「学びたい。でも時間がない!」忙しい会社員のための“業務内リスキリング”実践術

「学びたい。でも時間がない!」忙しい会社員のための“業務内リスキリング”実践術

本当はスキルアップしたい。リスキリングにも挑戦したい。
でも実際は、仕事が忙しすぎて業務時間外に学ぶ余裕なんてないし、社内制度を使おうにも言い出しにくい……。マイナビ転職が行った「リスキリングに対する意識調査」では、そんな声が多く集まりました。

「必要性は感じてるのに、現実的に動きにくい」という点が、リスキリングに関心を持つ方に立ちはだかる大きな壁のようです。

[リスキリングのハードル]

「時間の確保が難しい」と回答した方が約半数。マイナビ転職『リスキリングに対する意識調査』

[休暇を伴うリスキリングに対する職場の反応予想]

「言い出せる雰囲気ではに」と回答した方が半分以上。マイナビ転職『リスキリングに対する意識調査』


忙しさ、職場の空気、周囲への気遣い……。こうした現実と向き合う中で、“もっと学びたい”という前向きな気持ちとは裏腹に、行動にブレーキがかかってしまうというのは、無理もないことです。

とはいえ、今の働き方だけを軸にキャリアを考えると、不安がよぎるという人も少なくないと思います。

そこで今回は、多くの方が抱える「忙しくて動けない」という現実を前提にしながら、業務の中で無理なくリスキリングにつなげる“現実的なアプローチ”について、キャリアコンサルタントの林碧先生にお話を伺いました。

キャリア・コンサルタント

林 碧(はやし みどり)
株式会社キャリアイズ 代表取締役社長、国家資格キャリアコンサルタント・キャリアコンサルティング技能士2級、両立支援コーディネーター。 企業人事経験および個別相談対応経験を活かし就職・転職の相談からライフキャリアビジョン構築、育児・傷病など個別事情との両立まで、幅広い相談に対応。通算4000件以上の個別面談実績、年100件以上の研修登壇実績を保有。特に若年層のキャリア形成支援を得意とし、大学での登壇実績が豊富である他、企業向けの育成者研修や若手定着支援、人材コンサルティングも実施。日経Xwomanアンバサダー。小学生2児の母。

会社員が日々の仕事の中でスキルアップを進めるための現実的な考え方

「スキルアップしたい」「将来のためにリスキリングが必要だと思う」

そう感じてはいるものの、なかなか行動に移せない。キャリア相談の現場では、そんな声を多く耳にします。

話を聞いていくと、理由として挙がるのは
「業務が忙しくて時間が取れない」
「業務外で勉強する余力がない」といったものです。

実際、子どもがいる、介護家族がいる、終業時間が遅いなど、リスキリングの価値は理解しつつも、現実的に取り組めず諦めている方は少なくありません。また、日々の業務が立て込む中で、リスキリングのために休暇を取ること自体が難しいと感じている方も多いようです。

マイナビ転職が実施した『リスキリングに対する意識調査』では、「会社に言い出せる雰囲気ではない」と回答した人が53.1%、「内心よく思われなさそう」と感じている人が20.8%にのぼり、7割以上が“休暇を利用したリスキリングはハードルが高い”と感じていることが示されています。

こうした声からも分かるように、多くの人が「必要性は理解しているが、現実的に動けない」というジレンマを抱えています。ただ、だからといって「諦めるしかない」と結論づけてしまうのは、少し早いかもしれません。

研修を受ける、資格の勉強をする、業務時間外に学習する。そうしたイメージが強いリスキリングですが、スキルアップは、必ずしも業務外で行うものとは限りません。

工夫次第で、特別な制度や大きな学習時間を確保しなくても、日々の業務の中でスキルを積み重ね、業務領域を広げていくことは十分に可能です。

実際、リスキリングを実現している人の中には、日常業務の中での小さな工夫を積み重ねることで「やりたい仕事」に近づいたり、その成果を通じて周囲の理解を得ているケースも多くあります。

本記事では、そうした「業務内リスキリング」という考え方と、現実的な実践方法について整理していきます。

「余裕ができたらやろう」は、ほとんど実現しない

リスキリングに踏み出せない理由としてよく聞かれるのが、「今は忙しいから」「落ち着いたら考えたい」という言葉です。

ただ、実際には業務の余裕が自然に生まれることは多くありません。仕事は常に何かしら発生し、「今は時期が悪い」と感じる状態が続きがちです。

ここで一度、リスキリングの捉え方を少しゆるめてみましょう。業務内でのリスキリングとは、業務時間を使って勉強することや、仕事を止めて学習することだけを指すわけではありません。業務を進めながら、やり方や関わり方を少し変えていくこと。その積み重ねも、立派なリスキリングです。

時間を新たに捻出するのではなく、「今ある業務の中に、学びを仕込めないか」と考えることで、現実的な選択肢が見えてきます。

まず考えたい「身につけたいスキル」とその目的

「スキルアップしたい」という言葉は便利ですが、少し抽象的でもあります。業務内でのリスキリングを考える際には、次の2点を整理しておきましょう。

・どんなスキルを身につけたいのか
・それは、何のためなのか

目的によって、取るべき最初の一歩は変わってきます。

リスキリングに意識が向く理由も人それぞれです。

「このままだと時代に取り残されるかもしれない」
「学ぶことが求められていると感じ、焦りがある」

そうした漠然とした思いを抱えている方も増えています。

ここで意識したいのは、新しいスキルは、必ずしもゼロから学び直す必要はないという点です。リスキリングは義務ではなく、あくまで選択肢のひとつ。

これまでの業務経験を

・別の文脈で使い直す
・少し深めたり、広げたりする

それだけで、新しいスキルとして評価される場合もあります。

スキルアップを「何かを新しく足すこと」ではなく、経験を再編集し、使い方の幅を広げることとして捉えると、今の業務との接続点が見つけやすくなります。

一方で、気になる仕事や領域があり、そこに向けて新しいスキルを身につけたいと考えるケースもあるでしょう。少し先の自分を見据えて、挑戦したいという気持ちを大切にすることも重要です。

