コミュ力を高めることが“シゴデキ”になる近道!要素・手段別の鍛え方


多様な働き方やコミュニケーションツールが普及している現代、仕事をスムーズに進めるうえで「コミュ力(コミュニケーション力)」がますます重要なスキルになってきています。

コミュニケーションに苦手意識を持つ人は少なくないと思いますが、残念ながら、周囲と一切関わらずに仕事をすることはできません。そして、ビジネスシーンにおけるコミュ力には鍛え方やコツがあり、取り組み次第では「コミュ障」から脱却できる可能性も。

この記事では、コミュ力を鍛えるメリットや、よく使われるコミュニケーションツール別のコミュ力の鍛え方などを解説します。コミュ力不足を感じている人は、ぜひ参考にしてください。

ビジネスシーンにおける「コミュ力」の定義とは

「コミュ力」と聞くと「おしゃべりの上手さ」「その場を盛り上げられる力」を想像するかもしれません。しかしビジネスシーンで求められる「コミュ力」は、そうしたものとは大きく異なります。

コミュ力とは多くの人と信頼関係を築くスキルのこと

ビジネスシーンにおける「コミュ力」とは、どんな相手とも信頼関係を築くための力を指します。

そもそも「コミュニケーション」とは「言葉などを用いて情報や自分の意思、感情などを伝え合うこと」です。つまりコミュ力とは、相手に自分の考えや気持ちなどをスムーズに伝えられる力、そして同じく相手の発信を受け止める力だと言えます。

コミュ力はビジネスシーンでも重要で、ビジネスシーンで行われるコミュニケーションを「ビジネスコミュニケーション」と言います。これは相手と合意や相互理解を形成するために行い、相手と仲良くなる目的のものではありません。

仕事を進めるために必要な情報を過不足なく伝え、相手の話を齟齬なく聞くことができれば、社交的でなくても相手との信頼関係構築は十分可能です。おしゃべりが苦手だからといって、「ビジネスコミュニケーションにも不適」と諦めなくても良いのです。

ビジネスコミュ力は大きく3つの要素から構成される

ビジネスシーンにおけるコミュ力は、以下の3つの力で構成されます。

  • 聞く力(傾聴力)
  • 質問力(自分から質問するといった行動を能動的に起こせる力)
  • 伝達力(意見や依頼を伝える力)

ただし、どれか1つを極めれば良いわけではありません。「伝える力」がどんなにあっても、「聞く力」がなく相手の話に耳を傾けない人とは、仕事を進めていくのは難しいものです。コミュ力がないと感じる場合は、3つの要素のどれが苦手なのかを考え、バランスが良くなるように鍛えることが重要です。

コミュ力を鍛えるメリット

コミュ力を鍛えることで、以下のメリットが期待できます。

情報共有や「報連相」がスムーズにできる

ビジネスを円滑に進めるためには、周囲との意思疎通が必須です。情報共有や報告・連絡・相談などをスムーズにできるかが、仕事の質や成果を左右すると言っても過言ではありません。

また、日々のやり取りが円滑にできれば、苦手な人・ことへのストレスも減らせます。例えば、苦手な人にどうしても連絡しなければならないとき、一回で正確な連絡ができれば、その人と関わる回数は自然と減らせます。また、電話応対のコツを知っておけば、電話を取る・かけることにハラハラしなくて済むでしょう。

このように、コミュ力を鍛えることは、自分が抱える「苦手」への対処法を知ってストレスを軽減するための手段でもあるのです。

周りからの信頼が高まりより大きな仕事にトライできる

意外かもしれませんが、普段のコミュニケーションが問題なくできていれば、自然と周囲に信頼されるものです。その結果、周囲に協力を仰ぎやすくなり、あなた一人で仕事をするときよりも良い成果が出せるかもしれません。さらにその成果が評価され、スケールの大きい仕事を任されることもあるでしょう。

周囲を頼りながら目標達成に努める力は、管理職や責任者のポジションにも必須。やりがいのある仕事に挑戦したい人にとっても、コミュ力アップは不可欠です。

情報が入ってきやすくなり、行動しやすくなる

コミュ力を鍛えることは、「聞き上手」ひいては「情報が集まってくる『相談役』」になることにもつながります。その結果、以下のようなことが起こるかもしれません。

  • 上司や部下・同僚から相談され、課題を早期発見できる
  • 他部署の人との雑談で、部署間の動向がキャッチできる
  • 会話で不明点があったときに自然と深掘りができる

