「転職で年収アップ」を目指す時に必要な2つの視点と注意すべき落とし穴

転職で年収アップを目指す時に必要な視点


どうせ働くなら、より高い賃金をもらいたいと思うのは当然のこと。とはいえ、「30代になったのに年収500万に手が届かない」「こんなに頑張っているのに、周りの人に比べて年収が低い」など、思うように年収が上がらないという人もいるのでは? 

そこで、今回はデータを基に「年収アップのヒント」を探ります。年収アップに効果的なアクションや、年収アップを目指して転職する際に注意すべきことなど、一緒に考えてみましょう。

今の年収に満足している人は約3割に留まる。600万円が1つのライン?

マイナビ転職の「正社員の賃金不満と副業など年収アップの意識調査」によると、正社員で年収に満足していると答えた人は約3割。
現在の年収を聞くと中央値は400万円。理想額は550万円で、150万円の差がある結果になりました。
年収に満足している人は3割未満に留まる
年収の理想と現実額のギャップ
世代別の年収と中央値
世代別の中央値は、20代は330万円、30代・40代は400万円、50代は460万円。世代が上がるほど年収も上がってはいきますが、「50代になっても思ったほど高くない」と思った方も多いのではないでしょうか。
ちなみに、「今の年収に満足している」という回答が「不満」を上回り逆転したのは年収600万円からでした。上を見ればキリがありませんが、「年収600万円」は1つのラインなのかもしれません。
年収600万円を境に満足が上がる

年収に影響する要素って?

では、年収を上げるためにはどんなアクションが効果的なのでしょうか。年収や仕事の報酬は、仕事内容、働く曜日や時間帯、業種、役職、本人の経験、スキルなど、さまざまな要因によって決まります。同調査によると、「年収を上げるために必要なもの」として最も回答を集めたのは「会社全体の給与水準」。2位は「スキル」、以下「会社の業績」「業界全体の給与水準」「勤続年数」と続きます。
年収を上げるために必要だと思うもの

年収アップを目指すならスキルアップと●●選びが大事?

ここで着目すべきは、5位以内に入った項目のうち3つが「会社全体の給与水準」「会社の業績」「業界全体の給与水準」と、個人に起因するものではなく「どこに身を置くか」であったこと。

年収アップというと「スキルアップ」「リスキリング」など個人の努力の影響が大きいイメージがあるかもしれませんが、この結果を見ると「給与水準のいい会社に勤める」「業績の好調な会社に勤める」「給与水準の高い業界に身を置く」、つまり就職先を給与観点で見直すことも年収アップに欠かせない視点であることが分かります。

特に業種については、マイナビ転職の「モデル年収例」を業種別に集計した「業種別モデル年収平均ランキング」を見ると、1位の「外資系金融」は1,683万円に対し、101位の「通信販売・ネット販売」は439万円と大きな開きがあることが分かります。

もちろん、同じ業界のなかでも顧客ターゲットや主力商品、企業規模などによって給与水準はさまざまで、さらに個人の経験や役職などで差があります。とはいえ、今の年収が低いと感じている方や新しい仕事にチャレンジしてみたいと思っている方は、「給与水準の高い業種」をチェックしてみるのも1つの方法かもしれません。

また、人手不足のこのご時世、「給与の高さ」をアピールして優秀な人材を集めたい会社は少なくありません。「新卒の初任給30万円」を打ち出した大手メーカーをはじめ、賃上げを発表した企業の話題を耳にすることもしばしば。「以前は年収が低いイメージだった」という会社も、改めてチェックしていくと待遇改善されているケースもありそうです。

年収アップ目的の転職で見落としがちなこと

同調査のなかでは「年収アップに効果がありそうなこと」の項目でも3位(20代では1位)に転職が入っていました。
年収を上げるために効果的な手段
実際、年収を理由に転職を考える人は少なくありません。ただし、年収目的で転職する際も「目先の年収アップ」に囚われすぎないことが重要です。

たとえば、いくら年収が高くても「転職後、仕事が合わなくて続けられずに退職」してしまっては本末転倒。一般的に年収が高い仕事は、高いスキルやパフォーマンスを求められたり、肉体的・精神的負荷が大きくなったりする傾向があります。

高額のインセンティブが望める営業は数字に追われるプレッシャーがつきものですし、シフト制のサービス業やドライバーなどは「今は稼ぎたいから夜勤をがんがん入れる」という働き方ができるメリットの一方、夜勤の働き方は身体がついていかないという人も。

年収アップを目指して新たな仕事にチャレンジする場合、仕事の質が極端に変わる場合も少なくありません。求人の仕事内容をよく読み、先輩社員の話を参考にして「その企業に入ったら自分がどんな業務を行い、どんな毎日を過ごすのか」を具体的にイメージし、やっていけそうかをよくよく考えて転職することが大切です。

「年収ダウンするはずではなかったのに」はなぜ起こる?

転職して必ずしも年収が上がるわけではありません。求人情報の給与をきちんと見ていたつもりだったのに、意外な点を見落として年収が下がってしまったというケースもよく耳にします。

代表的な例で言うと、「求人情報に書かれている月給は今の会社より良いが、今もらっている時間外手当を入れて年換算すると今より低い」「前の会社の賞与は年2回、だいたい給与2カ月分だったのに、今の会社は年1回で額も少ない」「今の会社は給与は低いが住宅手当がついている分収入が多い」というケース。基本給以外の手当や賞与の有無、支給額の目安、支給条件まで見ておくことが大切です。

また、長期的に見ると転職しないほうが生涯年収が高い場合もあります。「現時点での基本給は転職先のほうが高いが、昇進しても昇給制度や管理職手当がほぼない。一方、今の仕事を続けていれば、近々管理職に上がれそう」というパターンや、「給料は低いが、今は我慢してXXのスキルを身に付けておけば次の転職で高度なスキルの仕事に挑戦できそう」「条件は良いが、役職定年が早いから50代で年収がガクンと落ちそう」など。

そもそも「5年以内に結婚・子育てなどライフステージが変わる可能性を考えると、年収よりも休みの取りやすさを重視しておいたほうがいいのではないか」など、求人情報の年収額面より考慮すべき条件がある場合もあります。

転職先を決める時は「転職先に求める条件のなかで、年収の重要度はどのくらいか」という優先順位や、「今+50万円の年収450万円をクリアできればOK」などの具体的な目標ラインを設定して転職活動を進めていくと、より手堅く、年収アップにつなげていけるでしょう。

年収アップを目指して転職する場合も、目先の額面に囚われすぎずに

年収は毎日の生活に大きくかかわるだけでなく、自身の仕事のモチベーションアップにもつながります。とはいえ、仕事選びで大切な要素は年収だけではありません。やりがいを感じられるか、やりたい仕事内容か、長く働き続けられそうかなど、仕事で重視するものは人によりさまざま。

自分にとって「いい仕事」とはどんな仕事なのか改めて考え、総合的に見て「いい仕事」が見つかった場合は転職を考えてみるのもいいでしょう。

文:本城奈々子


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