして、そのために今何をすべきか、短期・中期の目標も走らせながらそこに向かって頑張ってきた感じです。「今」で判断して進んでいける工藤さんはすごいですね。

菊間千乃さん

工藤:そんなことはないです。「もう少し早く言ってよ」と周りに言われることも多いです(苦笑)。最近は少し先のほうにゴールを思い描いて、スケッチブックに具体的に自分がすべきことを書き出すようにしています。

菊間:素晴らしいですね。私、昨日より今日、今日より明日と1cmでもいいから成長していたい。だから何も決めずにやみくもに行動するのではなく、ゴールを見定めて進み出すようにしています。それによって何が足りないかが見えて、自分を少し成長させられる気がするので。仮に工藤さんと同じゴールを目指している人がいても、到達の仕方は違うはず。だから自分だけのやり方を考えて行動に移す。それがオンリーワンの人生を歩むことにつながるような気がします。

工藤:確かに。決めたゴールに自分らしく突き進みたいですね。

菊間千乃さん×工藤阿須加さん

菊間千乃……スタイリスト:森下嘉子
工藤阿須加……スタイリスト:伊藤省吾(sitor)、ヘアメイク:ShinYa

<後編はこちらから!>
meetscareer.tenshoku.mynavi.jp

リーダーが語る、アシタを開く言葉

菊間さん
「自分がされて嫌なことは、人にしてはいけません」
先日、私が小学3年生の時に書いた作文を読んだのですが、「自分がされて嫌なことは、人にしてはいけません」と書いてありました。実は今でも私の中で大切にしていることだったので驚きました。

工藤さん
「継続は力なり。長くやり続けることで見える世界がある」
よく「継続は力なり」と言いますが、まさにそのとおりだなと感じています。継続するからこそ見えてくる世界ってある。知らないことを知るためには、やはり長くやることが一番かなと思います。

Profile

菊間千乃/弁護士。1972年東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業。95年にアナウンサーとしてフジテレビへ入社。バラエティーや情報、スポーツなどの番組を担当し、2007年に退社。10年司法試験合格。12年から弁護士法人松尾綜合法律事務所に所属。コーセーやタキヒヨーなど4社の社外取締役。テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」の火曜コメンテーターを務める。

工藤阿須加/俳優。1991年埼玉県生まれ。高校卒業後、東京農業大学へ進学。2012年にドラマ「理想の息子」で俳優デビュー。以後、NHK大河ドラマ「八重の桜」、映画『ちょっと今から仕事やめてくる』など多くのドラマ、映画に出演。21年から山梨県北杜市の農場で農業を開始。BS朝日「工藤阿須加が行く 農業始めちゃいました」(水曜夜10時)で国内の新規就農者の元を訪ね、その喜びや苦労を取材している。

転載元:https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/kibou/021_1/