一つひとつは些細なやり取りであっても、積み重なれば多くの情報となります。イチ早くニーズを掴んで動き出せたり、得た情報を自分や周囲の業務に生かして負担を減らしたり、仕事をするうえで大きなメリットになり得ます。「先回りの行動ができる人」は、あらゆる職場で重宝されます。

バランス良く伸ばそう!要素別のコミュ力の鍛え方

「聞く力」「質問力」「伝達力」は、それぞれに効果的な鍛え方があります。どれかが足りないと感じている場合は、さっそく今日から実施してみましょう。

聞く力|まずは最後まで相手の話を聞く

「聞く力」を伸ばしたい人は、まず相手の話を最後まで聞くことを意識してみてください。途中で口を挟んだり相手を否定したりせず、話が終わるのを一旦待ちましょう。

話の核心や結論になかなか至らず、最後まで待ちきれない人もいるかもしれません。しかし、一度遮ってしまうと、相手はますます話しづらくなります。最後まで上手く話せない人は、緊張していたり、話すことに自信がなかったりして、普段以上に言葉が出てこなくなっている可能性も大いに考えられます。

その場合には、適度に相槌を打ったりうなずいたりして、話しやすい雰囲気をつくることから始めてください。口角を上げて、にこやかな表情を意識して話を聞くのもおすすめです。

質問力|内容と尋ね方を意識する

質問力がない人に多いのが、「分からないことが分からない状態」に陥っていること。何をどう聞いて良いか分からないために、誰かが声を掛けてくれるのを待ってしまう人もいるかもしれません。

質問力を鍛えるには、まずは見聞きした情報を自分なりに整理しましょう。その場ですぐ聞くべきことが分からないときは、一旦「一度自分で整理して、後ほど疑問点を質問してもよろしいでしょうか」と伝えておき、場を改めて質問するところから始めるのもおすすめです。

口頭で質問するハードルが高い場合は、「質問ゼロよりマシ」と割り切って「先ほどはお話ありがとうございました」のお礼をかねてメールやチャットなどテキストコミュニケーションの手段を使うのも有効です。ただし、質問する前に一度、自分で調べることはしておきましょう。少し調べれば分かる質問をするのは、失礼に当たる場合があります。

慣れてきたらシーンに応じて質問の仕方も工夫すると、より知りたいことにたどり着きやすくなります。質問の仕方は、大きく以下の2種類に分けられます。

質問の種類 概要 使えるシーン
オープンクエスチョン 相手が自由に答えられる質問

  • 相手の考え・意見を聞きたいとき
  • たくさんの情報を引き出したいとき
クローズドクエスチョン YES/NOや選択肢で答える質問

  • 相手に決断を促したいとき
  • 素早く回答が欲しいとき

伝達力|誰にでも分かりやすい伝え方を考える

「何が言いたいのか分からない」と言われることがある人は、伝え方が丁寧すぎて回りくどくなっているのかもしれません。

おすすめは、「PREP法」や「5W1H」を意識することです。PREP法とは、「結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→結論(Point)」の順で話す・書く手法です。企画書の作成やプレゼンテーションでも役立ちます。

また、「たくさん」「微妙」といった曖昧な言葉を避けて具体的な数字・表現を使ったり、専門用語は言い換えたり説明を加えたりするといった配慮も大切です。

例文で考えてみましょう。例えば、以下のような伝え方をしていないでしょうか。

◯◯さん、お疲れ様です。今、来月の社外研修について準備をしているのですが、会場をどこにするか迷っておりまして、候補は会議室AとBなんですけど20人参加するので、Aだとちょっと狭そうですしBだと広すぎるかなと思っていて、去年は今年よりたくさんの社員が参加したんですが、それでもBだと広くて微妙でした。私はAが良いと思うのですが、◯◯さんはどちらが良いと思いますか?

聞きたいのは最後の「AとBのどちらが良いと思いますか」ですが、それまでの内容がかなり多く、伝わりづらいですよね。これをPREP法や具体的な表現を使うことを意識してみると、以下のように変えられます。

◯◯さん、お疲れ様です。来月の社外研修の会場ですが、会議室AとBだったらどちらが良いと思いますか?

参加者が20人ほどの予定なのですが、Aは20席ちょうどしかなく、Bは40席なので多すぎる気がしています。昨年は参加者が30人だったのでBにしたのですが、それでも部屋の半分くらい空いていたので、Aでも足りるかもしれないと悩んでいます。

◯◯さんだったらAとBのどちらにしますか?