ただし、そのスキルを業務内で身につけていくためには、周囲から見て「あなたがそれを担う価値」を伝えることが欠かせません。

そのためにも、今の自分を正しく捉え、現在の業務との接続を考えていく視点が求められます。

周囲にも成長を示しやすい、業務直結のスキル獲得

業務内で最も取り組みやすいのは、今の仕事と直結、もしくは派生するスキルです。

例えば、

・資料作成を効率化・高度化するためのAI活用スキル
・業務効率化やデータ検証につながるOfficeスキル(Excel等)
・現職で取り組んでいる業務に関する最新スキルや技術の習得

こうした取り組みは、業務の質やスピードを高めることにつながりやすく、「業務内で取り組む価値」を周囲に示しやすい特徴があります。

成果の恩恵をチームにもたらしやすいため、前向きな業務改善として受け止められやすい点も魅力です。

ここで重要なのは、大きく始めようとしないこと。短時間でできること、小さく試せることから始めることで、失敗した際の影響を抑えつつ、経験を積み重ねることができます。

・資料の一部作成にAIを試しに使ってみる
・普段の業務を、より効率よく進める方法を検討し試してみる

など、まずは自分の裁量で行える範囲から検討してみましょう。

また、闇雲に手を広げるのではなく、まずは成果につながりやすい業務の一部から取り組むことが、周囲の理解を得るうえで重要です。こうした積み重ねによって、業務スキルを高めていくことが十分可能になります。

その成果が評価されれば、業務時間内での研修受講を相談しやすくなったり、新しい役割を任されたりなど、キャリアにとって有益な機会につながる可能性もあります。

未経験スキルに挑戦したいときに意識したい視点

今の業務とは異なるスキルを身につけたいと考える人もいるでしょう。未経験スキルに触れる方法として、自ら希望して行う部署異動や転職を思い浮かべる方も多いかもしれません。

ただ、上司や人事の立場から見ると、「やりたい」という気持ちだけではアサインの判断が難しいのも事実です。

未経験領域への挑戦を実現するために重要なのは、「未経験分野にあなたをアサインする意義」を周囲に示せるかどうかです。

仮に未経験であっても、これまでの業務で培ってきたスキルや経験が、その分野で活かせると期待できれば、前向きに検討してもらえる可能性は高まります。

・これまでの経験の何が活かせるのか
・どんな形でなら役に立てるのか

自分が現職の中で身につけてきた強みを言語化し、興味分野との架け橋になり得る部分を磨いていくことが重要です。「特に得意なものはない」と感じている方こそ、まずは今の自分の強みを整理することから始めてみてください。

また、現職の業務を続けながら、部門横断のプロジェクトや他部署との協力業務に関わることで、少しずつ知識やスキルを獲得していく方法もあります。

部分的にでも、希望する仕事に関わる人との接点を持つことが、「あなたをアサインする理由」になる場合もあります。求められているのは、スキルそのものよりも、どう関わり、どう貢献するかであることも少なくありません。

まずは役に立てる領域で貢献しながら、周囲から学ぶ姿勢が、次の機会につながっていきます。

業務内リスキリングを支えるのは周囲とのコミュニケーション

業務内でのスキルアップを実現するためには、周囲との丁寧なコミュニケーションが欠かせません。意図や期待値が共有されていないと、「業務に集中してほしい」と誤解されてしまうこともあります。

大切なのは、自分の成長だけでなく、周囲にとってどんなプラスがあるのかを意識することです。それを身につけることで、業務がどう良くなるのか、上司やチームにどんなメリットがあるのかを、相手の視点で伝えていく必要があります。

上司や組織は、まず「今の業務が回るか」を見ています。その前提を踏まえたうえで、実現可能性を感じさせる業務姿勢を日頃から積み重ねていくことも重要です。

業務内リスキリングで一歩踏み出そう

忙しい毎日の中で、「本当はスキルアップしたい」「学ばなければいけない気がする」そんな思いを抱えながら立ち止まってしまうのは、自然なことです。

リスキリングは、必ずしも仕事を止めて学ぶことや、業務外の時間を削って行うことだけを指すものではありません。今の仕事の中でやり方を少し工夫してみること、役割の持ち方を少し広げてみることも、立派な一歩です。

すぐに大きな変化を起こす必要はありません。まずは「今の業務の中で、何が学べるだろう」と考えてみる。その視点を持つこと自体が、キャリアを前に進める行動です。

工夫しても難しいと感じる場合、環境を見直すこともひとつの選択です。それは努力不足ではなく、自分の状況に合わせた戦略と言えるでしょう。

忙しい中でも、自分のキャリアを大切にしたい。そんな気持ちを持っているあなたなら、きっと今の仕事の中にも、次につながるヒントを見つけられるはずです。



「リスキリング」と言っても、どんなスキルを磨けば良いのかな?
迷ったときは、まず“自分を知る”ことから始めてみませんか。

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