切り替えが重要!ツール・手段別のコミュ力の鍛え方

「対面の打ち合わせは平気なのに、オンラインミーティングだと緊張する」「会話よりメールのほうが、分かりやすいと言われる」など、特定のコミュニケーションツールへの苦手意識がある人もいるでしょう。コミュ力の鍛え方は、ツールや手段によっても変わります。

対面での会話

会話が苦手に感じる理由の一つとして、自分の話が相手に上手く理解されていない可能性があります。そこで、以下の点に注意して話してみてください。

  • 相手にきちんと聞こえる声量で話す
  • 明るい声音を意識する
  • 話すスピードが早すぎないようにする
  • 相手に合わせた言葉遣いをする

沈黙に慣れることも隠れた重要ポイントです。相手が黙っていると「何か話さなきゃ」と焦って会話をつなぎたくなるもの。しかし沈黙は悪ではなく、周りがあなたに「何か話せ」と圧力を掛けているわけでもありません。会話が途切れることを恐れない気持ちも一緒に身に付けると、より苦手意識が薄らぐはずです。

メールやチャットツール

メールやチャットツールでは、見た目の「読みやすさ」も大切。丁寧さを意識するあまり、長く要点が掴みづらくなっては元も子もありません。短文で簡潔に伝える、適度な改行や箇条書きを使うことを意識しましょう。

上司や先輩に相談をしたい場合は「まずは相談したい旨だけとりあえず送る」というのも一手。ここで伝えるべきは、「相談がある」という事実だけでも大丈夫です。相談したいと思ったことを言い出せずにいた結果、後になって大きなトラブルになるのを回避するために、自分なりの「声かけハードル」を下げる手段を知っておきましょう。

加えて以下のような工夫をすると、より分かりやすい文面になります。

  • 話題や項目ごとに文章を区切る
  • 箇条書きや番号付きリストを使う
  • 「~させていただく」を使いすぎない

上記のポイントを意識したメッセージの例を、2つ紹介します。

<例1:メールで取引先に質問したい場合>

株式会社■■
◯◯様

お世話になっております。
株式会社△△の◆◆です。

本日は社外研修についての打ち合わせ、ありがとうございました。
準備を進めますので、以下2点のご回答をお願いいたします。

******

【1.開催日時について】
弊社は以下であれば対応可能です。
貴社のご希望をお聞かせください。

(1)3月8日(金)13:00~
(2)3月11日(月)10:00~
(3)3月21日(木)11:00~

【2.会場について】
前回同様、貴社の会議室での開催でよろしいでしょうか?
もし別の会場をご希望であれば調整します。

******

どうぞよろしくお願いいたします。

<例2:チャットツールで上司や先輩に相談の可否を聞きたい場合>

◯◯さん、お疲れ様です。

本日の午後、30分ほどお時間いただくことは可能でしょうか?
先ほどの●●様とのアポのフォローについて、相談させていただきたいです。

よろしくお願いいたします。

オンラインミーティング

オンラインミーティングでは、通信の都合上どうしてもタイムラグが生まれます。それを踏まえて、普段よりゆっくり、はっきり話すことを意識しましょう。

話し終わるときには「以上です」と発言の終わりを明確にすることで、相手も話しやすくなります。なお、資料を共有しながら話せるのがオンラインミーティングの利点でもあります。説明に自信がないときは、最初に断りを入れ、要点のメモを共有しながら説明するのも一つの方法です。資料を使いながら話す場合は、ミーティングの前に資料を一通りウィンドウで開いておき、共有機能も確認してから参加するとスムーズでしょう。

自分が聞く側になる時間は、大きめのリアクションを心がけてください。また、話を聞いている最中も、なるべくにこやかな表情を意識しましょう。無理にニコニコしなくても、口角を少し上げるだけでも構いません。

オンラインミーティングでよくある悩みが「相手の温度感が分からない」こと。この空気を打破するために、自分が率先してリアクションをしていく意識も大切です。「ここまで大丈夫な人はグッドサインをお願いします」など、ツールのリアクション機能を使って意思表示を促すのも良いコミュニケーションにつながります。

電話

電話は相手の表情が見えませんが、声色はダイレクトに伝わるもの。そのため、明るくハキハキとした声音を意識することが重要です。

対面ほどではありませんが、声のトーンや話し方などでニュアンスを伝えられるのが電話の良いところ。メールでは伝えきれない機微を伝えたり、相手がどう思っているのか率直なところを聞き出したりもできるので、要点を踏まえつつも「メールではできない話」をするのもいいでしょう。逆に、メールで済むならメールで済ませるという、場面に応じたツール選択ができることもコミュ力の一つと言えます。

電話ならではの「言った・言わない」を避けるには、電話の後に確認し合ったことをメールで送り、認識の齟齬を防ぐと良いでしょう。電話応対に苦手意識がある人は、よく使うフレーズ、言いにくいことを伝えるときに便利なクッション言葉、必ず聞くべきことをメモにまとめおき、見ながら話すのがおすすめです。

ちなみに、多少の言い間違いを恐れる必要はありません。あなたがどんな言い間違いをしたかは、相手も周囲もそれほど気に留めていないものです。

まずはここから!コミュ力を鍛えるために意識したいポイント

日頃のコミュニケーションに苦手意識を感じている場合、いきなりトレーニングをしようという気持ちにはなりにくいかもしれません。そんな人のために、今すぐ実践できるコミュ力アップのポイントを4つ紹介します。

始めは「質より量」

周囲との信頼関係構築には、まずは「質より量」のコミュニケーションが重要だと言われています。相手と接する回数を増やすと「単純接触効果」が働き、親近感を持たれやすくなるためです。

したがって、信頼関係構築のファーストステップとして、自分から人にどんどん話しかけていきましょう。対面で話す機会のある相手は、天気や相手の持ち物を褒めるといった世間話であれば、誰にでも試しやすいはずです。それに、話しかけられて嫌な気持ちになる人はほとんどいません。

いきなり話しかけるのはハードルが高いと感じるなら、「おはようございます」「お疲れ様です」などの挨拶を自分からするだけでも十分です。話しかける勇気が出ない場合は、メール、チャットなどのテキストツールでもトライしてみましょう。やってもらったことのお礼を伝えたり、ちょっとした疑問を聞いてみたりする程度でも効果が期待できます。

「共感力」を磨く

自分が聞き手になるときは、相手の話を肯定する姿勢を見せましょう。「なるほど」「たしかに」「それは大変でしたね」といった言葉を使いながら相手の話を聞くと、相手に安心感を与えられます。

ときには、相手の話す内容に「反対だ、共感できない」と感じることもあるかもしれません。それでも一旦は相手の言うことを受け止め、それから自分の意見を伝えるようにしてください。

お手本となる人を観察する

周囲にいる、コミュニケーションが上手い人を観察してみてください。その人自身や普段の話し方・書き方を真似てみると、自然とコミュ力も上がるはずです。

自分が誰かとやり取りをしているときに「これは嫌だな」と思ったことを洗い出すことも効果的です。例えば以下のような対応をされ、モヤモヤしたことはないでしょうか。

  • 返答が「でもさ」「だけど」といった否定の言葉から始まる
  • 機嫌が悪い、忙しいアピールなど、相談を躊躇わせる空気がある
  • 相手に話しかけても作業の手を止めてもらえず、片手間で対応される
  • こちらの反応を気にせず、一方的に話し続けられる

何かを「する」ことだけではなく、こうしたことを「しない」姿勢も、コミュ力アップにつながります。

非言語コミュニケーションも重視する

非言語コミュニケーションとは、以下のような言葉以外で行うコミュニケーションのことで、いわば「印象」につながる要素です。

  • 身振り手振り
  • 視線・表情
  • 態度・姿勢
  • 服装

どんなに鋭い指摘や有益なアドバイスをしたり、話す時間を設けたりしていても、態度や姿勢で「自分と話すのは嫌なのかな」「面倒そう」「大事な会議と思われていないんだな」と相手に思わせてしまう部分があると、信頼関係構築は難しいもの。

過度に萎縮する必要はありませんが「マイナスに思われやすいポイント」を除外しておくことで、自身のコミュニケーションに対する不安が和らぐ面もあります。見た目や振る舞いにも気を配り、真っ向からコミュニケーションを取って気持ちを伝えましょう。

ビジネスシーンでの「コミュ障」は克服できる!

ビジネスパーソンに求められるコミュ力は、「聞く力」「質問力」「伝達力」の3つで構成されます。こうした能力をバランス良く鍛えることで、コミュ力アップが期待できます。加えてコミュニケーションツール別のコツも知っておけば、仕事上のコミュニケーションで不安を覚えることは少なくなるはずです。

ビジネスコミュニケーションで大切なことは、必要なことを必要なタイミングで、漏れなく、分かりやすく伝えること。そして受け止めることも同じくらい重要です。それさえできれば、周りと信頼関係を築き、仕事を進めることは難しくありません。「上手く話そう」と力まず、まずはこの記事で紹介したことから取り組んでみてはいかがでしょうか。

文/シモカワヒロコ(Nyima.)

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